故事成語「命長ければ恥多し」の意味や由来の話について

「命長ければ恥多し」の読み方

 

「命長ければ恥多し」の読み方は「いのちながければはじおおし」となります。特殊な読み方が用いられる故事成語ではありませんね。ただ字が異なって表記されることがあるようです。「寿ければ辱多し」と表記することもあるようです。この表記でも「いのちながければはじおおし」となるそうです。「寿ければ」は「いのちながければ」と読むんですね。これは全然知りませんでした。

 

「命長ければ恥多し」の意味

 

「命長ければ恥多し」の意味は「長く生きていれば、それだけ恥をかくことも多くなりますよ」ということになります。文字通りと言えば文字通りですね。

 

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「命長ければ恥多し」が故事成語となった由来の話

 

「命長ければ恥多し」は中国の古典「荘子(そうし、そうじ)」の中に出てくる話に由来するようです。書き下し文にされているものを私なりに現在の表現にしてみます。誤ったところがあるかと思いますがご了承ください。

 

大昔の中国大陸に立派な王様と言われていた尭(ぎょう)王という人がいました。その尭王さんがある時「華(か)」という地域を訪れていました。現地の国境を守る役人が「あっ!立派なことで名高い尭王様だ!」と言い尭王さんを見つけました。

そしてこの役人は尭王さんに「尭王様を祝福して、尭王様が長生きなされますことを天に祈願させてください。」と尭王さんに懇願しました。

すると尭王さんは「せっかくの提案ではありますが、お断りさせていただきます。」と言いました。

今度はそのお役人さんが尭王さんに「尭王様を祝福して、尭王様が経済的にさらに裕福となりますよう天に祈願させてください。」と尭王さんに懇願しました。

すると尭王さんは「せっかくの提案ではありますが、お断りさせていただきます。」と言いました。

今度はそのお役人さんが尭王さんに「尭王様を祝福して、尭王様に男子が多数恵まれますよう天に祈願させてください。」と尭王さんに懇願しました。

すると尭王さんは「せっかくの提案ではありますが、お断りさせていただきます。」と言いました。

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お役人さんは「長生きすることや、経済的に裕福となること、男子に恵まれることは普通であればみんな求め願うものです。それなのに尭王様は望まないとおっしゃる。何故でしょうか?」と尭王さんに尋ねました。

尭王さんは言いました。「もし自分に男子がたくさん生まれたのなら、それだけ心配事が多くなります。もし経済的に今よりももっと裕福になったのなら重大な事件に巻き込まれることが多くなってしまいます。もし長生きしたのならばそれだけ恥をかくことも自然と多くなってしまいます。あなたがおっしゃっていた跡継ぎがたくさんできることや経済的に裕福になることや長生きすること、この3つは徳を養うことに結びつかないのです。ですからせっかくのご提案ではありましたがお断りさせていただきました。」

 

以上のような内容となっています。

 

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今回は「命長ければ恥多し」を取りあげてみました。取りあげてみた理由は由来となった尭王さんの話が興味深かったからです。尭という人は中国の古典では大変すばらしい君主とされています。話の中に出てくる「徳を養う」の「徳」についてはよく意味が分からなかったのですが、道徳的に優れていることを意味するようです。

長生きをするとそれだけ恥をかくことが多くなるというのは的を得た見解かもしれませんが、個人的にはだからといって短命のほうがいいというようにはあまり思いませんね・・・。馬鹿にされ続ける人生は嫌だなと思いますが、人生が馬鹿にされ続けるものだと決まっているわけでもありませんし。

ただ人間的に立派だとされている尭王さんですら恥をかくというのですから、一般人であればなおさら恥をかく機会が増えるのかもしれません。「一見立派な人に見えるような場合でも実はこれまでに人生を生きてきた中で相応の恥をかいている。でもそんなそぶりを見せていないだけ。だから多少恥ずかしい思いをしたからといってあまり気にするな。」くらいに思っておいた方がいいのかなと感じました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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