開拓使官有物払い下げ事件を簡単に。大隈さんの関わりも
開拓使官有物払い下げ事件とは
開拓使官有物払い下げ事件(かいたくしかんゆうぶつはらいさげじけん)は簡単に言いますと、国の機関の所有物、つまり国の財産であった物を、時の政府関係者が民間人に破格の安値で売り渡そうとしていたことが明るみになり、政府が当時の言論界や一般大衆から激しく批判された出来事です。予定されていた払い下げは西暦1881年(明治14年)に中止となりました。
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もう少し詳しく説明しますと
明治時代の初期、政府には開拓使(かいたくし)という行政機関がありました。これは北海道を中心とした北方地域の開拓事業を進めるために設けられた機関です。開拓事業は多岐にわたり、その為開拓使はさまざまな物を保有していました。農園や鉱山、物資運搬のための船などなど。
開拓事業の進展もあり開拓使は一定の役目を果たしたので廃止しようと政府は考えるようになりました。当時行っていた事業は民間会社に引き継がせて続けてもらおうと考えます。そのために事業継続に必要な開拓使所有(国有の)の様々なものを事業継続に関わる民間会社に払い下げようとしました。「払い下げ」というのは公的機関のものを民間の会社などに売却することを意味します。
そのような背景があり当時の開拓使の長官、一番偉い方だった薩摩藩出身の黒田清隆(くろだきよたか)さんは関西貿易商会という民間会社に様々なものを払い下げようとします。その払い下げる時の値段は最初にそれら様々な物を購入した時の費用の3%にも満たない額でした。おまけに30年間かけての分割払いでよいこととし、利子もつけないというサービスぶりでした。黒田さんが考えていたこの払い下げ案は政府内で協議されましたが一部から反対の声が出ています。
この払い下げの計画情報が何故か新聞社に伝わってしまい、新聞社がこの件を記事にしてしまいました。記事は反響を呼んだそうで、この払い下げ計画を行おうとしていた政府に対し世論は大変強く反発する結果となりました。国の財産を何故そんな安値で売ろうとするのかと怒ったわけです。
そのような中、払い下げ計画を強行しようという政府内の動きもありましたが、結局西暦1881年(明治14年)、世論の反発に押される形でこの払い下げは中止されることとなりました。
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大隈さんの関わり
有名私立大学である早稲田大学を創立した人として有名な大隈重信さん。大隈さんは当時参議(さんぎ)という明治政府の大臣クラスよりも地位の高い官職に就き行政の仕事をしていました。大隈さんは開拓使保有の物を払い下げる計画について中心になって関わっていたわけではないようです。ただこの払い下げ案に関し政府内で反対の立場をとりました。
しかしこの払い下げの情報が新聞社に漏れ、世の中に知られてしまった後、大隈さんが新聞社に漏らしたのだという噂が政府内に広まってしまいました。このうわさが真実か、それとも濡れ衣か定かではありませんが、この払い下げの話が世に出てしまったことで大隈さんは政府内でつらい状況へ追いやられていきます。
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今回は開拓使官有物払い下げ事件を取りあげてみました。自由民権運動が拡大していく時期に発生し、この出来事によって更に政府への風当たりが強くなっていったという話のようですし、外すことの出来ない項目なのではないでしょうか。
国が運営している事業を民間会社に引き継いでもらうということは明治14年の開拓使に限った話ではなく、その後も政商と言われるような力のある企業に有名な造船所や鉱山が払い下げられていくことになります。
今回取りあげた開拓使官有物については関西貿易商会に払い下げる計画でしたがそれ以前に払い下げを求めてきた有名企業もあったそうです。しかし政府はその申請を却下しました。どのような背景があって関西貿易商会に決まったのかはっきりとしたことは私にはよくわかりません。贈収賄のような話はこの事件について調べていても特に目にすることはありませんでした。
ただ関西貿易商会を仕切っていたかたは五代友厚(ごだいともあつ)さんという人で、黒田清隆さんと同じ薩摩藩出身の元薩摩藩士でした。地元が同じだということが払い下げ先の決定に影響したのかも知れないな、などと私は勝手に想像してしまいました。
会社経営は事業が上手くいかなくなるかもしれないという危険性、リスクを背負いながら行われるものでしょうから、経費面であまり高い値段で払い下げようとすると民間企業も引き受けづらいということはあるのかもしれません。新品の物を払い下げるというわけでもありませんし、当初購入するために投じた金額と払い下げる金額を比較すれば安くなるのは当然な気もしますが購入費用の3%に満たない費用で払い下げるのは極端な話だったんでしょうかね。どれくらいが妥当なのかということについてもよくわかりませんでした。払い下げの相場ってどれくらいなのでしょうね。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
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