故事成語「鶏鳴狗盗」の読み方や意味、由来の逸話について

「鶏鳴狗盗」の読み方

 

故事成語「鶏鳴狗盗」は「けいめいくとう」と読みます。「史記」という古典の話の中に狗盗(くとう)を為す、鶏鳴(けいめい)を為すという文言が出てきます。

 

「鶏鳴狗盗」の意味

 

「鶏鳴狗盗」には複数の意味があります。この故事成語の字面の通り、鶏の鳴きまねをしたり犬のように動いて物を盗むような、あまり褒められないことを得意とする人物のことを意味します。

また、これも故事成語の字面の通りと言えますが、鶏の鳴きまねをしたり犬のように動いて物を盗むようなつまらない人物という意味になることもあります。かなり否定的です。

そして、たとえつまらない人間でも役に立つことがあるという意味で使われることもあります。これは評価する意味合いが出てきます。

他には上に立つ者には様々な特技を持った部下がいたほうがいいという意味にもなるそうです。いろいろありますね。

 

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「鶏鳴狗盗」の由来となった話

 

むかし中国に斉という国がありました。この国の王様は宣王という方でその王様の弟に田嬰(でんえいと読むそうです)という人がいました。この田嬰さんには子供がいてその子供は文さんと言いました。この文さんは大勢の居候(いそうろう)を養っていました。どれくらい大勢かというと数千人。大勢の居候を抱えていることはまわりの国にも噂が広まり大変有名となっていました。この文さんは別名、孟嘗君(もうしょうくん)さんとも言いました。

別の国の秦の王様、昭王さんがこの文さんが優秀な人物であるという評判を耳にしました。そこで昭王さんは斉の国に秦の重要人物を人質として行かせて、代わりに斉の文さんを秦に来させて会見する事を望みました。しかし昭王さんはこの文さんを秦から帰ることが出来ないようにし、捕まえ殺害しようとしました。

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文さんは使いを出して昭王さんのお姫様にこの問題を解決するための助けを求めました。するとお姫さんは「じゃあ文さんが持っていることで有名な白狐の毛皮で作った衣類を私に譲りなさい。」と言いました。

しかし文さんはその毛皮の衣類を以前昭王さんに譲ってしまっており、手元にありませんでした。そこで文さんの居候の中に犬のようにこっそりと物を盗むことのできる者がいたのですが、その人が秦国の貴重品を保管する蔵に忍び込みお姫様が欲しがっていた例の毛皮の衣類をまんまと盗み出してしまいました。盗んだ毛皮の衣類を文さんがお姫様に献上したところ、そのお姫様は昭王を説得してくれました。おかげで文さんは釈放され助かることが出来ました。

すぐに急いでその場を去り名前を変えてだいぶ夜も更けたころ秦国の境にある函谷関という関所にたどり着きました。その関所には決まりがありまして、鶏が鳴いた時間に関所を開き、通ることを許可する事となっていました。文さんは秦の昭王さんが心変わりをして文さんを捕えるために追っ手を差し向けていないか心配でした。早く関所を通過する良い方法はないものかと考えました。文さんの抱えていた居候の人たちの中に鶏の鳴きまねを上手にやる人がいました。その居候さんが鶏の鳴きまねをしたら地域一帯の鶏がみんな鳴きました。おかげで関所が開いて、遂に文さんは使っていた宿場を出発し関所を通ることが出来ました。文さんが関所を通過しそれほど時間が経たない頃、本当に昭王さんが差し向けた追手が関所にやってきました。しかし文さんが通過した後だったので追手は文さんを捕えることが出来ませんでした。

 

以上の内容は古典の「史記」にあるお話です。私なりの言葉で現在の表現にしております。忠実な訳とは異なると思いますので、その点ご了承ください。

 

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文さんが何千人もの居候さんを抱えていたというのは実際そうだったかもしれませんが、文さんが窮地に陥った時にちょうどいい特技を持っている居候さんがすぐ近くにいたのは文さんの運が良かったということでしょうか。まさか居候さん数千人を文さんと共に秦の国に連れて行ったわけではないですよね。実際数千人連れていたのなら、ツアー旅行みたいですからそれはそれで興味深い話だとは思いますが。

鶏の鳴きまねをする人をつまらないとする意味を含む今回の故事成語ですが、この意味については当然反発する人もいるでしょうね。確か芸人さんの中に動物の鳴きまねを上手にされている方っておられたかと思います。そのような芸人さんたちの芸をつまらない特技と言っているようなものですから。鳴きまねは立派な芸として成立していると思います。

たとえつまらない人間でも役に立つことがあるという意味に関しては希望が持ててうれしい話ですね。私もそんな特技、役に立つ取り柄が欲しいなと感じました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

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