「愚公山を移す」の意味と由来の話(現代の表現で)について
「愚公山を移す」の読み方
念のため書いておきます。「愚公山を移す」は「ぐこうやまをうつす」と読む故事成語です。
故事成語「愚公山を移す」の意味
「愚公山を移す」は大まかには努力を続ければ困難なことでも成し遂げることが出来るという意味になります。
しかし愚か者でも努力をしたら成し遂げられるという意味で使われたり、多少頭の良い人よりも融通の利かない正直だけが取り柄のような人のほうがすごいことを成し遂げるという意味合いで使われることもあるようです。
目的を成し遂げる主体に関する意味合いがいくつかに分かれるようですね。その点は使い方に注意したほうがいいかもしれません。評価する意味でこの故事成語を使ったにもかかわらず、「愚か者でも努力をしたら成し遂げられる」という意味で聞いた側が解釈しトラブルになったら面倒な事になりそうです。「愚か者というのか!」というような感じで・・・。
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「愚公山を移す」が故事成語となった由来の話
大昔の中国の話。太行という山と王屋という山は周辺が700里もの距離になり、非常に高い山です。冀州(きしゅう)の南側、河陽(かよう)の北側に存在しました。
北山という地域に愚公さんというかたがいました。愚公さんは年齢が90歳になるくらいのかたです。北山は山に面していて山の北側がふさがっており山を抜けていくためには長い回り道をしなければならず皆苦労していました。
愚公さんが一族の人たちを集めて言いました。「俺はみんなと一緒に努力して山の険しい場所を平らにして予南を通り漢陰にまでたどり着けるようにしたいと思う。みんなやってくれるか?」一族の人たちはその考えに同意しました。
愚公さんの奥さんがこの計画に疑問を持って言いました。「あなたの能力だと小さな丘を平らにすることだって無理ですよ。あんな太行や王屋みたいな大きな山をどうすることが出来るというのですか?出来やしませんよ。平らにするための工事で邪魔になった土や石は一体どこに置くというのですか?」一族の人たちは「そういった土や石は渤海や隠土(地名です)に廃棄しよう。」と言いました。
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一族の人を率い、その仕事に更に三人の男性たちが協力して石を叩いて細かくし、土壌を切り開き不要な石や土は道具を使って渤海に運びました。近所に未亡人の女性がいたのですがその女性には息子さんがいて、まだ歯が生え変わったばかりの頃でした。その子もこの工事を手伝いました。しかし寒い時期から暑い時期になる位の長い期間をかけても一度土石を投棄して戻ってくるのがせいぜいでした。黄河の曲がりくねった場所で生活していた利口な老人は笑ってこの行為を止めるよう言いました。「何て意味のないことをしているのか。あなたが残りの年月頑張ってみても山のほんのわずかな部分でも削ることは出来ないよ。その土や石をどうするというのだい。」
愚公さんはため息をついて言いました。「あなたの心は出来っこないという思い込みで凝り固まっている。そんなことであってはならない。あなたはこの工事に何も手を貸してはいない。あの未亡人の子供がやっていることにも及ばないじゃないですか。もし私が死んだとしても子供たちがいます。その子たちには孫が出来、その孫たちにも子供が出来るでしょう。その後も代が継ぎ途切れることはありません。でも山はこれから大きくなるわけではないのです。どうして道を平らにするというこの工事が完成しないでしょうか。きっと完成します。」
それを聞いて利口な老人は返す言葉がありませんでした。
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以上が古典「列子」の中に載っている故事成語「愚公山を移す」に関連する箇所のお話になります。原文に忠実な訳ではない箇所も多々あると思いますが、ご了承ください。
このあと愚公さんの志を喜んだ神様が急に登場しまして太行、王屋という二つの山を移動させてくれて地域の人たちは回り道をせずに済むようになりました、ということで話はハッピーエンドとなります。めでたし、めでたし。
私はこの「愚公山を移す」という故事成語を聞いたことはありませんでしたが、中国の政治指導者が自分の考えを主張する時にこの故事成語を話の中に出してこの言葉が更に有名になったそうです。
「愚公」というのは愚かなという意味も含んだ呼び名として古典「列子」の話の中で扱われているようです。この話を聞いた後ですと工事を始めた愚公さんはそれほど愚かな人には思えません。とんでもない計画を前にしてもあきらめないで行動し続ける才能のある人だと感じます。話の最後で神様が出てきて解決してしまうあたりはしらけてしまう人もいるかもしれませんが、何らかの課題に取り組んでいる時にあきらめないで挑み続けるためにこの言葉を知っておいてもいいかな、と思いました。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※ 記事内容と写真に関係はございません。ご了承ください。
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