戒厳令とは何でしょう。その意味と英語表現を調べてみました。

戒厳令を英語でいうと

 

「戒厳令」は英語でmartial law(マーシャルロー)と言います。「戒厳令をしく」というのは英語でproclaim martial lawと言い、「戒厳令を解く」というのはlift martial lawと言うそうです。英語表現を簡単にまとめてみました。

 

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戒厳令とは

 

軍部に国全体や一部の地域を治めるための権限を移す命令のことを戒厳令というそうです。権限を移すというのは立法権や司法権、行政権といった国家を運営するにあたって必要な権力を一時的に移すという事です。大統領や首相のような行政のトップの立場の人がこのような命令を出すことになることが多いようですが、クーデター(武力の行使による政変)が成功した場合はクーデターの首謀者が国を仕切るわけですから、その人物が命令を出すという事になるようです。

戒厳令が出されるのは本来他国との戦争、内戦、災害など社会が非常に混乱した時のようです。

辞書のような本には大抵このような意味合いのことが簡潔に書かれているのですが、個人的には今一つよくわかりませんでした。しかし調べてみるとこれはなかなか過激なことのようです。

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軍部に立法権を移すという事は法律のようなルールを議会ではなく軍が作るという事です。また、戒厳令が出される前まで存在していた一部の法律について効力を止める権限も含まれるようです。

軍部に司法権を移すという事は軍部が裁判を仕切るという事になります。軍に裁判官のような専門的な行為が出来るものなのかなぁと思いましたが、裁判の内容によっては軍人が裁判官や検察官の役割を務めるなんてこともあるのだそうです。ただし裁判をされるだけまだましで、軍の命令に従わなければ裁判無しで即刻罰するということも無いとは言えないようです。これはすごいことですよね。

軍部に行政権を移すという事は公務員の人たちはみんな軍の命令に従って動くということになります。

こうして見てみると戒厳令の下では民主的な社会運営は全くなされないですよね。せいぜい戒厳令を出すのが大抵は民主的に選ばれた国のトップであるというくらいなものです。

そもそも戒厳令を出す目的は何なのか、ですが、社会が大変混乱した状態のままでは多くの国民が被害を受けてしまう。そうならないために出来るだけ速やかに社会の秩序(治安など)を取り戻し、国民がこうむる被害を最小限にとどめなければならない。秩序を速やかに取り戻すためには軍の力を使い様々な出来事を素早く処理する必要がある。だから権限を軍に移す必要がある。という事で戒厳令という命令が存在しこのような命令が正当化されるようです。

 

最近の例

 

2016年の7月にトルコ共和国でクーデター未遂事件が発生しましたが、この時クーデターを起こした側が国営テレビなどのマスコミを通じて戒厳令を敷くという声明を出しました。結局クーデターは失敗しその後戒厳令は取り消されました。

2014年の5月にはタイ王国で戒厳令が敷かれ、10か月後に解除されています。この時はタイ国の世論が大きく二つに分かれてしまい、二つの勢力の間で対立が激化し2月に総選挙が行われたものの一方の勢力による妨害で投票が実施できなかった地域も出てきてしまい、結局総選挙が無効という状況になってしまいました。混乱した状況を収拾するという目的でタイの陸軍が戒厳令を出すと声明をだしています。この戒厳令は行政のトップではなく軍が直接出しているのでクーデター(武力による政変)という事になりますね。

 

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戒厳令という言葉はこれまでも耳にしたことはありましたが正直よくわかりませんでした。警察が厳しく取り締まることか?とか、あいまいな印象があった程度です。今回この言葉を調べてみようと思ったのは、以前フィリピンの大統領が戒厳令を敷くかもしれないという話を聞いたからでした。今回の場合はフィリピンの特殊事情で社会が混乱しているからというのが理由なようですが、フィリピンの現状はそこまで大変なのでしょうか。

ダバオ市で治安を回復するために過激な対策をとっていたと言われている現在の大統領ですから、戒厳令をちらつかせるのも今の大統領らしい動きと言えるのかもしれません。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

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