アメリカの連邦議会である上院や下院の役割は何なのでしょう
アメリカ上院、下院の役割
全く別の国の話であるはずなのですが、アメリカ合衆国は日本との関係が強いこと、超大国のため国際社会の中で占める位置が大きい、影響力が大きいといった事情によりアメリカの連邦議会の選挙の動向を日本でも詳しく取りあげたりすることが多いです。アメリカの元首、合衆国大統領のおこなう政治が議会の状況によって速やかに実施されることもあれば、うまく進まないなどということにもなりうるので、アメリカの今後の政治がどうなるかを占うという点でも先日行われた西暦2018年連邦議会の中間選挙はとても注目されました。結果としては下院(かいん)で大統領の所属政党とは異なる民主党が多数派となり上院(じょういん)で引き続き大統領の所属する共和党が多数派を占めるということになったようです。言論機関ではこの選挙結果によって大統領が政策を実施することは選挙前に比べやりにくくなるだろうと分析しているようです。下院が野党多数、上院が与党多数の状況なわけですが、これはどういったことを意味しているのでしょう。アメリカの連邦議会、上院と下院の役割を知ることは現状の分析に役立つかもしれません。上院も下院も法案の審議をするのが主な役目ですが上院は大統領の権限を制限、チェック、監視する役割が期待されているようですし、下院は上院に比べ選挙民の声をより反映した存在としての役割が期待されているようです。補足ですが上院はアメリカのそれぞれの州から人口に関係なく2人選ばれる議員によって構成されている議院です。上院議員の任期は6年。長いです。下院という議院はそれぞれの州から人口の数に応じて選出される議員によって構成されます。カリフォルニア州など人口の多い州からはたくさんの議員が選出され、人口の少ない州からは少数の議員しか選出されないという仕組みになっています。下院議員の任期は2年で短いです。
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上院の役割
連邦議会に提出される「こんなルール、規則を作りたい」という案、法案を審議するのが中心になる仕事(これは下院も同じです)ですが、下院に比べ特徴的なのが大統領のおこなう一部の仕事について承認するか却下するか決める権限があるという点です。行政府の長として大統領は他国と条約を結んだりしますが、その結んだ条約を承認するか、反対して無効とするか上院は決めることが出来ます。下院はそのような権限を持ちません。また大統領が指名する「~長官」といった閣僚(かくりょう)や裁判官など重要な役職を担当させるための人事案について承認するか拒否するかという権限を持っているという点も下院には無い特徴です。また下院が訴えた場合という条件が付いてくるのですが、大統領を問題のある行為があったという理由で辞めさせることが出来る権限もあるのだそうです。以上3点のような項目が下院には無い上院の役割ですが、もし上院が野党多数となった場合、条約や人事面で大統領はすごく政治がやりづらくなるでしょうし上院が与党多数の場合に比べ解任されやすい状況になると言えるのでしょう。大統領の立場からするとすごくやっかいな話です。
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下院の役割
選挙民の意見がより反映された立場とされている、ということなのだと思いますが下院は税の仕組み、税制度に関する法案を上院よりも先に審議する権限を持っているそうです。税金は選挙民の人々にとって非常に重要な話です。国が人々の懐からお金を取る行為なわけですので。人口数に応じて選出される、より人々の考えが反映された選挙制度で選出された下院議員が税制度についてしっかり監視してくれという要請があるのでしょう。また上院よりも人々の意見が反映された議院ということで大統領を担当する人材を選ぶ権限もあるそうです。アメリカの大統領はアメリカ国内で一般の選挙民によって選ばれた「選挙人せんきょにん」という立場の人々によって選ばれるという制度になっていますが、この選挙人の人々の過半数の支持をどの大統領候補者(大抵は民主党の候補者一人、共和党の候補者一人の計二人だけ)も選挙で獲得できなかった場合は、なんと下院が大統領を選出することになるのだそうです。また例えば非常に特殊な例ですが大統領を担当する人と副大統領を担当する人が何かの事情で職務を遂行できないような事態となった時(相当穏やかでない話ですが)には下院議長が大統領職を担当することになっているのだそうです。こういった権限も、より選挙民、国民の意見を反映した立場の議院と見なされているからこそ与えられているのでしょう。
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今回はアメリカの議会、上院、下院について一部取りあげました。先日アメリカの「中間選挙」が実施されて、大統領が下院で敗北したという結果がテレビなどでたびたび報道されていたのですが、下院で敗北すると大統領にとってどのようにまずいのかピンと来ませんでした。そのためアメリカの議会の役割を確認してみたく今回のようなテーマの記事にしてみた次第です。大統領をトップとする行政府側の通したいと思っている法案が中間選挙前に比べて議会を通りづらくなる、そういったことにはなりそうですよね。中間選挙前までは下院でも共和党が多数派でしたので。今回下院で民主党側が多数派になったことで大統領の通したい法案が下院で否決する可能性はおそらく高くなったのでしょう。それと下院で大統領を訴えるという決定が出される可能性も高まったと言えるのかもしれません。下院には大統領を訴える権利、弾劾訴追(だんがいそつい)という権限があります。実際に裁判をして大統領を解任するかどうか判断するのは上院がおこなうことなので共和党が多数派となっている現状の上院では大統領が解任されることもないでしょう。しかし大統領の印象は下院から訴えられること自体でかなり悪くなるでしょうから、再選を目指す今の大統領としては弾劾訴追されることの影響は大きいでしょう。民主党多数派の下院が今後何らかの材料を見つけ出し今の大統領を訴える動きを見せることになるのかどうか、現在の大統領と意見対立している一部報道機関を中心として頻繁にニュースが今後も出てくることになるのではないでしょうか。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
アメリカで議論となった医療保険制度について触れている話「アメリカ大統領が反対するオバマケアとは?その問題点とは?」はこちらです。
アメリカ政界での台湾関連の動きについて触れている話「米国と台湾の間に条約のようなものはあるのでしょうか」はこちらです。
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