トルコでクーデター未遂事件がなぜ起こったのでしょう

トルコのクーデター未遂はなぜ起こったのでしょう

 

西暦2016年7月、トルコ共和国では当時民主的な方法で成立していた政権が存在していました。しかしそれを武力によって打倒し、新しい政権、体制にしようとする行為(クーデターと言います)がトルコ軍の一部の勢力によっておこなわれています。この企ては当時の大統領がクーデター側の攻撃を回避し、逃げることが出来たことで結果的には成功しませんでした。クーデター行為に参加しなかった軍の他の勢力が大統領の指示に従いクーデター派を鎮圧しています。クーデター行為は1日も経過せずに収まったそうなのですが、この出来事が収束するまでの過程で一般のトルコ国民の方々にも軍関係者の方がたにも犠牲者が出てしまうことになりました。200人以上の方がお亡くなりになったそうです。日本に例えれば自衛隊の一部の勢力が内閣総理大臣を襲撃して政権を倒し、自分たちの希望する人間を総理大臣にすえた新しい政権を作ろうとするようなものです。今の日本に例えると非常に現実感のない話ではありますが、第二次世界大戦以前の日本であれば2・26事件のように実際に反乱事件も起きていました(トルコの2016年の事件同様2・26事件も失敗しています)。武力で政権打倒をはかるような物騒な出来事が2016年のトルコでなぜ起きることとなったのでしょう。トルコ政府は軍内部に影響力を持っている、ある宗教関係者が関与しておこなわれたものだという考えを示しているようです。他には狙われた大統領が政治、公共の場に宗教的な習慣を持ち込む政策を進めてきたからといった見方もあるようです。

 

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宗教指導者の影響

 

国民の大半がイスラム教信者であるトルコ共和国に、長年社会的な活動を献身的におこなっていたムハンマド・フェトフッラー・ギュレンというイスラム教指導者がいました。現在はアメリカに亡命しています。この人はトルコ国内の各所に教育機関や病院、金融機関といった人々にとって必要な施設を作るという社会運動のリーダー的な存在で、トルコ国内で非常に影響力がありました。この人物がトルコの大統領とある時期を境に非常に関係が悪化したそうです。具体的には大統領が一部教育機関の廃止を決定したり、政権の閣僚が関わる汚職事件が明るみになったことが関係していると言われています。グレンさんを支持している警察、検察関係者が事件を明るみにして政権に打撃を加えようとしたと政権側は考えたようです。非常に関係が悪化したので、国内政治に非常に影響力を持っているギュレンという人が対立する大統領の勢力から権力を奪うために一部軍関係者と連携してクーデターを試みた、トルコ政府側はそのような主張をしてギュレンという人が亡命しているアメリカ側にギュレンさんの身柄をトルコに引き渡すことを要求しています。

 

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公共の場がイスラム化されることへの不満

 

近代化に多大な貢献をした過去の有名な政治指導者の影響もあって、トルコ共和国では近代化される過程で公共の場に宗教を持ち込まないようにしようという方針がとられるようになりました。世俗主義(せぞくしゅぎ)などと言われることが多いようです。その方針が長らく続いていたのですが、エルドアンという人が国のリーダーになってから公共の場で女性はスカーフを着用してもかまわないといったイスラム教の習慣に基いた法改正が実施されるようになり、公共の場に宗教的要素を持ち込むべきではないという、世俗主義の考えを支持している人たちからはエルドアンさんの政策に対し強い反発が出ていました。トルコ軍はトルコ国内で世俗主義を支持する代表的な勢力の一つであり、イスラム教の習慣をこれまでよりも社会に浸透させようとするエルドアンさんのやり方に反感を持つ軍関係者は多いため、クーデター行為に繋がった。そのような見方も多いようです。

 

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今回はトルコで2016年に発生した有名な出来事について取りあげました。最近トルコ国内で非常事態宣言が解除されたという話を耳にすることがあり、このクーデター失敗の話について確認してみたく、このようなテーマの記事にしてみました。2016年当時大統領はトルコ国内の有名な観光地に静養のため滞在していたところ、クーデターの動きを早めにつかむことで利用していたホテルから逃げることが出来たそうです。大統領が最初に泊まっていたホテルはクーデター派による攻撃で爆破されるなどの被害を受けたのだとか。情報が伝わっていかなかったら大統領は殺害されていたのでしょう。恐ろしい話です。政権を担当している政治指導者というのは現状の政治に不満を持った人から命を狙われてしまうことが往々にしてあるものなのだということを改めて感じました。それとしっかりとした情報収集体制を整えることで命が救われる場合もあるということなのでしょうね。情報を取り扱う機関の機能を充実させるというのはそういった点ではやはり重要ということになるのでしょう。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

指導者批判で使われる「独裁」という言葉について触れている話「独裁政治とは?行われている国や専制政治との違いについて」はこちらです。

中東の他の国について触れている話「カタールが国交断絶されてしまった原因は何なのでしょう」はこちらです。

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