江戸時代の寺子屋は全国でどれくらいの数あったのでしょう

江戸時代の寺子屋の数

 

江戸時代には武士階級の人たちではない一般的な庶民の教育のための場所、寺子屋(てらこや)がとても増えました。書面に記録する商習慣などが普及したことが関係するという話もあるのだそうですが、こういった教育施設というのはどれくらいあったものなのでしょう。国がその件で明治時代に入って調査したことがあり、文部省の作った日本教育史資料というものによれば、全国の75%の地域で約15560か所の寺子屋があったのだそうです。しかし確認できなかった地域もありますし確認されたとされる地域でも実施に存在していた寺子屋の数は文部省の調査した数よりも多かった場合もあるそうで、全国に存在していた寺子屋の数は日本教育史資料の15560という数を上回る、20000か所以上にのぼる規模だったという指摘もあります。江戸時代の人口は多かった時だと3000万人くらいの規模だったそうです。約3000万人に対し20000か所くらいの寺子屋の数だとしますと、相当な数だと言えるかと思います。ちなみに現在の日本には平成27年で20600校の小学校が存在しているそうです。今の日本の人口は1億2600万人くらいです。

 

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江戸時代の識字率

 

江戸時代の日本で字を読むことの出来る人の割合はどれ位だったのかについては当時の就学率から推測されているようで、少なく見ても70%以上の日本人は字を読むことが出来ただろうと言われているようです。江戸時代の就学率は8割くらいだったという指摘が多いようなので、識字率がこれくらいの値になっているんですね。7割くらいの人たちが字を読むことが出来たという推測についてはこの値だけ見てもいいのか悪いのかわかりにくい所がありますけれど、江戸時代末期のイギリスやフランスの大都市での識字率が3割を下回っていたという指摘もあるらしく、これらの国の値が事実なら日本は相当高い識字率の水準だったことになります。

 

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先生を担当していた人たち

 

寺子屋で先生をしていたのは師匠(ししょう)と呼ばれる人たちで、様々な立場の人たちが教えていたようです。武士階級の人が教える場合もあれば、お坊さんが教えてくれる場合もありました。神主さんやお医者さんが担当する場合もあったそうですけれど、町人の立場の方が教える場合が多かったという指摘もあります。

 

教えた内容

 

字の習得から始まります。「いろはにほへと」的に仮名を学んで数字も学んで、日常使われる言葉として干支や地名、地域名、よくある名字、方角を学ばせていたそうです。そういった言葉を学んだあとに手紙の模範的なやり取りをまとめた教科書のようなものを使って文書の書き方や知識を学ばせたと言われています。教科書は往来物(おうらいもの)などという呼ばれ方をされていたのだとか。他にも商売に欠かせない数字の計算をするためにそろばんの教育もおこなわれています。塵劫記(じんこうぎ)という教科書はそろばん指導のために作られた教科書でした。

 

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今回は江戸時代におこなわれていた教育で欠かせない寺子屋について取りあげました。歴史に関する記事をこれまで作ってきましたが西暦2016年の出来事まで到達したので今後は江戸時代から過去にさかのぼって扱えるテーマと思われることに関して記事を作っていこうと考えています。寺子屋に関しては「読み書きそろばん」という言いまわしが頭に浮かぶくらいで特にそれ以上のことは知りませんでした。当時存在していた寺子屋の数に関しても全然想像できませんでしたが、当時の社会で全国に2万か所以上存在したことも考えられるというのは現在の教育機関の数と比較するとかなりの数であることがわかります。当時の社会がそれくらい字の読み書き、計算といった能力を人々に求めていたのでしょうね。寺子屋に通う子供たちはそれぞれの境遇も異なりますので、師匠さんがそれぞれの子に必要と思われる内容を教えるような個人指導がおこなわれていたという指摘もあるようです。今の小学校に比べるとかなり柔軟な対応ですね。寺子屋という呼び名が今は一般的になっていますが、地域によっては筆学所(ひつがくしょ)などと言っていたそうで、寺子屋の呼び名は主に関西で使われていたそうです。どこもかしこも寺子屋という呼び名だったわけではありませんでした。念のため補足しておきます。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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