管鮑の交わりとは?意味や由来となった話について

「管鮑の交わり」の読み方

 

故事成語「管鮑の交わり」は「かんぽうのまじわり」と読みます。「管鮑」は二人の人の名前を合わせた表現ですし、何も知らないで読むのはなかなか難しいのではないでしょうか。

 

「管鮑の交わり」の意味

 

「管鮑」の「管」は管仲夷吾(かんちゅういご)という人物のことを意味し「鮑」は鮑叔牙(ほうしゅくが)という人物のことを意味します。交わりは交流、交友ということですね。文字通りであれば「管仲夷吾と鮑叔牙の交友」ということになります。

この故事成語は「お互いをよく理解している非常に親しい交際」「大変親しい友達付き合い」や「ずっと変わらない友情」「利害を超えた友情」を意味しているそうです。

 

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「管鮑の交わり」が故事成語となった由来の話

 

「管鮑の交わり」については中国の古典、「史記」に由来となった話が掲載されています。関係箇所の書き下し文を私なりの言葉で現在の表現にしてみます。間違えている所もあるかと思いますがご了承ください。

 

管仲夷吾(かんちゅういご)さんは潁(えい)という河の上流の地域で育った人です。幼少時いつも鮑叔牙(ほうしゅくが)さんと一緒に過ごしていました。鮑叔さんは管仲さんが賢い人物であることを知っていました。管仲さんは貧しく、いつも鮑叔さんをだましていましたが、鮑叔さんはずっと管仲さんに対し親切に接してだましたことをとやかく言いませんでした。

その後鮑叔さんは斉(せい)という国の王様の子弟であった小白(しょうはく)さんに仕えることとなりました。そして管仲さんは王様の他の子弟であった糾(きゅう)さんに仕えました。小白さんは王位継承争いのため決起し、他の子弟との争いに勝利し桓公(かんこう)と名乗る王様となりました。糾さんは継承争いに敗れ死亡し管仲さんは捕われてしまいました。鮑叔さんは最終的に桓公さんへ管仲さんを登用するよう推薦しました。それによって管仲さんは桓公さんに仕えることとなり、斉の政治に関与するようになりました。これによって桓公さんは覇権を手に入れることとなりました。様々な国をまとめ、天下を正しく治めることが出来たのは管仲さんの方法を採用したからです。

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管仲さんは「私が貧しかった頃、鮑叔と商売をしたことがありました。商売で得た利益を分ける時に私の取り分が多くなるように分けてくれたものです。私が貧しかったことを知っていたので私を欲深い人間にさせない為にそのようにしてくれたのです。私は以前鮑叔の為に商売に関して作戦を立てて実行してみたのですが失敗してさらに貧しくなってしまうことがありました。そんなことがあっても鮑叔は私を愚か者とはみなしませんでした。商売には有利な時期や不利な時期があることを彼は知っていたんです。私はかつて三人の人物に仕えたことがありましたが、その三人の人物に結局罷免されてしまいました。そんなことがあっても鮑叔は私のことを未熟者とはみなしませんでした。当時私の才覚が時局に適さなかっただけだということを知っていたのです。私は以前三回戦争に参加して三回とも敗走しました。しかし鮑叔は私のことを卑怯者とは見ませんでした。私には面倒を見なければならない老いた母親がいることを彼は知っていたからです。前の王様の子弟である糾さまが王位継承の争いに敗れた時、糾さまに仕えていた召忽(しょうこつ)さんはこの争いで亡くなりました。私は捕えられ捕虜になってしまうという恥をかく結果となりました。しかし鮑叔は私のことを恥知らずとは見なしませんでした。以前仕えていた方に義理立てして命を絶つという道を選ばなかったことを私が恥とせず、むしろ功績をあげて世の中に自分の名前を轟かせることが出来ないのを恥じると知っていたからです。私を生んでくれたのは親ですが、私のことを一番知っているのは鮑叔なのです。」

鮑叔さんは管仲さんを斉のまつりごとを行う人物として王様に推薦し、管仲さんの下で王様に仕えました。鮑叔さんの子孫は代々斉国の役人として取り立てられ、10代以上の長い期間領地を国王から与えられていました。有能な高官として活躍したそうです。

世の中の人々は管仲さんの賢明さを評価する以上に鮑叔さんの人物を見極める能力を評価しました。

以上のような話が史記に掲載されています。

 

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今回は故事成語、「管鮑の交わり」を取りあげてみました。由来となった話が興味深かったことが理由となります。管仲さんの話していた中身は失敗談であふれていますが、ことごとく鮑叔さんは管仲さんのことを見放さないんですね。見返りを望んでいない姿勢のように感じます。

私であれば最初の話、商売で得た利益の取り分の件だけで「この人と一緒に商売しないほうがいいな。あとあと大きなトラブルになるかも。」と思ってしまいそうです。様々な失敗を経て、後に大成功という人物を見極めるのは至難の業なのではないでしょうか。活躍していない頃の管仲さんと付き合っていて「この人、凄い!!!」と鮑叔さんが思うような事がもしかしたらあったのかもしれませんが。

鮑叔さんのような利害を超えた友人がいるということは本当に幸せなことでしょうね。私はなぜ鮑叔さんがそこまで情け深い人物になったのかが気になりました。ある種の才能なのかもしれません。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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