西原借款とは?この借款の目的や返済結果について

西原借款とは

 

西原借款(にしはらしゃっかん)とは西暦1917年(大正6年)から1918年にかけて当時の中華民国の有力者に対し公的な立場を持たない一日本国民からという形式で多額のお金を日本側から中華民国に借款したことをこのように呼びます。西原と呼ばれているのはこの中華民国側への借款を行うにあたって関わった日本国民が西原亀三(にしはらかめぞう)という人物だったからです。借款(しゃっかん)というのは国家間の政府の間などで行われるお金の融資、お金を貸すことを意味します。西原亀三さんが融資したという形をとってはいますが、西原さんは時の日本の政権、寺内正毅(てらうちまさたけ)政権からの指示でこのような行動をとっていました。西原さんは寺内首相の個人的な秘書だったのだそうです。西原さんは中華民国政府にお金を融資したのではなく、特定の政府有力者に融資しています。段祺瑞(だんきずい)という人物です。段さんは中華民国の国務総理(こくむそうり)でした。国務総理は北京政府でトップである大総統の次に力のある首相のような立場だったのだそうです。西原さんはこの段さんにお金を融資しました。借款、融資する目的は基本的に決められていたようで交通銀行という銀行に対する融資、電気通信目的の融資、鉄道開発の融資、鉱山開発の融資、国防目的の融資といった内容だったようです。北京政府とわざわざ上で書きましたが、当時の中華民国には北京政府と対立する大陸の南側の広東軍(かんとんぐん)政府という別の政府、勢力が存在していたためです。政府としか書かない場合混同してしまうので北京政府の段祺瑞と書いています。

 

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西原借款が行われた理由は

 

一日本国民からのお金の融資ということではなく、日本国政府が堂々と中華民国側に借款をしたらいいようなものですが、当時国際的な規制があったようで日本国政府側の借款と見られないようにする必要があったようです。そうまでして北京政府の有力者にお金を都合したのは日本国が北京政府の段祺瑞さんと良好な関係を作り、それによって段祺瑞さんが率いる北京政府が今後日本政府に中国大陸の様々な権益を提供してくれるようになることを期待したからです。経済的な恩恵を中華民国から獲得したいと日本側が望んだということですね。北京政府内で段祺瑞さんとライバル関係にあった人物はイギリスやアメリカから支援を受けていたのだそうです。各国が中国大陸でお金もうけをしようと様々な働きかけが当時行われていました。

 

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借款の返済結果

 

結果から言いますと、段祺瑞さんはその後北京政府内での権力闘争に敗れることとなります。そのためこれまで段さんに融資してきたお金は段さんが権力を失ったことで中国大陸の利権を北京政府から日本に提供してもらうことにつながりませんでした。中華民国で権力を手に入れた勢力は日本が行った段さんに対する借款の返済を拒否したそうです。これまでの投資が無駄になったと言えます。融資したお金の金利分も日本側に返済してもらうことが難しくなりました。西原さんは借款のためのお金を台湾銀行、朝鮮銀行、日本興業銀行から出してもらったのだそうです。そのお金の合計額は当時の額で1億4500万円にもなりました。中華民国から返済してもらえなくなりましたでは済みません。お金を出した銀行にお金を返さなくてはなりませんので、日本政府が返済されないお金を肩代わりする結果となってしまいました。肩代わりのため日本政府は公債を発行しお金を集めなければならなくなります。

 

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今回は西原借款について取りあげてみました。歴史の本で中華民国の有力者に借款をして権益の拡大を図ったことが書かれていたのを読んだのですが、借款という意味がそもそも個人的によくわかっておらず、西原借款と呼ばれる理由もよくわからなかった為調べてみることにしました。良好な関係を作って将来日本に経済的な利益をまわしてもらえるように中華民国の有力者にお金を融資したということが今回調べていて何となく理解できました。また西原借款と呼ばれた理由も借款に関わった日本人の名前に由来するものだったということも確認することができました。相当な利益を見込んで景気よく段さんに融資した日本側ですが結果はさみしい話となりましたね。英国やアメリカが支援していた派閥が段さんの派閥に勝利したそうですから、イギリスもアメリカもその後中華民国政府から経済的な便宜を受けたということでしょうか。イギリスもアメリカも勝ち馬に乗るのが上手いですね。最悪の場合を想定すると日本は段さんの勢力だけではなく他の派閥にもお金を融資しておいた方がましだったということになるでしょうか。お金を分散して融資するだけ、後の恩恵は少なくなるかもしれませんが現実にそうであったような、ゼロという結果よりはいいような気がします。他国の経済利権を得ようとする場合このように有力者にお金の提供が行われることがあるんですね。現在の世界でもこのような構図は珍しくないのかもしれません。今の日本政府が他国に借款する場合は是非ちゃんと返済してくれる国に限定して融資してもらいたいなと感じる出来事でした。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

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