アメリカが中国産の製品に高い関税をかけてきた理由は

アメリカが中国の製品に関税を上乗せする理由

 

アメリカ合衆国は平成三十年、西暦2018年に入って他国からアメリカに輸入する製品に対し関税を引き上げる動きに出てきました。他国で生産されたアルミニウム製品や鉄鋼製品にアルミニウムは10%、鉄鋼は25%関税がかけられることになったのだそうです。これが2018年3月の動きでした。当初日本も例外なく関税がかけられる予定だったようですが、一部鉄鋼製品については追加関税が適用されないこととなりました。色々な国がアメリカの追加関税政策で影響を受けています。その中でも中国は特にアメリカ合衆国から追加関税をかけられている対象国となっています。アメリカ政府の動きに対抗して中国政府もアメリカから輸入する製品に関税を上乗せする反応を示しており米中間は現在貿易を巡って深刻な対立関係にあります。アメリカはアルミニウムや鉄鋼製品に限らず中国からの輸入製品に対し関税を上乗せする対象品目を増やし続けています。関税を上乗せする製品の輸入額が7月には340億ドル相当などと言われていたそうですがその後160億ドル相当の製品が対象として追加されたり、9月には2000億ドル相当の製品に対し関税を上乗せするなどと言う発表もされたようです。アメリカ政府の政策が次第に規模を膨らませてきていることがわかります。アメリカ政府が特に中国製品に対して関税を上乗せするようになった理由とは何なのでしょう。アメリカの貿易赤字で中国の占める割合が大きいから、中国によってアメリカの知的財産が侵害され経済的な損失をこうむったからとか、安い中国製品との競争にさらされてきたアメリカの産業を保護するため、中国の経済成長を抑制させるためなどといった理由が指摘されているようです。

 

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貿易赤字

 

アメリカの商務省によると2017年のアメリカの貿易赤字は5684億ドルだったそうです。そのうち対中国貿易による赤字額は3429億ドルでありアメリカの貿易赤字全体の6割を占めていました。一カ国で6割を占めているので相当な割合と言えます。日本は3番目に貿易赤字額が多かった国で697億ドルでした。2位はメキシコの762億ドル。1位の中国はケタが違っています。貿易赤字を減らしたいアメリカにとって中国からの輸入を減らすことが赤字減らしのために必要だと考えるのは自然なのかもしれません。

 

知的財産権が侵害されているから

 

アメリカの知的財産が中国に奪われ中国の技術が向上し中国製品の質が高まったためアメリカの製品が売れなくなり経済的な被害を受けたという点も追加関税をアメリカがおこなう際の理由としてアメリカ政府がよく挙げています。アメリカ企業が中国国内で生産活動をする場合、中国側にアメリカ企業の技術を移転するよう条件づけることが長らく続いてきたのだそうです。アメリカ企業が時間と経費をかけて自力で開発した技術を中国側が手間をかけずに入手することが出来ていました。技術を入手した中国側は製品の質を向上させ、競争力を増し、貿易で大きな利益を獲得していきました。また中国出身の学生がアメリカに留学し科学技術に関する知識をたくさん吸収し母国、中国に戻り、学んだ内容を国内で伝達することにもなりました。このような経路でもアメリカの科学技術が中国に渡っていく時代はこれまでしばらく続いてきました。

 

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アメリカ国内の産業の保護

 

以前ほどではないにせよ中国は中国国内の安い人件費によって中国の人々の労働力を活用し安い製品を生産してきました。その中国産の安い製品との競争をアメリカの企業は強いられ生産する商品の価格を抑えるため企業労働者であるアメリカ国民に経済的なしわ寄せが行きました。そのようなアメリカ人労働者の経済状態を改善させるため安い中国製品に関税を追加してアメリカ企業の製品が競争しやすくなるようにしました。アメリカ企業の製品の売り上げが伸びればその企業で働く従業員の経済状態も改善します。

 

中国の成長を抑えるため

 

中国の経済成長を野放しにした場合、中国の軍事技術の向上につながる産業分野で著しい発展が予想されるとアメリカ側は心配しているそうです。もしそうなった場合アメリカの軍事力の優位性が保てなくなり世界の覇権を中国が握ることになりかねず、安全保障上の理由から中国の成長を抑える必要がある、そう考えるアメリカの要人もいて、アメリカは中国に経済的な攻勢をかけているという見方があるようです。

 

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今回はアメリカによる中国への追加関税について取り上げました。ニュースでも最近よく出てくるように思いますし、世界経済を悪化させることにつながりかねないという心配も強まっているようです。そうなればアメリカも損をすることが予想出来るはずですが、そんな中でも中国に対する関税の追加が止む様子がありませんし、アメリカ政府にどのような意図があってこのような政策に傾いているのか確認してみたく今回のようなテーマで記事を作ってみました。自分を支持してくれるアメリカ人労働者の利益を守ろうとアメリカの大統領が動くのは自然ではありますが、最近の合衆国大統領でここまで中国と対立した人もいなかったような気がします。今のような人物が大統領に就任したということは、どれだけアメリカ人労働者の間で不満がたまっていたかを示していると言えるのかもしれません。このアメリカと中国の経済対立はどういう結末を迎えることになるのでしょう。中国の台頭を抑えることが関税を追加しているアメリカ政府の本来の目的だという見方が正しいのであれば、今のような流れは簡単に収まらないのかもしれません。中国経済を抑え込むということと世界経済の成長をある程度のレベルに保つということは果たして両立することが出来るものなのか。気になるところです。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

中国とアメリカの緊張について触れている他の話「防空識別圏に尖閣上空も入れたことで示されたアメリカの動き」はこちらです。

南シナ海周辺での中国の振る舞いについて触れている話「スカボロー礁の場所と領有に関するフィリピンや中国の主張」はこちらです。

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