1928年に締結された不戦条約とは?日本の姿勢についても

不戦条約とは

 

不戦条約(ふせんじょうやく)とは西暦1928年(昭和3年)に15の国が調印した条約です。調印というのは条約を結ぶ時に国の代表が署名することです。15の国が調印した場所がフランスの首都パリだったこともあって「パリ不戦条約」と呼ばれることもあります。この条約の正式名称は「戦争放棄に関する国際条約」であり、「不戦条約」「パリ不戦条約」は通称になります。正式名称の通りこの条約は戦争放棄、戦争をしないということを定めています。1928年に結ばれた条約ですが、この条約の内容は現在でも参加国の間で有効とされているそうです。一言で言えば戦争をしないということを約束した条約であり、条文にも第一条で条約署名国は国際紛争を解決するために戦争に訴えることを非とし、かつその相互関係において国の政策手段としての戦争を放棄することを署名国の人民の名において厳粛に宣言するといったようなことが書かれています。国家間の紛争を解決する手段として戦争という方法を選択しない、国の政策として戦争をしないと書いているわけです。これを見ると「もう戦争をしないんだ」ということになりますが、例外も設けられました。当時の国際機関、国際連盟(こくさいれんめい)の制裁として実施される戦争や自国を守るための戦争はしてもいいということになったのです。この条約、最初はフランス側がアメリカに対し二カ国間で戦争するのはよしましょうという不戦条約、協定を結ぼうと呼びかけたところ、この不戦条約はもっと多くの国が参加したほうがいいという話になり上記のように15カ国が参加し、その後63もの国が参加する結果となりました。

 

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不戦条約に関する日本の対応

 

日本国は当初の署名国15か国の中に入っています。1928年に日本は不戦条約に調印していますが、その当時国内で議論になりました。上で示した通り戦争しないと署名国の人民の名に於いて宣言すると条文にはあるのですが、人民の名に於いて宣言するなどというのは日本の国の仕組み上問題があるという批判が出たわけです。当時の日本国の憲法は大日本帝国憲法、明治憲法であり、このような国の方針を宣言するのは国の人民ではなく君主である天皇陛下の権限であるはずだという理由からくる批判です。天皇の諮問機関(天皇から政策に関する考えを尋ねられた際に意見、考えを申し上げるための組織です)である枢密院(すうみついん)や国会の野党などからこのような批判も出て条約を批准(ひじゅん 署名した条約に従うと署名をおこなった国が最終的に決定することを批准と言うそうです)する時、日本は第一条の「その各自の人民の名に於いて」という部分については自国に適用しない、当てはめないという宣言をしています。このような条件を付けて日本も不戦条約に従うという選択をしました。

 

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今回は不戦条約について取りあげてみました。田中義一内閣時代の日本の行動を扱ってみようと思ったのですが、田中内閣の外交の中で不戦条約調印というのは有名な出来事のようですし、その後の日本がとる選択を考えますと滅茶苦茶戦争をしているわけですし、この条約で言っていることと矛盾しないのかなぁという思いもあって調べてみることにしました。戦争を放棄するけれども例外があるというわけですよね。自国の防衛のための戦争なら認められる。今やっている戦争は自国を守るための戦争だ。だからパリ不戦条約違反などではない、という論法で自国の戦争行為を正当化するような主張が色々な国で行われることになるんですね。個人的にはじゃあ結局こんな条約があっても意味が無いじゃないかという思いも無いわけではないですが、この条約で基本的に戦争は違法だと多くの署名国が合意したことは大変重要なことなのだそうです。

 

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この条約は今の国際機関、国際連合の憲章(国連の重要な取り決め)の内容にも影響しているという指摘があります。国連憲章第1章第2条の4項目に「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」とあります。あと気になったのはフランスに多国間条約にしたほうがいいと言ったアメリカの不戦条約に関する宣言です。アメリカは自国の勢力圏である中南米に関してはこの条約は適用されないと宣言したのだそうです。世界中色々なところに植民地があったイギリスは国益に関わる軍事力の行使は侵略ではないと主張したのだそうです。アメリカだから、イギリスだからということではなく、著しく軍事力の強い国というものは大抵こういった手前勝手な理屈をこねて自分の権限を守ろうとするものなのかもしれません。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

海軍の強い国々の軍縮に関連する記事「ワシントン海軍軍縮条約とは?条約締結の背景や保有比率についても」はこちらです。

ワシントンで条約が結ばれた後の新たな軍縮に関連する記事「ロンドン海軍軍縮会議とは?会議内容や日本の全権についても」はこちらです。

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