「苛政は虎よりも猛し」の読み方や意味、由来の話について

「苛政は虎よりも猛し」の読み方

 

故事成語「苛政は虎よりも猛し」は「かせいはとらよりもたけし」と読みます。「苛政」や「猛し」は見慣れた言葉とは言えませんし、戸惑うかもしれません。

 

「苛政は虎よりも猛し」の意味

 

「苛政は虎よりも猛し」は「民衆にとって厳しくむごい政治というのは虎による被害よりもひどい」という意味だそうです。「虎よりも」という部分については単に虎よりもという意味の他にも「虎による被害よりも」という意味や「虎の出る場所よりも」といった意味にもなるようです。

この故事成語の中では「猛し」については「ひどい」とか「恐ろしい」といった意味になるようですが、一般的には「強い」とか「勢いが盛ん」といった意味の言葉です。

 

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「苛政は虎よりも猛し」の由来

 

「苛政は虎よりも猛し」の由来となった話は中国の古典「礼記(らいき)」の中にあります。私なりに現在の言葉で表現してみます。誤ったところがあるかと思いますがご了承ください。

 

儒教の創始者である孔子さんが泰山(たいざん)という山の近くを通り過ぎることがありました。道を歩いているとある女性がどなたかの墓の前で大声をあげて泣いていました。大変悲しそうにしています。

孔子さんはその女性に挨拶をし、女性の様子を見たり泣いているのを聞き、お弟子さんの子路(しろ)さんに「どれだけの大変なことがあってあなたはそのように泣きわめいておられるのですか?」とその女性に尋ねさせました。

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すると泣きわめいていた女性が「不幸が重なっているのです。むかし、私の義理の親が虎に襲われて死んでしまいました。私の夫もまた虎に襲われて死んでしまい、今回私の息子も虎に襲われて死んでしまいました。」と言いました。

孔子さんは「なぜこのような虎に襲われる危険な土地での生活を続けて来られたのですか?」と言いました。するとその女性は「この土地では(重い税金などのような)厳しい規則が課せられることは無いからです。」と答えました。

この答えを聞いて孔子さんは子路さんに「弟子よ、このことをよくよく憶えておくのだぞ。民衆に対する厳しい残酷な政治というものは虎による被害よりも恐ろしいものなのだ。」と言いました。

 

以上のような話だそうです。

 

「礼記」という本は四書五経と言われる儒教の中でも特に大切な書物の中に含まれるものなのだそうです。儒教の教典の中にはこのような話も載せられているのですね。

 

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今回は「苛政は虎よりも猛し」を取りあげました。墓の前でなく女性のエピソードがまたすごいですね。義理の親と夫と子供が虎に襲われて亡くなってしまうのですから。これだけ被害が多ければ虎から身を守るためにその地域で何か対策をとっていてもおかしくは無いと思いますが。とにかく恐ろしい話です。私なら虎のいるところには住めないなと思ってしまいますが、それはこの女性も本来であればそう考えたでしょう。

中国に虎がいたんですね。あまりそういうイメージがありませんでした。現在でもアムール虎なんて聞いたことはありますが、あれはロシアですよね・・・。中国の動物となるとパンダのイメージが強すぎます。

苛政の具体的な内容はこの由来となった話の中には出てきていないようです。勝手に税金が多すぎるとか、兵員や大規模工事の人出として家族を連れて行かれてしまうとかそういう感じのことなのかなと想像しましたが、どうなのでしょう。税金が重すぎて日々食べる食料にも事欠くようなら飢え死にしてしまいますから、そんな政治をしている国からは逃げてしまいたいですよね。飢え死にする危険性を選ぶか虎に襲われる危険性を選ぶか、そんな選択肢しかないというのはむごい話です。

これまでひどい政治が行われるとこの故事成語の使われる頻度が増えたのかもしれません。今の日本で国民に対しとんでもない負担を課す政治が行われるというのは考えにくくはありますが、増税のような話が現実になりそうなら比喩としてこの言葉を持ち出す政治家が出てくるのかもしれません。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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