日本の乳製品の自給率はどれくらいなのでしょう?

日本の乳製品自給率は

 

ここで自給率について確認いたします。例えば日本の自給率ということになりますと、日本国内で必要とされるある品物の量、品物の消費量、需要量に比べて、日本国内でその品物を生産している量、日本国内で作って供給している量がどれくらいの割合となるかを示す指標ということになります。日本国内で生産し、まかなっている量、供給量÷日本国内での必要とされる量、需要量という計算により何割日本国内で供給できているか見ることが出来ます。話を戻しますが日本国内で生産されている乳製品の量はどれくらいか確認してみました。国の機関である農林水産省さんが公表されている牛乳乳製品統計によりますと2016年(平成28年)の国内チーズ生産量は14万4127トン、バターは6万6210トン、脱脂粉乳は12万7598トンでした。飲む牛乳は304万9421キロリットル生産されたそうです。国内でどれくらい消費されるかですが、農林水産省さんが公表されている平成28年度のチーズ消費量は30万2000トン、バター消費量は7万4000トン、脱脂粉乳消費量は13万7000トン、飲む牛乳の消費量は398万トンとなっていました。ということで大まかな乳製品の自給率はチーズの場合ですと14万4127÷30万2000で0.47です。47%の自給率ということになります。他の乳製品に関しても同じように計算するとバターは89%、脱脂粉乳は93%、飲む牛乳は1リットルが1.032kgだそうですのでそれを加味して79%ということになります。100%とはなっていないものの、なかなか高い自給率のようにも感じますが、チーズはそのような中47%と5割を切ってしまっています。

 

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関税にまつわる国会決議

 

複数の国々との経済的な約束を交わす枠組み、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の交渉に参加することを日本国政府は2013年の3月に明らかにしました。その後同じ年の4月に国会の農林水産委員会で決議が出されています。これはTPP交渉にあたり日本政府に対して国会から要求したものです。国会内決議の中で米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖生産に必要となる作物(サトウキビやビート)といった重要な農畜産物に関しては引き続き再生産可能となるよう関税を引き下げる対象から除外あるいは再協議できる対象とすることや10年以上の期間をかけて段階的におこなうような関税の撤廃も実施しないこと、といった内容が盛り込まれています。また関税にまつわることではありませんが交渉にあたって重要5品目の聖域確保を最優先にしてそれが無理であるのなら交渉から脱退することも辞さないように、といったことも述べられています。TPPはたくさんの分野が関わる協定のためこの国会決議では農薬や漁業、ISD条項などに関する要求も含まれています。上で記している米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖関連作物が重要5品目となっていました。乳製品はこのように重要5品目の中に含まれており、日本社会にとって特に自給能力が重視されている生産物となっています。

 

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今回は乳製品に関して取りあげてみました。最近EU、欧州連合との間で日本が経済連携協定、EPAを締結するにあたり交渉が妥結したというニュースを耳にしました。その中でチーズの輸入に関する話もあったため、乳製品の自給率というのはどうなっているのだろうと思い調べてみようと考えた次第です。日本とEUのEPAによってチーズがヨーロッパから輸入されることにより、安い輸入チーズと国内生産されているチーズが競争することになります。国内生産チーズが売れなくなるとチーズ生産業者が苦しくなるでしょうね。乳製品を生産する国内の酪農関連産業が衰退しなければいいのですが。

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2013年の国会内農林水産委員会での決議内容は別にTPPに限った話ではなく他国との輸出入全般にも当てはめられる話のように感じます。国内の乳製品生産者を保護するというのが目的であればTPP加盟国とは異なる国からの安い乳製品の輸入ならいいですよということにはなりませんよね。そう考えると今回の日本とEUのEPA交渉妥結の内容というのは何なのでしょう。この動きが国内の乳製品に関わる業者さんにとってどれくらいの影響があるものなのか私にはよくわかりませんけれど、残念ながら悪い影響があるということは確かでしょう。農林水産省の畜産統計によると乳用牛を飼っている酪農戸数は平成27年で17700戸だったそうです。平成23年から平成27年までの推移を見ても戸数は減少傾向です。現在営んでいる酪農家の方々にこれ以上負担のかからない政策をとらないと戸数はさらに減っていくのではないでしょうか。酪農戸数が減少したら自給率も低下しそうなものです。国外から乳製品がいつも供給されるという保証はありません。政府の方々にはいざという時に乳製品が手に入らないという状況にならないよう是非平時から配慮してほしいと思いました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

食材の自給率に関する他の話「日本の豚肉の自給率は?豚肉の輸入先や畜産農家数についても」はこちらです。

他国との貿易についての話「貿易における保護主義とは?メリットやデメリットについて」はこちらです。

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