故事成語「鼎の軽重を問う」の意味や読み方、由来について

「鼎の軽重を問う」の読み方

 

「鼎の軽重を問う」は「かなえのけいちょうをとう」と読みます。鼎を「かなえ」と読むのも、軽重を「けいちょう」と読むのも個人的には難しいように感じました。

 

「鼎の軽重を問う」の意味

 

「鼎の軽重を問う」は「権威ある人、あるいは権力者の実力が低いのではないかと疑うこと。」という意味や「権力者の能力を低いと判断し、その立場を奪い取ること。」という意味があるそうです。

「鼎」(かなえ)はもともと大昔の中国大陸で調理用の土器として使われたそうですが、時代が経過し権力者の象徴として尊重された青銅で作られた鼎もあったそうです。この故事成語に出てくる鼎は国にとって重要なタイプの鼎ということになります。

 

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「鼎の軽重を問う」の由来となる話

 

「鼎の軽重を問う」が故事成語となった由来の話は中国の古典「春秋左氏伝」に掲載されています。以下に書き下し文を私なりに現在の言葉で表現し直したものを示します。誤った所があるかと思いますがご了承ください。

 

大昔の中国大陸に楚(そ)という国がありました。ある時その国の王様が自国の軍を使って陸渾(りくこん)という地域の他民族を討伐しました。そして楚の軍隊は雒(らく)という名前の河に到達しました。楚の軍隊が他国である周(しゅう)の国境まで来たことを示しました。周の王様は周の高官である王孫満(おうそんまん)さんを楚の王様のもとへ派遣して今回の他民族を討伐した楚の軍事行動をねぎらいました。

すると楚の王様は周の王室の象徴である鼎(かなえ)の大きさや重量についてあれこれ王孫満さんに尋ねました。

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王さんは「周の成り立っている基盤は徳(すぐれた品性)にあるのであって、王様が御関心を持たれている鼎にあるわけではございません。大昔、夏(か)という国に徳が備わっていた時代、遠方にある物の絵を描き金属を地方の役人に献上させて鼎を作り、その鼎に物の絵をかたどりました。描いた物の数は100に及び様々なものを網羅していました。それで国の民に神や邪なものを知らせたのです。そのおかげで国の民は川や湿地、山林に立ち入っても怪しげなものに遭遇せず、化け物に出くわすこともありませんでした。そうして様々な身分の人たちは協力することが出来、天からの喜び、幸せを享受しました。

夏の最後の皇帝、桀王さんはすぐれた品性を持っていなかったため、作られた鼎は商という王朝の手に渡ってしまいました。それから六百年も経過し、商王朝の最後の皇帝、紂王さんはむごい政治を行い、鼎は周王朝の手に渡りました。国の君主の品性が優れて秀でているのならば、例え鼎が小さかったとしてもその重みは相当なものでしょうし、反対に君主の品性がよこしまで道理に合わない振る舞いをするならば、例え鼎が大きいものだったとしてもその重みなど知れたものでしょう。

天は長い歴史の中で様々な人物に皇帝の位を授けてきましたが、その皇帝の位は行きつくところに行き、留まっております。周の二代目の皇帝であった成王は郟鄏に鼎を定置しました。それから30代と世代は経過し700年の歳月がたちました。これだけの長い年月の間、周に鼎が存在しているのは天の意思によるのです。現在の周国の品性は周が建国された当時に比べれば劣っているとはいっても、天はまだ周を滅ぼすという考えにはなっておりません。周に存在する鼎の重さが軽いか重いかなどということは、他の国の方が今の段階で尋ねるべきことではありません。」と言いました。

 

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今回は「鼎の軽重を問う」という故事成語でした。この故事成語も由来となった話が個人的に興味深かったので取りあげてみた次第です。ただこの話については書き下し文を現在の表現にし直すのが私にとってはとても困難でした。

話に出てくる夏(か)という国の民衆が化け物の被害に遭わなかったというような箇所や天の意思のような箇所について言葉通りに受け取ることは抵抗がありました。しかし王朝の末期には指導者である君主の徳が失われ必然的に王朝が変わるというような捉え方については中国大陸の人たちの考え方の一端を知ることが出来た気がします。これはつまり君主の品性が素晴らしければその君主が治める国は滅亡しないということですよね。王朝が長く続けば権力機構が多かれ少なかれ腐敗していくことはよくある話ですし、そういう状況では「徳」も無くなっていくのでしょうね。

「鼎の軽重を問う」は下剋上的な言いまわしのように感じます。徳のある人はおそらく上司にあたる人を追い落として自分が権力を握るということはしないでしょう。王孫満さんはこの話の中で「鼎の軽重を問う」行為についても徳が無いと言いたかったのではないかなと思いました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載した写真に関係はございません。ご了承ください。

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