故事成語「曲突徙薪」とは?読み方や意味について

「曲突徙薪」の読み方

 

故事成語「曲突徙薪」は「きょくとつししん」と読みます。私は「徙薪」に関して全く読めませんでした。よく見ると徙薪の薪は臥薪嘗胆の薪と同じ字ですね。普段全く使うことの無い字です・・・。

 

「曲突徙薪」の意味

 

「曲突徙薪」は「起こりそうな悪い出来事を発生する前に防ぐこと」という意味なのだそうです。突という漢字には「突き出たもの」という意味があるそうです。個人的には全く使ったことの無い漢字、徙(し)は「移す、場所を変える」という意味のある字だそうです。となると、この故事成語の文字通りの意味は「突き出たものを曲げ、まきを移動させる」という意味になりますね。

 

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故事成語となった由来の話

 

「曲突徙薪」が故事成語となった由来の話は中国の古典「十八史略」に掲載されています。書き下し文を私なりの言葉で現在の表現にしたものを以下に記します。誤った所があるかと思いますがご了承ください。

 

大昔の中国に「漢」という国があった頃、その国の政治家の一家、霍(かく)家の人が主君に対し反旗を翻しその企てが失敗したことで捕えられました。処刑されることになり、霍家の人たちはそれに従います。また霍家に連なる一族は討伐されました。霍家の一族の悪い振る舞いを通報した人は高い身分に引き上げてもらうこととなりました。

霍家の人は以前贅沢をしておごり、自分の意のままに行動していました。茂陵(もりょう)という土地に住んでいた徐福(じょふく)さんは以下のように王様に意見しました。「是非ともこのあたりで政治家霍家の贅沢な生活を抑えさせ、国を亡ぼすようなことの無いようにしてください。」三度も書状を出し申し入れたのですが、王様はその意見を聞き入れませんでした。

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このような状況である人が徐福さんの為に王様に以下のように申し入れました。旅人がある店を通り過ぎることがありました。その店の調理設備に備え付けてある煙突がまっすぐな状態ですぐそばに燃料に使うための薪(まき)が積んで置いてありました。旅人はそれを見て店の主人に「真っ直ぐではなく、曲がった煙突に作り直して今すぐにでも積んである薪を他の場所に移したほうがいいですよ。」と言いました。しかし店の主人はその忠告を聞き入れませんでした。その後すぐに主人は火事を起こしてしまいました。周辺の人々がみんなこの火事を消すことに協力し、幸いなことにおかげで火を消すことが出来ました。

火事を起こしてしまった店の主人は飼っていた牛をさばき、料理し、お酒も出して鎮火に協力してくれた周辺の人々にふるまって感謝の気持ちを表しました。鎮火に協力してくれた人が店の主人に言いました。「火事が起きる前に旅人が忠告してくれたことに従っていれば、牛やお酒を失うことが無かったばかりか火事に遭うこともなかったのに。今この時点で今回の出来事に功績のあったのは誰か考えてみたのだけれど、曲がった煙突にして薪の場所を移動させたほうがいいと忠告してくれた旅人に何の謝礼も無く、火事が発生した後に頭髪を焦がしたり額を火傷してただれてしまった我々が評価されるというのは評価のしかたとしてはどうなんだろうか。」

この話を聞いた王様は最初に意見を申し入れてきた徐福さんに絹織物を褒美として与え、国の役人として採用することとしました。

 

「十八史略」に掲載されている話は以上のような内容となっています。

 

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今回は「曲突徙薪」について取りあげてみました。私個人としてはこの故事成語も全くなじみの無い言葉でした。十八史略に載っている今回の話が興味深く取りあげてみた次第です。

今回の話も王様に納得してもらうことを目的にたとえ話をするという展開です。以前取りあげた「漁夫の利」や「蝸牛角上の争い」も君主を相手に賢者がたとえ話などを用いてやんわりと意見を進言し王様を説得するという話でした。

今回の話は「忠告をしてもらったら、ちゃんと聞き従ったほうがいいですよ。」ということを言っている気がします。十八史略の中の話で言えば、国の政治を担っている一人、霍家の人たちが贅沢で気ままなことをし続けるようなことを放っておいたら、国が傾き、悪ければ、国を亡ぼしてしまうことになりかねませんよ、だから霍家勢力の行為をちゃんと改めさせるべきです、ということですね。

国の王様が徐福さんの複数回にも及ぶ訴えを聞き入れなかったのは、霍家の勢力が強く、出来れば穏便に済ませたいという考えがあったからなのでしょうか。それともそれなりに有能な政治家だったからなのでしょうか。霍家は霍光という人物がとくに有名だそうで漢の国の政治を仕切るほどの人物だったそうです。それくらい有力な人物であれば国王も余程のことが無い限り霍家の人たちに厳しい対応をすることは難しかったのかもしれませんね。

忠告に耳を傾けて災いを未然に防ぐことが出来ることはとても優れたことだと思いますが、出来ないことを実行するように忠告された場合は困ってしまうでしょうね。そこは忠告してくれた人とよく相談するしかないのでしょうか。いずれにしても、せめて忠告に対し頭ごなしに拒否するのではなく、耳を貸すくらいのことは出来るようにしたいなと、この故事成語の話を調べていて感じました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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