台湾の立場に大きく関わってくる「一つの中国」の意味と問題点とは

一つの中国とは

 

「一つの中国」という表現の意味ですが、中国大陸と台湾は同じ国である「中国」に属するのであって大陸と台湾を国として分割することは認められないという考え方のようです。最近では主に中華人民共和国の政府が主張している考え方のようですが、以前は国民党政権の蒋介石総統という人も中国大陸と台湾は同じ「中国」だと主張していたようです。主張する立場によって「中国」は中華人民共和国であったり内戦後台湾に政権を作った国民党の中華民国であったりするようですね。

一つの中国という表現はニュースに出てくる場合ですと、主に大陸側と台湾側の二者についての関係を指して使われていることが多いように思いますが、香港やマカオも含めてこの表現が使われることもあるようです。

 

スポンサーリンク

歴史的背景

 

それ以前にも内戦が行われたことがあったそうですが、第二次世界大戦が終了して間もない時期に中国大陸で再び共産党軍と国民党軍によって内戦が行われ、戦いを優位に進めた共産党軍によって国民党軍は台湾に逃げざるを得なくなり、その後はどちらの軍ももう一方を制圧することは出来ない状態が続きました。完全に武力行使が中止されたのは1979年だったそうです。(そんなに前の話でもないんですよね)

ですから共産党側も国民党側も本音を言えば大陸も台湾も自分の勢力が支配することを望んでいたわけです。しかし決着がつかず、大陸側と台湾側で二つの国家があることを認めるよう蒋介石さんはアメリカなどから説得されていたそうです。蒋介石さんは説得されてもそれを認めませんでした。

それまで国民党が率いる中華民国が国際連合内の「中国」を代表していたのですが1971年に国連で通った決議によって「中国」を代表するのは中華人民共和国であることになってしまい、国民党が率いる中華民国は国際連合を抜けてしまいました。

アメリカは内戦以降国民党政権を支持していましたが、ニクソン政権の時に大統領が中華人民共和国を訪問して中華人民共和国との関係改善に乗り出し、1979年にはとうとう正式に中華人民共和国との間で国交を結ぶに至りました。アメリカは中華人民共和国を唯一の正当な政府として認めることとなり、その一方で台湾との国交関係を解消しています。ただしアメリカは台湾に対し武器援助などの台湾にとって死活問題となる支援を現在まで続けています。

 

スポンサーリンク

問題点

 

「中国」としてどちらかの政権を選び国交を結ぶことになるため一方と国交を結ぶと、もう片方の政権と国交を結べないという問題が生じます。先に書いたように世界の超大国アメリカ合衆国は中華人民共和国と国交を結び、台湾との国交を断ちました。日本も国交を結んでいる相手は中華人民共和国側であり、台湾とは国交を結んでいません。ただ国交のような交流は日本と台湾の間で現在でも続いています。大使館のような存在として日本には「日本台湾交流協会」、台湾には「亜東関係協会」が存在していて窓口機関として機能しています。

現在は中華人民共和国と国交を結んでいる国が圧倒的に多く、台湾と国交を結んでいる国は20数か国のみとなっています。

他国からすれば中華人民共和国、台湾、双方と国交を結びたいのでしょうがどっちか一方を取るともう片方が猛反発するためそれが出来ないというわけです。

中華人民共和国は共産党による政権が運営している国であり制度上民主主義の国ではありません。しかし台湾は民主主義で国が運営されており選挙で代表が国民党の人になったり民主進歩党の人になったりします。今後は別の政党の人が代表になるかもしれませんし。全く違うこのような二つの制度が一つの中国に存在するというのは無理がある、ややこしいという印象がぬぐえません。

また中華人民共和国側による一つの中国という方針を台湾が認めずに独立する動きをした場合には中華人民共和国は武力を使って統一するという考えを持っており、そのための法律も作っているそうです。台湾の選挙で選ばれる代表の考えによっては以前のように大陸側と台湾との間で武力衝突が起きかねないと言えます。怖いですね。しかし台湾で生活する人々には自分たちの社会を自分たちの考えで運営していく権利があるという意見が当然あるでしょうから、なかなか火種は消えそうにない感じです。

 

スポンサーリンク

アメリカのトランプさんが一つの中国について見直すかのような発言をしたらしく、ニュースでこの「一つの中国」という言葉を耳にしたのですが意味がよくわからなかったため調べてみようと思いました。

第二次世界大戦直後の内戦を今現在も引きずっているということがわかり、この問題を解決することは大変難しいという事を強く感じました。ただ戦争になってしまってはたくさんの人命が奪われてしまいます。双方十分に納得したうえで平和的に解決されることを隣人として願わずにはいられません。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

 

尖閣諸島関連記事「尖閣諸島の歴史や国有化、尖閣諸島に関する中国の主張について」はこちらです。

南シナ海関連記事「スカボロー礁の場所と領有に関するフィリピンや中国の主張」はこちらです。

関連記事

ページ上部へ戻る