米国と台湾の間に条約のようなものはあるのでしょうか

米国と台湾の間に条約は

 

現在(この記事は2018年6月に作成しています)アメリカ合衆国は台湾を国と認めていません。西暦1979年(昭和54年)の1月にアメリカは中華人民共和国と国交を結ぶことにしたのですが、それに伴い台湾に存在する政権が主張する中華民国という国を認めないことになりました。アメリカと中華民国の国交が断たれてしまいます。これによってアメリカと台湾は国同士の関係ではなくなりました。そのため国同士の間で結ぶ約束である条約は今のアメリカと台湾の間に存在しません。米台間に国交があった頃は条約がありました。米華相互防衛条約という通称の、正式名「アメリカ合衆国と中華民国との間の相互防衛条約」という条約です。この条約は主に中国大陸の共産勢力の侵攻を想定していたようで、アメリカと中華民国が協力して防衛強化することを目的にしていました。アメリカか台湾に対して武力攻撃があれば両国共通の危険事態と受け止めて共同して対処するといった内容が含まれていましたから同盟関係にあったということになります。しかしこの条約もアメリカと中華民国の国交が断たれたことで効力が無くなりました。具体的には1979年の12月に失効したのだそうです。それ以降条約はありません。

 

スポンサーリンク

アメリカの動き

 

ただ、アメリカは中華人民共和国が台湾地域を武力併合することを見すごすつもりではなかったため条約ではないものの、場合によっては台湾に住む人たちの安全を確保する行動をとるとも読み取れるような国内法を作る動きに出ました。1979年の4月に作られた「対台湾関係法 たいたいわんかんけいほう」がその法律です。国交が台湾との間になくなってから3か月後の話です。台湾の将来を平和的でない方法(つまり武力などでということですよね)で決定し大陸と併合するようなことがあれば、アメリカはそれを西太平洋地域の脅威と見なすとか、台湾に対しアメリカは武器を売却することが出来るとか、アメリカは台湾に対する武力侵攻に抵抗できるだけの能力を維持するといった内容が盛り込まれています。中華人民共和国が仮に台湾に武力介入して統一をはかるならアメリカが中華人民共和国の行動を武力で阻止する可能性があることを強く示唆する内容にも受け取れます。これは台湾に存在する政権とアメリカとの間の約束ではなく、一方的にアメリカがそのような姿勢を打ち出している形ではありますが、安全保障に関する約束のようなものにも見えます。

スポンサーリンク

またこの法律では国交が無くなった後の台湾との交流に関する規則についても盛り込まれており、名目上は民間レベルでの交流ということではあるものの、台湾との関係を確保しようというアメリカ側の意思がうかがえます。この法律については中華人民共和国が内政干渉だとしてアメリカに強く反発しました。中国側への配慮ということでしょうか、1982年にはアメリカと中国で共同声明を出しており、その中では台湾にアメリカが武器売却をするということを長期的な政策にしないことや、台湾への武器売却を少しずつ減らすといった、台湾へのアメリカの武器支援を弱める内容が入っています。中華人民共和国が喜びそうな内容ではあります。ただ、1982年から30年以上経過していますけれど、今のところアメリカは台湾に対する武器売却を止める気配を見せてはいません。またアメリカは2018年に入って台湾に大きく関係してくる法律を作りました。台湾旅行法という名前の法律だそうですが、この法律によってそれまでアメリカ政府が控えてきたアメリカの高い階級のお役人さんによる台湾訪問が可能になり、米国大統領の台湾訪問にも道を開く法律だと言われています。ということで条約は無いものの、アメリカの国内法を整備するという形でアメリカは台湾への関与を強めようとしているようにも見えます。

 

スポンサーリンク

今回はアメリカと台湾の間に条約があるかどうかについて一部取りあげました。国交が無いので条約は無いものの、台湾の政権が求めるであろう内容をアメリカが国内法として規定しているというのが結論になります。中華人民共和国との関係も構築したいというアメリカの希望もあってこういう事態になっているわけですが話がややこしいですね。今回の記事はアメリカ政府が台湾海峡にアメリカの艦船を派遣することを検討しているという話を聞いて、アメリカと台湾の間に何か協定のようなものがあるのかな?と思い、確認したく作ってみた次第です。今回アメリカ政府が艦船を台湾海峡に派遣することを検討している理由についてはアメリカ側が明らかにしていませんのでわかりませんけれど何かの理由で中国をけん制したかったということなのかもしれません。条約が無くても軍事強国が一方的に国内法を作って他国の動きをけん制する(この場合は中華人民共和国の武力による台湾統一に対するけん制)ということがあるものなのですね。日本国内でもアメリカが作ったような台湾関係法を作るべきだという意見が存在するのを初めて知りました。確かに民主的に運営されている台湾社会が大陸の共産国によって無理矢理武力統一されてしまうのは全く賛成できる話ではありません。別に武力統一されたわけではありませんけれど、現在中華人民共和国の主権のもとにある香港の方々は、統治組織にきちんとした民主的な意向を汲み取られていないようにも見えますから大変です。台湾が民主的に発展する可能性を広げることは当然日本の立場からしても有益なのだろうなとは思います。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

人民共和国と国交を結んだ後の日台関係について触れている話「台湾は日本との関係を日中共同声明後どうしたのでしょう」はこちらです。

一つの中国という考え方について触れている話「台湾の立場に大きく関わってくる『一つの中国』の意味と問題点とは」はこちらです。

関連記事

ページ上部へ戻る