一院制とは?一院制の国家やメリットとデメリットについても

一院制とは

 

一院制(いちいんせい)とは合議組織一つだけで国の議会(ぎかい 国の法律などを決める組織のことです)を構成している制度のことを言います。合議組織というのは議院に代表されるような、構成員(議員さんのような立場の人)が相談、議論をおこなって組織全体としての意見を決めるような組織のことです。二つの合議組織、議院で構成されている議会制度というのは二院制(にいんせい)とか両院制(りょういんせい)と呼ばれます。日本は国の議会である国会を衆議院と参議院という二つの議院、合議組織で構成している二院制の国家です。ただ我々の身近にも一院制があります。日本国の地方議会(都道府県議会や市区町村議会のことです)は一院制です。アイスランドには古くから現代と似たような議会が誕生していたそうですがその時の議会は一院制でした。誕生したのは西暦930年だそうです。13世紀にはアイルランドやスコットランドでも議会が誕生しました。イングランドの議会で14世紀に入り貴族院と庶民院という二つの議院に分かれたという事実があります。ただし17世紀途中で一院制となっていた時代があります。イギリス(グレートブリテンおよびアイルランド連合王国)という枠組みは1801年に誕生します。この時点でのイギリス議会は既に二院制でした。18世紀にフランスでは革命が起きますが革命後の議会では一院制が採用されています。過去に他国が国の議会として一院制を採用した理由の中には特権階級と見なされる人たちの議院を否定し主権は国民に存在するべきなので国民を代表する議院は一つとするべきといったものもあったようです。

 

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一院制の国家は

 

現在の世界で一院制を採用している国家は複数存在します。新興国家や社会主義国家(中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民主共和国、キューバ共和国など)に一院制採用国家が多いという指摘もありますが、そのような範疇に属するわけではない北欧のスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークといった市場経済社会であり歴史のある国も一院制を採用しています。またオセアニア地域には島国がたくさんありますがそれらの国やニュージーランドなどは一院制を採用しています。中東地域にも一院制を採用している国は多く、歴史のある国の一つトルコ共和国も現在は一院制を採用しています。

 

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一院制のメリット

 

一院制のメリット、長所としては法律の制定が速やかに行える、二院制に比べて審議にかかる時間を短縮することが出来るといった時間を節約できるといった点があり、そのことによって国が抱える多くの問題への対処を速やかにすることが出来るといった見方があるようです。また一院制は二院制に比べ選ばれる議員の数が減ることにもつながる可能性があるため、議会の議員にかける経費を削減することが期待できるという点を長所として挙げる指摘もあるようです。

 

一院制のデメリット

 

一院制のメリット、長所として物事を決定するまでの時間を節約できると上で書きましたが、それは言い方を変えれば慎重な国政議論が損なわれてしまうという見方も出来ます。それによって一つの議院で出した結論をもう一方の議院で検証するということも出来なくなります。また二院制ではそれぞれの議院で議員を選ぶ手法が異なります。そのため国民の多様な意見が反映されることが期待できます。一院制の場合は議員を選ぶ方法が二院制に比べ当然限定されてしまうため、自動的に民意の反映が限定されてしまうという懸念もあるようです。

 

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今回は一院制に関して取りあげてみました。この件を記事にしてみたのは先日の衆議院議員総選挙期間中、一院制への移行を主張した候補がいたのを知ったためです。一院制という仕組みはこれまでも聞いたことがあったのですが、二院制が定着している日本の議会をわざわざ一院制に変える必要があるものなのか、一院制に変更すべき妥当な理由があるものなのかよくわからなかったので自分なりに調べてみようと思いました。物事を決めるまでの時間が短くて済むというのは長所とも短所とも言えるので、一院制にする理由としてはあまり心に響かない気がしました。国の政治は国民一人一人の運命に直結してきますから慎重の上にも慎重にといった配慮もあってしかるべきなんじゃないのかなという気もします。一方の議院ですんなり決まった案件がもう一方の議院でなかなか決まらないというのはそれなりの理由があるからなのでしょう。大抵の議員さんたちがこの法案は通すべきだと判断するような話であれば、そもそも二院制であってもすんなり二つの議院を通過するように思います。一院制を支持する人たちが主張する意見には様々あるでしょうけれど、国の制度を強引に変えたいと考える政治勢力にとっては一院制って便利な仕組みかもしれません。良い方向に国を変えるのならいいのですが。社会主義の国が一院制を採用している場合が多いというのはどういった理由からなんでしょうね。貴族のような特権階級を認めない政治勢力ですし、国民を代表する議院は一つで十分ということでしょうか。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

選挙のやり方の一つについて触れている話「衆議院総選挙の一つ、比例代表制とは?利点や欠点についても」はこちらです。

小さな政党と政権の関わり方について触れている話「閣外協力とは?協力のメリットや連立政権との差についても」はこちらです。

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