水道管理を民間委託したらどんなデメリットがあるのでしょう

水道を民間委託した場合に考えられるデメリット

人が生きていくために欠かすことが出来ないものを挙げてみてくださいと言われたらやはり「水!」という反応が真っ先に出てくるのではないでしょうか。真っ先ではないにせよ重要なものの内の一つだろうと思います。災害が発生し何らかの理由によって水の供給が止まる、断水(だんすい)が発生してしまうと、たちどころに生活が不便になります。炊事も洗濯も排泄も入浴も全部水が関わってきますので。最近国会では水道法という法律の内容が変えられて自治体の判断によっては水道事業の運営、経営を民間委託、民間企業に任せることが可能になったそうです(この記事は平成三十年、西暦2018年の12月~西暦2019年1月にかけて作成しております。ご了承ください)。これまで自治体が水道事業を運営するのが当たり前の世の中で生活してきた私にとっては水道事業に民間企業が参入することもあり得るという話を聞き違和感を持ちました。この記事では水道事業を民間委託した場合に考えられるデメリット、欠点というのはどのようなものなのか私なりに書いてみたいと思います。水道事業を民間に任せた場合に起こり得る、考えられるデメリットとしては水道料金の上昇、水の質の低下に象徴されるようなサービスの低下、自治体と事業を任された企業との間で発生した問題によって生じる莫大な金額の補償などといったことがあるかと思います。

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水道料金の上昇

水道料金が値上がりするという事例はすでに水道事業を民間企業に任せる政策判断をした欧米各国で発生しているようです。ただ日本の現状を考えますと民間に任せず自治体が引き続き水道事業を運営しても水道料金の値上げは避けられないという指摘も多いです。日本ではかなり水道料金がこれまで安めに設定されていましたが、そのために水道設備を劣化させないための費用がそれ程まかなわれてこなかったそうで古い設備を新しいものに変えていく工事の進み具合も非常に遅いのだそうです。新しい設備に変えていく速度が現状のままでは今後水の供給に支障が出かねず、短期間で新しい設備に変えていくためにはそのための費用を捻出する必要があり、どうしても水道料金を上げざるを得ない。そういった事情を抱えている自治体がとても多いようです。おまけに日本社会は今後人口減少が進むことになり、少ない人口で水道設備を維持していくことになりますので、必然的に一人当たりの負担も増加していくことになると見られています。自治体が運営した場合もそうなのですが、民間企業が運営すると公営の場合に比べて効率化して経費を削減することが出来るという見方があるものの、一般の企業ですからやはり利益を出さなければならないという宿命があります。設備の維持に当然お金がかかるのに加え、人件費の確保や株主に対する配当の支払いといった事情もありますので民間企業に委託したとしても結局は水道料金を相応に値上げせざるを得なくなるだろうという指摘もあるようです。水道事業の公営と比較して水道料金の値上げ幅が少なくて済むという期待は確かにあるようです。しかし一度民間委託した後水道料金が跳ね上がり反発が強まって再公営化した他国では水道料金が下がった事例もあります。一概に民間に任せたら公営に比べて少ない値上げ幅で済むとは言い切れないところがあるかと思います。

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サービスの低下

民間に任せることによって人々が利用する水の質が落ちてしまうということもあり得るようです。十分に殺菌できておらず飲料水として水道水を利用出来なくなり、水道水を飲むためには一度煮沸しなければならなくなったなどという事例がアメリカの一部の自治体で発生しました。公営なら起こりえないか断言など出来ませんが、そういった事例は民間委託後に発生しています。他には異物の混入、水道供給地域の限定などといった話も他国では発生したようです。先ほどの項目でも触れましたが民間企業が運営する以上儲けを出さなければならず、儲けを捻出するために無理な経費節減をすることによって水質など、サービスの低下につながってしまうのではないかという見方があります。

自治体と企業間で発生するトラブル

自治体は民間企業と事細かく契約したうえで水道事業の運営を任せることになるはずですが、住民からの反発によって契約上運営を任せるはずだった予定の期間を短縮せざるを得ないようなこともあるそうです。そういった場合、民間企業側は契約とは違う話を自治体が求めてきたということで補償として莫大なお金を請求してくるといった話も他国では発生したようです。自治体と民間企業間でトラブルが必ず起きるなどとは言えませんが、発生した場合には多額のお金を支払って問題を解決しなければならなくなるかもしれず、その場合に支払われるお金というのは結局のところ地域住民が納めている税金から出されることになります。更なる水道料金の値上げの理由にもなりえます。

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今回は水道事業に民間企業が参入した場合のデメリットについて一部取りあげました。先日国会で水道事業に関する法律の内容が変更されたこともあって関連した記事を作ってみたいと思ったのと、どういった問題が起きうるのか一国民としても確認してみたいと思いこのようなテーマの記事にしてみました。法律は自治体が民間企業に水道の運営を任せるかどうか選択できるようになったという点で内容が変わっただけで水道設備などの所有権も民間企業が所有することになるという話ではないのだそうです。てっきり私は水道事業がまるごと民間企業に売り渡されることになるのかと思っていましたがそういうわけでは全くありませんでした。そのため外国資本に日本人の水が奪われてしまうといった事態を心配する必要は無いのかなとも思ったのですが、どうなのでしょうね。今まで支払われていた水道料金が格安で設備の更新もままならない状態だったというのはこれまであまり耳にすることはありませんでした。問題を先延ばしし過ぎてツケが回って来てしまったということなのでしょうか。国や地方自治体のお金の使い方はバブルが加熱していた時代だと特にどうなのかなぁという気がする事例もあったように思いますが、水道設備の維持のためにしっかり国が予算を確保しておくといったことは無理な話だったんでしょうかね。いずれにせよ水道料金がどの程度今後値上げされていくものなのか一国民としては気になるところです。

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

国がおこなっていた異なる事業の民営化について触れている話「政府が郵便局を民営化した理由というのは何だったのでしょう」はこちらです。

日本の国有鉄道が民営化されたことについて触れている話「国鉄の民営化はいつおこなわれたのでしょう」はこちらです。

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