財閥とは?企業グループとの違いやコンツェルンについても

財閥とは何なのでしょうか

 

財閥(ざいばつ)というのは大まかに言えばある特徴を持った企業の集まり、企業集団です。

この企業集団は様々な業界の会社によって出来ています。例えばセメント関係の会社ばかりの集まりといった、一つの業種に所属する企業の集まりではありません。財閥という企業集団には例えば銀行業界、貿易関連業界、鉱山業、造船などの重工業、鉄道などの陸運、海運業などなど社会にとって欠かすことの出来ない様々な業界の会社が加わっています。

そしてそれらの会社は各業界で得られる利益の内の相当な割合を占めるような大きな会社です。利益を寡占(かせん)するような立場の会社です。各業界で大変儲けている会社ということですね。業界の利益中どれくらいの割合を占めると「寡占」していることになるのでしょうか。ある業界で収益の多い会社の順に並べた場合、第一位の会社から第四位の会社までの会社の利益を合計したとします。その合計した四つの会社の利益が業界全体の利益の40%以上を占めている場合、これらの四社は寡占していると見なされることが多いようです。繰り返しますが、財閥という企業集団に加わっているそれぞれの会社は各業界で寡占している会社であるという特徴があります。

財閥では各業界の利益を寡占しているそれぞれの会社の経営方針を「ある会社」が決めるような仕組みになっています。この「ある会社」というのは持株会社(もちかぶがいしゃ)と呼ばれます。持株会社は財閥に加わっている会社の株を大量に保有しています。ある会社の株を持っている場合、その株を発行している会社の経営に保有している株の数に応じて関わることの出来る権利を持つことが出来ます。つまり特定の会社の株をたくさん持っているとその会社の経営を左右することが出来るのです。そういうわけで持ち株会社は財閥の所属している会社の株をいっぱい持っており、所属するそれぞれの会社の経営をどうするか決めることが出来る状態にあります。この持株会社が財閥という企業集団の司令塔のようなものと言えます。

スポンサーリンク

この持株会社ですが、財閥の場合はある一族、血縁関係にある人たちがその持株会社に出資しているという特徴があります。一族の人たちが持株会社の事業にお金を出す、提供するということですね。

まとめてみますが、このように財閥には持ち株会社が存在し、その持株会社は多くの会社を支配し、その支配されている様々な会社は社会の中で中心的で欠かすことの出来ない業界、分野で寡占するくらい、各業界で強い立場の会社となっています。そして財閥の持株会社は特定の一族が出資することによって設立されています。このような仕組みを持った企業集団が財閥です。

 

「グループ」との違いは

 

よく旧財閥の呼び名で○○グループ、××グループといった言い方がされた時期がありましたが、財閥と企業グループにはやはり違いがあるようです。

財閥は持株会社が財閥に所属する様々な企業の株を保有して経営方針を決定する権限を持っていますが、企業グループの場合はグループ内の企業がお互いの会社の株をお互いが持ち合っています。持株会社がありません。そして企業グループはお互いの会社の経営に関し積極的に口を出すような関係にはありません。

財閥の場合持株会社と財閥に所属する会社の間に従属関係がありますが、企業グループの場合は持株会社が無く各企業はお互いの会社の株を持ち合っているものの、同じ立場であって従属関係にはありません。

 

スポンサーリンク

コンツェルンについて

 

コンツェルンも企業集団を指す言葉です。コンツェルンの場合でも持株会社が存在し、他の会社の株を保有し、保有している株を発行した会社を子会社として経営支配しています。そのような従属下にある子会社が持ち株会社のもとに多数あるようなそのような企業集団をコンツェルンと呼ぶようです。ただその企業それぞれは法律的には別の会社という位置づけになってはいます。

財閥とコンツェルンの違いは持ち株会社が特定の一族によって出資されているかどうか、とか所属している企業一つ一つが各業界で利益を寡占しているほど強い立場の企業であるかどうか、このような点で違いがあるのではないかと思います。コンツェルンの場合は所属企業が各業界で利益を寡占しているとは限りません。またコンツェルンの持株会社の場合、特定の親族が出資しているとは限りません。

 

スポンサーリンク

今回は財閥が明治時代に出来上がってきたということを歴史の本を改めて読んでいて、財閥って結局何なのかよくわからなかったため、このテーマの記事にしてみました。能力的に限りがあり短い言葉で簡単に説明できないのが本当に歯がゆかったのですが、財閥について今までよりはわかってきた気がします。今までですと「とんでもない規模の資産を持った一族」ぐらいの理解でしたので。

ただ歴史教科書にはさらっと財閥が出来ていったと書いてあるだけで財閥のまとまった説明なんて全然書かれていないんですよね。これで教える側が「理解してください」と言う方が無理なような気もします。戦前のような財閥が、今の世の中に存在するわけでもないので普段過ごしていて言葉の意味が分からず困るということはないのですが、財閥というのは産業の世界で非常に強い力を持つだけにとどまらず政界にも関与したという話もありますので、過去の世の中の構造をよりよく理解するにはやはり知っておいたほうがいいのでしょうね。財閥という言葉の意味を理解しようとするのは意外に大変でした。自分なりに説明するというのもなかなか難しいものです。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

財閥発展関連記事「1927年の金融恐慌とは?この恐慌の原因についても」はこちらです。

財閥襲撃関連記事「血盟団事件とは?事件を起こした理由や井上日召についても」はこちらです。

関連記事

最近のコメント

    ページ上部へ戻る