林銑十郎内閣が退陣後、近衛文麿が首相となる経過について

林銑十郎内閣退陣

 

西暦1937年(昭和12年)1月に広田弘毅内閣が総辞職し、一時は予備役(予備役よびえきというのは有事や軍事訓練の際に軍に復帰するよう求められ、普段は一般の国民と同様の生活をしている立場のことです)陸軍大将である宇垣一成さんに首相職を担当するよう昭和天皇から御命令が出たのですが陸軍が陸軍大臣を出さないというやり方により組閣を妨害したことで結局宇垣さんは内閣を担当することを断念しました。

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次に首相をやってくれないかと元老から声がかかった人物は予備役陸軍大将の林銑十郎さんでした。林さんに対しては陸軍も協力し陸軍大臣となる人材も推薦され内閣が成立します。林内閣は軍財抱合(ぐんざいほうごう)という標語を作り軍部と財界の関係を調整し軍にとって必要な分野の製品生産力を拡大しようとしました。とはいってもこの内閣は長く続きません。昭和12年度の予算案が議会を通った後、林首相は政友会や民政党などの政党勢力に対抗する目的で衆議院を解散しました。しかし選挙の結果は林首相の目論見通りにいかず、林内閣を支持する議会内勢力はむしろ議席を減らす結果となります。議会内の主要政党からの攻撃や与党であった昭和会が解散したり内閣の中から総辞職の勧告が出たことなどもあって1937年5月に林内閣は退陣することとなりました。

 

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後継内閣

 

この時期は次の首相を誰にやってもらうか昭和天皇の重臣や林前首相、軍関係者などの意見も聞き調整していたようです。最初に名前が挙がったのは林内閣で陸軍大臣をやっていた杉山元(すぎやまげん)という現役の陸軍大将でした。しかしこの案に対し元老(天皇の重臣)である西園寺公望さんは反対したそうです。元老のような重要人物から反対されたこともあり、杉山さんの案は無くなりました。西園寺さんはここでまたしても近衛文麿を推薦します。226事件後岡田内閣が退陣し次の内閣を担当する人物を模索していた時も西園寺さんは近衛さんを首相にしたほうがいいと考え昭和天皇に近衛さんに担当させることを進言しましたが昭和天皇の御命令が近衛さんに出たにもかかわらず、近衛さんはこの命令に対し辞退するという行動に出ました。そのようないきさつがあるにもかかわらず、西園寺さんはまたしても近衛さんを推すこととなります。昭和天皇の考えに反する案ではなかったということなのでしょうか、昭和天皇は以前辞退した近衛さんに首相を担当するよう御命令をまた出すことになります。近衛さん自身はそのような西園寺さんらのはたらきかけにあまり乗り気ではなかったといった指摘もあるようですが、結局今回は昭和天皇の御命令を受け入れ、首相を担当することとなりました。内閣の陸軍大臣には林内閣同様、杉山大将が引き続いて就任し陸軍による内閣発足妨害は行われませんでした。当時の陸軍から見て、近衛文麿という人物に対する評価は決して悪いものではなかったようです。外務大臣には広田弘毅元首相が就任しています。第一次近衛内閣がこうして発足しました。この内閣は1939年の1月まで続くことになります。

 

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今回は林銑十郎内閣と近衛文麿内閣発足までの経過について一部取りあげてみました。近衛文麿さんが首相を担当していた時期に重大な出来事が色々と起きているので、なぜこの人が首相となることになったのかいきさつを調べてみたいと思いこのようなテーマの記事にした次第です。この頃は陸軍からの政権への干渉が強く、広田元首相も宇垣さんも陸軍の影響から逃れることは出来ず、総辞職したり組閣を断念する結果となりました。林さん、近衛さんが内閣を組織出来たのは当時の陸軍の考えに合っていると判断されたからなのでしょうが、陸軍から見てどういう所が評価されたのでしょう。林さんは陸軍の軍人ですし当時の陸軍中央の考え方と似ていたということなんでしょうかね。一方近衛さんは軍人ではありません。一部では陸軍の皇道派に対して親近感を持っていたという指摘もあるようですが、もしそういった近衛さんの考えを当時の陸軍が知っていれば、その頃の陸軍は統制派が主導権を握っていたわけですから近衛文麿擁立に反対しそうなものです。でもそんな動きにはなりませんでした。1918年に「英米本位の平和主義を排す」という論文を近衛さんが出していますが、英国や米国と協調した外交姿勢とは距離を置くような近衛さんの考え方が1937年頃の陸軍には評価されたということなんでしょうかね。西園寺さんが近衛さんを執拗に首相に推薦したがったのも気にかかります。西園寺さんは英国や米国と協調する考え方の人物を首相にしたがる人のように思いましたが。近衛さんは各方面から人気があったようですから、彼が首相になったらうまくまとまると見ていたんでしょうかね。この後日本は難しい状況に入っていくことになります。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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