故事成語「鶏口牛後」の読み方や意味、由来の話について

故事成語「鶏口牛後」の読み方

 

故事成語「鶏口牛後」は「けいこうぎゅうご」と読みます。四文字の漢字は全て普通の音読みで読むことになります。

 

故事成語「鶏口牛後」の意味

 

「鶏口牛後」は大きな勢力の中で下の立場にいて言いなりになるよりも、例え小さな勢力だとしても指導する上の立場にいるほうがいいですよ、という意味です。

 

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「鶏口牛後」という故事成語の由来となっている話

 

中国の古典「十八史略」の中にある鶏口牛後の出てくる話を取りあげてみます。私なりの言葉で現在の表現としています。忠実な訳とは異なりますのでご了承ください。

 

大昔の中国では秦という大国が君臨していました。秦の王様は秦の周辺に存在する複数の小国を脅し、それぞれの小国の領土の一部を秦に譲り渡すよう求めていました。

中国の洛陽(現在の河南省にある都市です)という都市に蘇秦という人がいました。蘇秦さんは秦国の王様、恵王さんに面会し蘇秦さんの当時の時局に対する考えを述べました。しかし恵王さんは蘇秦さんの考えを聞いたものの、考えが合わなかったということでしょうか、蘇秦さんを秦の役人として用いることはありませんでした。

今度は燕という秦の周辺国を訪問しその国の王様、文王さんに蘇秦さんの考えを伝え他の周辺国の一つ、趙と手を結ぶばせようとしました。燕国としてはこの考えを支持し蘇秦さんに資金援助し蘇秦さんを趙へ派遣しました。蘇秦さんは趙国の王様、粛王さんに自説を説明して言いました。「秦の周辺に存在する国の兵員の数は合計するとあの大国、秦の十倍にもなるのです。周辺国が協力して西へ向かえば(秦に対抗したら)、秦は必ず敗れるでしょう。粛王さまの為に戦略を考えた場合、秦の周辺に存在する六カ国が手を結び、秦を撃退するよりも良い方法はありません(一番いい案です)。」

趙の粛王さんは蘇秦さんの考えを支持し蘇秦さんに資金援助し秦の周辺に存在する各国を説得して盟約を結ぼうとしました。趙国の方針を受けて蘇秦さんはことわざを使って秦の周辺国の王様を説得して言いました。「鶏の口になるならまだしも、牛の後ろ側(臀部や尻尾を指していると思いますが)になってはなりません。」

この蘇秦さんの説得に応じ、秦の周辺に存在する六カ国はお互いに同盟を結ぶこととなりました。

 

以上のような内容のお話となっております。

 

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「鶏口牛後」の使い方

 

私なりにこんな状況での使用を考えてみました。

A「B、卒業した後はどうするつもりなの?」

B「卒業後?もし可能なら市役所か地元の金融機関に就職したいなと思ってはいるけどな。倍率も高くて難しいかもね。」

A「実家の家業はどうするの?継ぐ人ってBの他にいたの?」

B「継ぐ人いないよ。兄貴は待遇のいい専門職に就いているから、それをやめてわざわざ収入のそれ程多くない実家を継ごうとは、まぁ思わないだろうな。まず無いね。」

A「じゃあ、Bのお父さんに継ぐように誘われているんじゃないの?」

B「あー。言われたことあるよ。さっき言ったような役所か金融機関で働けるものならそうしようと思ってるからってことを話したんだよ。そしたらウチの父親は『お前の性格なら下の立場でこき使われていたら続けるの大変だと思うぞ。鶏口牛後だ。俺の言うこと聞いて頑張れば一家の主になれることは間違いないんだから、家の仕事を手伝え。』ってさ。」

A「なるほどねー。継ぐ考えは全くないの?」

B「まだ全然わからんわ。就職が無理そうならやってみるかもな。でもなー、ウチの家業って将来性があるのかどうか・・・。」

 

お粗末でした。大きな組織、小さな組織、大きな勢力、小さな勢力、そういったものを比較して選択する状況って、どうなんでしょう。身の周りのことならば、自分がこれからどのような集団に所属するかを選択するような時にこの故事成語を使う場合はあるかもしれませんね。

 

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この故事成語については賛成する方もあまりそうではない方もおられるかもしれませんね。「寄らば大樹の陰」なんて言い回しもありますし。大きな組織でこき使われていても能力が評価されて出世される方も当然いらっしゃるでしょう。

ただ、立場が人を変えていく場合もあるといいますし、鶏口牛後的な価値判断をされたほうが活躍される方もおられるかもしれませんね。この故事成語が当てはまるかどうかは人によるのかなと感じました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

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