カタールが国交断絶されてしまった原因は何なのでしょう
カタールが国交断絶された原因
中東の国カタールは西暦2017年の6月に同じ中東の国々であるサウジアラビアやアラブ首長国連邦、エジプトなど合計7カ国から国交を断絶すると表明されてしまいました。国交を断絶されてしまったのと同時にサウジアラビアやアラブ首長国連邦などの領空をカタールの航空会社が通るのも禁止されてしまいます。カタールの人々の食料は他国からの輸入に頼っているそうですが、その多くはこれまでサウジアラビアからの輸入に頼っていました。それが国交断絶されてしまったことでカタール国民は食料の確保に困り混乱してしまったそうです。何故サウジアラビアなどの国々はカタールとの国交を断つことにしたのでしょう。
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カタールとの国交を断絶するにあたってサウジアラビアなどの国々は理由を表明しています。原因の一つはカタールが中東の国、イランとの関係を強めていること。もう一つの原因はサウジアラビアやエジプトなどが過激派と見なしている組織をカタールは支援しているというものです。カタールがイランと関係を深めたら何がまずいのでしょう。サウジアラビアなどの国々はイランとの関係が良くありません。サウジアラビアなどの国々もイランも同じイスラム教の国ですが、サウジアラビアという国はイスラム教のスンニ派という宗派に分類されるワッハーブ派が正しいとする立場です。一方イランはシーア派のイスラム教徒が多い国です。同じイスラム教のはずなのですが、この宗派の対立は非常に強いためサウジアラビアなどの国々とイランの関係が悪い要因になっています。元々そういった仲の悪い関係なのですが、サウジアラビアに隣接する国であるイエメンの内戦で一方の勢力にサウジアラビアが支援し対立する勢力にイランが支援するといった他国での武力衝突でも対立を深めてしまうようなこともあり、こういった事情も関係悪化に拍車をかけていました。サウジアラビアが激しく対立する国であるイランと関係を深めるなどということはサウジアラビアにしてみると敵対行為のように映るのでしょう。
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カタールがイランとの関係を深めている理由として経済的な要因が指摘されることもあるようです。カタールは天然資源が豊富な国です。天然ガスがたくさん産出されているようですが、この天然ガスがとれる場所はイランとの海域に存在していてカタールのガス田とイランのガス田はつながっているのだそうです。カタールが貴重な資源を共有している相手であるイランと激しく対立してはなにかと天然ガス採掘にも支障が出てきてしまうでしょう。国を潤す大切な資源ですからイランとトラブルなど起こしたいはずがありません。また、もう一つの理由、カタールが過激派を支援しているという理由ですが、これは以前エジプトで政権を取ったことのある政治勢力と深い関係にあるムスリム同胞団という組織をカタールが支援しているとサウジアラビアやエジプトが非難しているのです。ムスリム同胞団というのはイスラム教の教えにのっとった政治をおこなおうという勢力なのですが、エジプトはこの勢力が自国内で破壊活動をしたという理由でテロ集団と見なしているそうです。また社会変革を志している勢力なので自国の国家体制をくつがえしてしまうのではないかという警戒感からサウジアラビアなどもムスリム同胞団を危険な勢力と見なすようになりました。そのような勢力をカタールが支援しているためサウジアラビアなどの国々は怒ったというわけです。カタールが一部の国から過激派と見なされている勢力をわざわざ支援してきた理由については、イスラム社会の人々から一定の支持を集めているイスラム同胞団を支援することでカタールのイスラム社会に対する影響力を大きくしようと考えたからとか、現在のカタールの指導者がサウジアラビアなどとは異なる独自の外交姿勢をとりたがるからなどといった指摘もあるようです。
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今回はカタールが複数の国から国交を断たれたという話について一部取りあげました。原因については上で書いた二点がよく取り上げられるようなのですが、2017年の6月にサウジアラビアなどが断絶に動いた直接の原因はカタールの言論機関によってカタールの指導者がイランやイスラエルのことを評価する発言をしたというニュースが流されたからなどとも言われているようです。カタール政府は指導者である首長に関するそのようなニュースは事実ではないと否定したそうですが、サウジアラビアなどは強く反発しました。その後イランの大統領選挙で当選したイランの指導者にカタール側からお祝いの連絡をしたことによって国交断絶に繋がってしまった、そんな話もあるそうです。サウジアラビアから様々な制裁を受けたカタールですが、食料の供給をイランが肩代わりしてくれたそうで、かえってカタールとイランの関係はより強くなったようにも見えます。サウジアラビアは制裁を加えることでカタールの姿勢をサウジアラビア寄りにさせたいと思ったのでしょうが、サウジの目論見通りにはなっていません。国の外交方針というのは相当優秀な人たちがよく考えて決めているのだと思うのですが、今回のようにサウジなどの国々にとって期待しない結果をもたらしてしまうようなことになってしまう場合もあるものなのですね。不思議な感じがします。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
海の呼び名に関する国家間の意見対立の話「韓国が日本海を東海と主張する問題とは?海外の反応は?」はこちらです。
中東の国同士の関係について触れている話「イランとイスラエルが対立する理由は一体何なのでしょう」はこちらです。
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