イランとイスラエルが対立する理由は一体何なのでしょう

イラン、イスラエルの対立理由

 

中東地域に存在する様々な国々の関係は複雑です。同じイスラム教の国であるにもかかわらず仲が良くない関係の国々がありますし、宗教が異なっていても国交が回復している国々もあります。日本の報道機関でも中近東の国々に関するニュースが扱われることはありますが、その中でよく出てくる国の一つにイラン・イスラム共和国があります。最近はサウジアラビアなどイスラム教の異なった宗派の影響力が強い国との関係が悪化していることが報道されています。イランと仲が悪い国は中東地域に複数存在していますけれど、その中でも特に関係の悪い国にイスラエル共和国があります。イスラエルはイランが核兵器を保有する危険性がないか非常に敏感になっており、頻繁にイランの核開発が核兵器開発と結びつく可能性を指摘しイランを批判しているようです。現状でイランとイスラエルの関係が非常に悪いことは明らかですけれど、それ程関係が悪化、対立するようになった理由というのは何だったのでしょう。理由として過去にイランという国の体制が大きく変化したこと、パレスチナ地域が第二次世界大戦後、国連によって分割されたことなどが挙げられるかと思います。

 

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パレスチナ地域が分割されました

 

現在イスラエル共和国やパレスチナ自治政府が存在している地域はパレスチナと呼ばれる地域です。この地域を第二次世界大戦後の西暦1947年の11月にアラブ人の国家とユダヤ人の国家、二つの国に分割すると国際連合が決議しました。もともとパレスチナ地域にはアラブ系の人たちがたくさん住んでいたのですが1890年代後半以降パレスチナ地域に移り住むユダヤ人の人々の数が増加していきました。第二次世界大戦後アラブ系の人たちと移り住んできたユダヤ人の人たちの間でのいさかいが強まり、国連がパレスチナ地域を分割することにしています。ユダヤ人の国として分割された地域にもアラブ系の人たちは元々たくさん生活していたので、アラブ系の人たちは国連のそのような決定に強く反発しました。そのようなアラブ側の抵抗があったものの、1948年にはユダヤ人の人たちは国連の決定を理由にイスラエルという国を作る動きに出ます。こうしてパレスチナで元々生活していたイスラム教徒のアラブ系の方々にとっては非常に不本意な事態となりました。後からパレスチナに来たユダヤ人の人たちが自分たちの権利を奪い取ったと映りますので、その後延々とイスラエルというユダヤ人の国に対するパレスチナのアラブ系の人々の反発が続くこととなります。ユダヤ人の人々が1890年代後半以降パレスチナ地域に移り住むようになった理由として「シオニズム」という古代ユダヤ人の国家が存在していたパレスチナの地域に再びユダヤ人の民族国家を建設しようという思想が広まったことがあります。

 

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イランの体制が大きく変化しました

 

1979年のイランで体制が大きく変化し新たにイラン・イスラム共和国という国が誕生しました。それまでのイランは国王が国を統治する君主制の国だったのですが、当時の体制に対する国民からの反発が強まり、反政府運動が拡大しました。結局身の危険を回避するため国王は国外に避難し王室制度は倒れてしまいます。イラン革命とかイラン・イスラム革命などと呼ばれている体制の変換です。その後誕生した体制というのはイスラム法学者、イスラム教の指導者が国を統治するための最も強い権限を持つという仕組みの体制でした。イスラム教の教えに基いて政治をおこなおうという考えが非常にイラン国内で強まることになります。

 

新体制のイランが強烈にイスラエルを敵視するようになりました

 

新しくイランを統治することになった指導者はイスラム教の教えを非常に大切にする人たちです。他の国のイスラム教徒の人たちのことも尊重する人たちですから、パレスチナで権利を奪われ苦しんでいるアラブ系のイスラム教徒の人たちについて無視することなど出来ません。アラブ系の人たちが平和に生活していた地域に後から移り住んで国を作りアラブ系のイスラム教徒の意向を無視する勢力を新体制のイランは否定しました。イラン・イスラム共和国はシオニズムに基いて建国されたイスラエル共和国を国家として認めないという姿勢に出たのです。パレスチナ地域は元々住んでいたアラブ系の人々によって統治されるべきだと主張しました。元々、イラン革命が発生する以前のイランはイスラエルと国交があったのです。普通に交流が二国間でおこなわれていました。そのような関係がイラン革命によって断絶される結果となりました。以来、イランとイスラエルは非常に関係が悪い状態のままとなっています。

 

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今回はなぜイランとイスラエルの関係がとても悪いのかということについて一部取りあげました。イランとアメリカなど西側諸国の間で核開発に関する合意が以前成立しましたが、その後もイスラエルはイランが核兵器開発する危険性を主張しアメリカの対イラン融和政策を批判していたようです。イスラエルによるイランに対する批判を最近のニュースでも耳にしたので、そもそもの関係悪化の理由を確認したくこのような記事を作ってみようと思いました。イラン側のかつての指導者が地図上からイスラエルを消すなどという非常に物騒な発言をする場合もあったようですから、イスラエルで生活しているユダヤの人々にとって、確かにイランが核兵器とイスラエルを射程範囲内におさめるミサイルを手に入れることは自分たちの安全を保障する上で大変な脅威に感じるのでしょう。しかしイスラエルは核兵器を保有している可能性が高いと言われていますし、仮にイランがそのような大量破壊兵器を開発してイスラエルに使用するものなら、イランもイスラエルから報復されて大変な被害を出してしまうでしょう。そのような自国にとって得にならない大量破壊兵器の先制攻撃をイランがするものでしょうか。アメリカからの攻撃を防ぐために核兵器を持ちたいという人たちはイランにもいるかもしれませんが、そういう人であってもアメリカに対し先制核攻撃することなど考えないでしょう。核兵器を保有することで相手に核兵器を使わせず自国の安全を保障するという目的であれば核兵器の保有は意味があるのかもしれませんけれど。イランが核保有国になったからといってそれほど先制攻撃のリスクが高まるものなのかなという気がするんですが、これは単なる素人である私の意見です。普通に考えますとイスラエルが自発的に国を解消する動きに出るとはとても思えませんし、イランが現状の体制のままであればイスラエルを国家認定するなどという政策転換は考えにくいと思います。どちらも言い分はあるかと思いますけれど、核開発を理由に今後二国間の戦争、などということは是非回避してもらいたいところです。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

パレスチナについて触れている他の話「パレスチナ解放機構の意味や略称、指導者について」はこちらです。

イランが若干関わってくる中東地域の他の話「カタールが国交断絶されてしまった原因は何なのでしょう」はこちらです。

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