明治時代の自由党が解党した理由は何だったのでしょう

解党した理由

 

自由党の解党については加波山事件(かばさんじけん)や運動資金の不足が理由となったという指摘が多いようです。また自由党は他の理由で混乱していたという事情もあります。自由党の党首であった板垣退助さんの洋行問題やただでさえ集会条例という国の規則によって自由党の活動が弾圧されていた中、自由党内の過激な人たちの関わる事件が発生し更に政府から弾圧されていました。また他の有名政党である立憲改進党との関係が悪化していました。

このように複数の問題を抱えていたことで国会がまだ開設されていない西暦1884年の10月に自由党は解党しています。自由党が結党されたのは西暦1881年です。約3年間で解党という結果になりました。

 

以下それぞれの項目について補足していきます。

 

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加波山事件

 

加波山事件(かばさんじけん)は西暦1884年(明治17年)に発生しています。自由党員の過激な人たちが当時栃木県令だった三島通庸(みしま みちつね)さんや政府要人を暗殺する計画を立てたものの未遂に終わり、栃木県にある加波山(かばさん)で挙兵する結果となりました。結局政府側に鎮圧され逮捕されています。7名もの人たちに裁判で死刑の判決が出ました。この事件により自由党内で解党の意見が強まったそうです。

 

運動資金の不足

 

自由党の支持基盤は地方の農家だったと言われています。豪農と呼ばれる有力者から規模のそれ程大きくない農家の人までといった様々な立場の農業従事者から支持されていました。自由党はそのような人たちから経済的な支援もしてもらっていたようですが、この頃支持してくれていた農家の人たちが経済的な苦境に立たされ自由党にお金を出してくれるような余裕は無かったようです。いわゆる松方財政という政府の経済政策によってたくさんの農家の人たちが収入を減らし税負担が増大したためです。党の運動資金を募っても目標額に到達しなかったようで、そのことも自由党の活動を続けていくのが難しくなった理由のようです。

 

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洋行問題

 

自由党の党首である板垣退助さんや党の幹部である後藤象二郎さんらがヨーロッパへ視察目的で日本を離れました。この行動は政府の役人から勧められたことをきっかけとしており、その費用は政府の働きかけで政商である三井から出してもらったのだそうです。

板垣さんらの行動に自由党内から反発が出ました。自由党の幹部でありながら民権運動が勢いづいている今のような時期になぜヨーロッパへ視察に行かなければならないのか、という理由での反発だったようです。この問題を理由にして自由党を去った幹部の人たちも出たのだそうです。

 

立憲改進党との軋轢

 

板垣さん、後藤さんの洋行問題については党内からだけではなく、他党である立憲改進党からも批判される結果となりました。立憲改進党を支持する新聞が洋行のための旅費が一体どこから出ているのかといったような追及をしていたのだそうです。

このような改進党の攻撃に対し自由党側は立憲改進党側と政商である三菱との癒着の疑いを持ち出して責めたて応酬したそうです。結局自由党、立憲改進党、両方の政党のイメージダウンへとつながっていきました。

 

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今回は自由党の解党について取りあげてみました。党の規模が多ければたくさんの人が関わりますので、中には過激な路線に走ってしまう人も出てきてしまうのかもしれません。経済的に厳しい時期だったそうなのでそれが尚更拍車をかけたんでしょうか。ただ、法に触れることを行うと政府に弾圧のための格好の口実を与えてしまうことにつながるんですね。自由党の過激な人たちの直接行動は政府側に鎮圧され失敗に終わっています。そして過激な行動についていけない支持者たちも多かったのかもしれません。そのような人たちが自由党から離れれば、党の活動にも支障が出るでしょうね。

政府の役人から勧められ板垣さんらが洋行することで党は内部に不和が生じ、立憲改進党との間でも関係が悪化しお互いに対する批判を強め、結局双方損をしたのではないでしょうか。得をしたのは政府、という気もするのですが、どうなのでしょう。故事成語の「漁夫の利」を思い出させる出来事ですね。権力側から政治的に敵対している勢力への働きかけには、このような罠が潜んでいる場合って多いのでしょうか。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載した写真に関係はございません。ご了承ください。

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