「蝸牛角上の争い」とは?意味や類語、由来の話について

「蝸牛角上の争い」の読み方

 

故事成語「蝸牛角上の争い」は「かぎゅうかくじょうのあらそい」と読みます。「蝸牛」や「角上」は読みやすいのかどうか・・・、何とも言えませんね。

 

「蝸牛角上の争い」の意味

 

「蝸牛角上の争い」は二つ意味があるようです。一つは「取るに足らない小さなことで争うこと」という意味でもう一つは「小さな者同士の争い」という意味のようです。

「争う理由が小さい」ということと、「争う当事者同士が小さい存在」ということで少し紛らわしいですね。

 

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「蝸牛角上の争い」の類語

 

まず由来は同じなのでしょうが若干異なる言い方の言葉もあるようです。「蝸牛の角(つの)の争い」「蝸角(かかく)の争い」「蛮触(ばんしょく)の争い」など。これらは今回取りあげた「蝸牛角上の争い」と同じ意味のようです。

全く異なる表現で似たような言い回しとしては「コップの中の嵐」が挙げられる場合があるようです。他は「不毛の争い」などでしょうか。

「キツネと狸の化かし合い」はどうかなと思いましたが、これは悪い者同士が騙し合うことという意味だそうで、つまらない争いという意味ではないようです。

 

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「蝸牛角上の争い」の由来となった話

 

大昔の中国大陸に梁(りょう)という国がありました。梁には恵王という王様がいました。梁は他国の斉と同盟を結びましたが裏切られてしまう目に遭います。恵王さんは怒りました。裏切った斉にどのような復讐をするべきか。恵王さんの家臣たちは様々な意見を進言します。ある者は「斉を攻めましょう」と言い、別の者は「攻めるのはやめましょう」と言い、他の者は「彼らの意見を聞いてはなりません。道家の考えを採用するのがいいです」と言いました。そのような状況にあった中でのお話です。古典「荘子(そうじ、そうし)」の則陽にこの話が掲載されています。私なりに現在の言葉で表現してみます。誤ったところがあるかと思いますがご了承ください。

 

以上のような家臣の進言を聞いていて恵王さんに仕えていた恵子さんという人が戴晋人(たいしんじん)さんという大変優れた人物を招き恵王さんに会見させました。恵王さんが斉にどのような態度で臨めばよいか戴晋人さんに尋ねたのでしょう、戴晋人さんが話を始めました。

戴晋人「恵王様は皆がカタツムリと読んでいる生き物をご存知でしょうか?」

恵王「知っておるぞ。」

戴晋人「カタツムリの左側の触覚に国を持っている者がいました。その名を触氏と言いました。カタツムリの右側の触覚に国を持っている者もいました。その名を蛮氏と言いました。ある時触氏と蛮氏がお互い土地を争って戦いました。数万もの兵員が死亡し、一方の軍が十五日以上逃亡する相手を追い、その後撤収しました。」

恵王「あぁ、おぬしが言っているのは架空の話だな。」

すると戴晋人さんは言いました。「私は是非恵王様にお願いしたいのです。恵王様のために実際の話で説明いたします。恵王さまは実際のこの世界が四方上下の方向に限りがあると思われますか?」すると恵王さんは「いや限りは無いと思う。」と言いました。

戴晋人さんは言いました。「心の中で無限の世界を理解することが出来ながら、一方でよく御存じの限りのある国におられるということは、存在しているようで実は存在していないようなものでありましょう。」

 

このような話が「荘子」の中に載せられています。結局、戴晋人さんは「限りの無いこの広い世界で恵王さんが斉という国を討伐するかどうかということは蝸牛の触覚の左右で争う触氏と蛮氏と同じくらい小さなことですよ。」ということを言いたいのだそうです。「道家(どうか)」は道教という老子さんや荘子さんの思想によって出来ている中国の教え(無為自然の考えで行動する)を信奉している人のことを意味します。

 

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いさかいを起こしている当事者は頭が熱くなっていますから戴晋人さんのような冷めたものの見方はなかなか難しいのではないでしょうか。ただ、争いに関わっていない人から見れば目にした争いは小さなことにしか見えないのかもしれません。

周りの人はそんな風に見ているかもしれない、ということを争いの当事者となった場合はわきまえておいたほうがいいかもしれませんね。

国と国との争いが小さいことだというのなら、人同士の争いや集団同士の争いなどもっと小さいことになります。ということになると戴晋人さんに言わせれば、大抵の争いは「蝸牛角上の争い」ということになってしまいますね。道教の考えからすると、争いなど馬鹿馬鹿しいことに過ぎないということでしょうか。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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