1937年開始の国民精神総動員運動とは?標語についても

1937年に提唱された国民精神総動員運動とは

 

国民精神総動員運動(こくみんせいしんそうどういんうんどう)とは西暦1937年(昭和12年)の8月に当時の政権であった第一次近衛文麿内閣が国民精神総動員実施要綱というものを内閣の会議で決定し翌月の9月からおこなわれた政府主導の政治的な運動です。日本軍が中華民国の軍隊との戦闘をおこなう中、日本国民に日本国、社会全体に奉仕する考え方を浸透させ、この戦闘に協力することを促しています。この政治運動を推進する目的で内閣が支援する団体、国民精神総動員中央連盟というものが作られました。この団体の初代会長は有馬良橘(ありまりょうきつ)というかたです。有馬さんは最終階級が大将の海軍出身のかたでこの団体の会長就任時には既に軍を退役されていました。この団体に日本国内の様々な団体(在郷軍人会、婦人団体、首長の団体、神職の団体等々)が加盟します。また地方では道府県レベルの地方行政機関に地方実行委員会が設けられ、そこが中心となって各地方で運動がおこなわれていきました。

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このような政府の動きは必ずしも支那事変(日中戦争)によって始められたというわけではなく、第一次近衛内閣が誕生して間もなく戦争になっても不自然ではないような状態に日本社会を対応させることを目的として国民を啓発させる運動を政府中心で進めると既に決めていたのだそうです。この運動はその後、日本政府の方針に協力するよう促す考え方を広めるという性格のものから、それに加え節約、国債購入、貯蓄、献金の奨励といった物資、資本面での貢献を促すような傾向も強まっていきました。閣議決定された実施要項を見てみると言論機関の協力を求めることとしていて、ラジオの利用も図るよう明記しています。当時のラジオ放送の影響力を評価していたようです。また芸術分野の関係者にも協力を求めました。

 

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国民精神総動員運動の標語

 

この運動では標語、スローガンが用いられました。運動当初から「挙国一致 きょこくいっち」「尽忠報国 じんちゅうほうこく」「堅忍持久 けんにんじきゅう」のような標語は使われていたようです。挙国一致は国を挙げて一致団結するということで、尽忠報国というのは忠誠を尽くして国の恩に報いるという意味です。堅忍持久はつらい状況にあってもしっかりと忍耐し続けること、という意味になります。その後四文字の漢字による標語の他にも「ぜいたくは敵だ!」「日本人ならぜいたくは出来ない筈(はず)だ!」などのような物資節約を呼びかける内容の標語も出てくることになります。1945年には「一億玉砕 いちおくぎょくさい」などという標語も出てきてしまいます。この標語で言いたいのは全国民が死を恐れずに戦い、戦争を勝ち抜こうということなのでしょう。

 

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今回は国民精神総動員運動について取りあげてみました。国家総動員法の成立よりも前に近衛内閣のもとで行われた政策でしたが記事にする順番は逆になっています。国家総動員法を調べている中でこの運動について見かけることが何度かあり何となく聞いたことのある標語もこの運動の流れで出てきたものだということを知りました。戦闘に対応する社会の雰囲気を作り出す政府の試みを確認することは重要であるように感じ今回はこの運動について記事を作った次第です。戦争に対応して国に奉仕するこのような考えを国民に広める運動が近衛内閣発足直後からおこなわれようとしていたことを今回初めて知りました。第一次近衛内閣は発足当時特にどこの国とも戦争はしておらず中華民国とも塘沽(とうこ)停戦協定が成立した後大規模な戦闘はおこなわれていませんでした。そのようなタイミングで何故政府は国民に対する運動を計画していたのでしょう。仮想敵国としてソ連やアメリカなどを設定していたとしても、運動をおこなおうと推進していた勢力は極めて現実的なものとして何らかの戦争が起こることを想定していたのでしょうか。またこの方針が打ち出される時期とそれほど異なることなくその後盧溝橋事件が発生し支那事変へと拡大していきます。単なる偶然なのかどうなのかよくわかりませんけれど。戦争する場合、どのような国であっても程度の差は別にして似たような運動、キャンペーンをするようなものなのでしょうかね。負けたら大変なことになるのですから必死になるのもわからないではありませんが、さすがに「一億玉砕」という標語には首をかしげてしまいました。この標語は例えて言っているんだということはわかっているつもりですが、一億の国民が命を落としてしまっては肝心の国民がいなくなってしまって国が成り立たなくなってしまいます。当時そのようなことを言ったら政府からにらまれたんでしょうかね。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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