国連加盟の一部の国々に拒否権がある理由は何なのでしょう

一部の国連加盟国に拒否権がある理由

 

国際連合の中で大きな権限を持っている安全保障理事会。世界の紛争に関して話し合われ、国連としての対応を決めたりする機関、部署ですが、この安全保障理事会のメンバーの中に常任理事国という立場の国々があり、その他に非常任理事国という立場の国々もあって、そのような国々が様々な問題に関し議論することになります。この国々の中で常任理事国の立場である国に関しては非常任理事国に無い権利が認められています。この記事のテーマにもなっている「拒否権 きょひけん」です。この拒否権という権利が使われるとどうなるのでしょう。議論している議案についてたとえ他の国々が賛成であっても、たった一国が拒否権を使うと、話し合われていた議題は安全保障理事会の最終的な結論として否決ということになるのです。拒否権が使われた場合、多数決で物事が決定しないのです。非常に強力な権限であることがわかりますが、この拒否権が認められているのは常任理事国である5カ国だけです。アメリカ、イギリス、中華人民共和国、フランス、ロシア(五十音順)の5カ国です。なぜこの国々には拒否権という強い権限が認められているのでしょう。それは国際連合という組織が設立される前の時点で、連合国の主要な国々が第二次世界大戦後の世界の平和を維持するために新たな国際的組織を構想している過程で、一部の国から拒否権を認めるよう強く求める意見が出ていたからです。国際的組織の構想は第二次世界大戦が続いていた時点で既に連合国の国々で話し合われていました。その中でソビエト連邦が拒否権をアメリカやイギリスに強く求めていたそうです。戦争中ということもあり、連合国内で大きな分裂が発生しては戦争(第二次世界大戦)の結果にも影響が出てくるかもしれませんのでアメリカやイギリスもソビエト連邦の要求を強硬に拒否することも出来なかったようです。ソビエト連邦側はどのような議題に関しても例外なく拒否権が認められるよう希望していたそうですけれど、それについては戦争の当事者となった場合は拒否権の行使は出来ないという条件付きの拒否権を認めるということで最終的にはソ連も妥協する結果となりました。国際連合創設にあたって連合国の主要国の話し合いの結果、拒否権を認めなければ連合国内で深刻な対立が発生してしまうので拒否権が認められたということのようです。

 

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ソビエト連邦が拒否権を求めた理由

 

ソビエト連邦が拒否権を認めることにこだわった理由は有力国間の戦争の防止だったようです。有力国に拒否権を認めず、新たな国際組織で様々な国際的な問題を議論し決めていった場合、一部の有力国の意見が議論に反映されなくなってしまうことが考えられ、その結果有力国の間で深刻な対立が生じ大きな戦争に発展してしまう危険性がある。これは平和を維持するという国際組織設立の目的に反することになる。そうならない為にも有力国に拒否権を認め、どの有力国も拒否権を行使しないで賛成する、有力国すべてが一致する議案だけが決議されるような仕組みにするべきだというわけです。ソ連が拒否権にこだわった理由としては、当時連合国の主要国で共産主義の国はソビエト連邦一国だけだったという状況があり、多数決で決議される仕組みの場合ソ連にとって大変不利だったからという見方もあるようです。

 

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今回は国際連合の安全保障理事会で使用されている権利、拒否権について取りあげました。最近シリアの内戦について国連の安全保障理事会でも議論がおこなわれ一部の国が拒否権を使い議案を否決したというニュースを耳にすることがありました。こういった安全保障理事会での動きについて一部の言論機関から安全保障理事会が機能していないと批判するような意見も出ているようです。批判もある拒否権という権利の行使がどうして安全保障理事会で認められているのだろうと感じ、関連したテーマの記事を作ってみました。

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有力国同士の戦争に発展しないようにという建前が拒否権を認めるようになった理由ということになるかと思いますが、戦争中ということもあるので連合国内での分裂を避けたい、共産主義国である数少ない国、ソ連が新しい国際組織できちんと意向を反映してもらえるような保証が欲しいといった思惑も影響しているようです。ただ建前であるとしても、拒否権がなければある有力国の不満が強まり他の有力国との戦争に発展してしまうというのはわからないでもないような気がします。非常に大きな規模の戦争を食い止めるために拒否権という仕組みが機能しているということであるのなら、認めるほうがいいのかな、などとも感じました。今の常任理事国(アメリカ、イギリス、中国、フランス、ロシア)同士が深刻に対立して、お互いを攻撃する戦争に発展したら、どの国も核保有国ですし、損害は確かに計り知れないでしょうから。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

国際連合が関わってくる他の話「日本国の国連加盟が実現した理由は何だったのでしょう」はこちらです。

第二次世界大戦が終わる以前のソ連の振る舞いについて触れている話「ソ連が連合国側として参戦した理由は何だったのでしょう」はこちらです。

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