防空識別圏に尖閣上空も入れたことで示されたアメリカの動き

尖閣上空が防空識別圏に入った後のアメリカの反応

 

西暦2013年(平成25年)の11月23日に中華人民共和国は東シナ海の一部に防空識別圏(ぼうくうしきべつけん)を設定すると発表しました。東シナ海は沖縄などの南西諸島と中国大陸の間に挟まれている海の呼び名です。防空識別圏というのはそれぞれの国の領空とは異なるもので、自国所属ではない航空機がこの範囲に入ってきた場合に警戒態勢をとるような、そういった空域です。防空識別圏の範囲内に他国の航空機が入ったとしても国際的な慣習、国際法に違反することにはなりません。ただ防空識別圏に入られた側としては自国を守るため、警戒して戦闘機を緊急に発進させて、防空識別圏に入ってきた航空機に出ていくよう警告する、そのようなことになる可能性は出てきます。2013年11月23日の中国側の防空識別圏の設定後、アメリカは中国の行動に対し懸念を表明しました。そして11月26日、アメリカは米軍に所属する航空機を東シナ海に向かわせ、その航空機は尖閣諸島周辺上空を飛行しています。同じ時期に日本の外務大臣とアメリカの国務長官(日本の外務大臣のような立場)が電話で協議し、国務長官は中国側の防空識別圏設定を撤回するよう要求している日本側の姿勢を支持しました。

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また、国務長官は2014年の2月に中国の北京で中国の国家主席と会談した時に中国側に防空識別圏の件で地域の安定にとって挑戦的だといった内容を伝え抑制するよう要求しています。2013年11月に中国側が識別圏を設定した当初のアメリカ側の動きとしては他にも様々あったと思われますが、大きなものとしては以上のようなことが挙げられるかと思います。アメリカがこのような行動をとった理由は中国の設定した識別圏の範囲に尖閣諸島の上空がすべて含まれていたからです。尖閣諸島は日本の領土であるため、日本政府は中国側の動きを当然批判しました。日中間で領有を巡り意見が対立する尖閣諸島を含めた防空識別圏の設定を新たにおこなう行為は東シナ海の現状を変更することになるためアメリカも反対しました。新たに中国が尖閣諸島上空も防空識別圏にしたことによって日本の航空機が尖閣上空を飛んだ場合、中国の戦闘機が緊急発進し尖閣諸島上空に向かい、日本の航空機にこの空域から出ていくよう警告するということになりかねません。日本側としてはそんな中国側の要求に応じる必要は無いという立場ですから、中国側に従わない。そうなりますと尖閣諸島上空で日中間の武力衝突が生じる危険性が高まってしまうことになります。それを懸念しアメリカ側は中国側に自制を求めたということです。

 

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懸念表明

 

中国による東シナ海地域の防空識別圏設定発表直後にアメリカの国務長官からは東シナ海の状況を変更しようとする一方的な行動だといった内容で中国側を批判しましたし、アメリカの国防長官からも東シナ海の状況を不安定にし関係国の軍事担当者が誤解する危険性が高くなるといった内容が発表されて中国側を批判しています。

 

アメリカ軍用機の飛行

 

特に中国側からの識別圏設定を撤回するような動きが無いまま数日間が経過し11月26日にグアムにあるアメリカ軍基地を離陸した長距離の移動が可能なアメリカの爆撃機2機が、中国側に対する事前通告をしない状態で尖閣諸島上空を飛行しました。これは以前から予定していた飛行訓練の一環というのが名目だったようですけれど、アメリカの関係者からは中国の動きをけん制するための行為といった発言があり、アメリカの有力紙は中国への挑戦、批判を意味している行為と報じました。

 

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今回は2013年に起こった尖閣諸島に関わる出来事を取りあげました。2013年に発生して日本が関わってくる重大な話ってあったかなぁと思いつつ年表を見ていてこの話を見つけました。やはりこの防空識別圏の話は日本の主権が脅かされることにつながってしまいますから重要な話ですよね。世間的にはアメリカの反応に関心がもたれているようなのでこのようなテーマの記事にしています。鄧小平という人が中国を仕切っていた時代は尖閣諸島の領有について棚上げしようという姿勢でしたが、2010年の尖閣諸島周辺での漁船衝突の件もありますし、その後もこのような動きを見せてくるのですから、国の指導者が変わると対外的な方針も変わるということがよくわかります。将来平和的な方針を中国側がとればいいですがそのような保証は何もありません。日中間で領有を巡り意見が対立している中、中国が新たにこのような動きをしてくるという出来事は、自国の平和を他国の良識に委ねきっていいものなのかどうなのか検討する際に参考にするべき事例になると思います。世界平和を日本が求めていくのは当然として、日本国憲法にあるような戦力保持を否定するようにも受け取れる内容というのはやはり改めたほうがいいんじゃないだろうか。今回の件はそう思わせるような出来事でした。アメリカが中国にプレッシャーをかけなかったら、中国はどのような振る舞いをその後したのでしょう。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

中華人民共和国の国内の仕組みについて触れている話「中国の党大会とは?中央委員会や全人代についても」はこちらです。

中国共産党勢力の過去の動きについて触れている話「第二次国共合作とは?合作成立の理由や合作の崩壊についても」はこちらです。

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