トルコの通貨安は何を原因にして起きているのでしょう

トルコの通貨安の原因

 

中東の国、トルコ共和国のお金の単位は「リラ」です。この記事を作成しているのは平成30年、西暦2018年8月~10月にかけてですが、今の時点でトルコリラにはどんな傾向があるのかというと、金利がすごく高いです。2018年6月の時点で政策金利が17.75%となっていました。日本では銀行で普通預金しても高い所で0.02%であり、低い銀行であれば0.001%くらいの状態ですから、トルコの金利は日本の銀行の普通預金と単純に比較して887.5~17750倍となります。あまりの違いに驚いてしまいます。現在このような特徴を持つトルコの通貨がどんどん価値を下げています。今年(平成30年、西暦2018年)に入って3月(1アメリカドル=3.7リラくらい)以降はジワジワとアメリカドルとの交換比率がリラ安の方向に動いてきました。5月はリラ安が非常に進行した時期(5月下旬で1アメリカドル=4.6リラくらい)でしたが、それに比べても7月下旬以降の交換比率の変化が非常に激しくなっています。8月の中旬で最もリラ安が進んだ時は1アメリカドル=6.8リラくらいでした。今年の3月に比べても46%くらい価値を減らしていることになります。すごく大きな変動ぶりですが、このようなトルコリラ安となっている原因は何なのでしょうか。8月中の急激なリラ安はアメリカ政府とトルコ政府の関係が悪化していることと関わりがあるようです。またそれ以前の、8月に比べれば緩やかなリラ安への流れについてはトルコ共和国の経常収支が赤字の状態であることやトルコの金融政策が関係しているといった見方もあるようです。

 

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経常収支が赤字

 

他国との間の貿易やサービス、投資などに関わるお金の収入と支出を経常収支(けいじょうしゅうし)と呼ぶそうです。例えば貿易に関して見た場合、仮の話として、A国が他国に対し年間100円の商品しか輸出できずにいて、他国からA国は1000円の商品を輸入した状態だとしますとA国の貿易収支は900円の赤字ということになります。収支の赤字というのは国の資産が他国に多く流出した状態を意味します。赤字が膨らむと自国の通貨を売って他国の通貨を購入し他国に対して支払う頻度が増えることになります。そうなりますと自国の通貨を売るわけですから他国の通貨に比べ自国の通貨が安くなる傾向となります。トルコ共和国は西暦2002年頃から経常収支が赤字となっており赤字の年がずっと続いて来ているそうです。そのためリラを売って基軸通貨のドルやユーロなどを購入する流れが強まりリラ安に動く傾向となっていました。

 

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アメリカとの関係悪化

 

アメリカとトルコは数年前に起きたトルコ国内でのクーデター未遂事件以降、事件に裏で関与していたとトルコ政府が疑っている人物をアメリカ側がトルコに引き渡そうとしないことを理由に関係が悪化しています。またトルコはクーデター事件に関係したという理由でアメリカ人の牧師をトルコ国内で拘束する動きに出ており二国間関係はさらに悪化しました。アメリカ政府は一部トルコ要人の在米資産を凍結(資産を自由に扱えなくすること)するようなこともしています。このようなアメリカとの関係悪化はトルコ経済を悪くしてしまうのではないかという観測が強まりそのような国の通貨の価値は下がるだろうと判断した人たちがリラを売る動きを強め、リラが急に安くなった、そのような見方が多いようです。

 

トルコの金融政策

 

自国通貨が安くなりすぎているなとその国の中央銀行が判断すると自国通貨の価値が高まるような金融政策をとるのが普通なようです。具体的には金利を上昇させてお金の価値が高くなり、物の価値が下がる経済状態、デフレの状態に移行させようとします。しかし金利を上げるとその国の景気が悪くなるという側面もあり、現在のトルコの政治指導者がそのようなデフレに移行させるような金融政策を嫌い、中央銀行も指導者に気兼ねしてそのような政策をとりづらい状況だった、そのためリラ安の方向に動きやすかったという見方もあるようです。しかし今年半ばからのリラ安の動きを受けて中央銀行も6月には利上げに踏み切りました。

 

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今回はトルコの通貨が安くなった原因について一部取りあげました。私はFX取引というものを全くやっていないのでトルコリラという通貨に関しては普段調べることもありませんでしたからリラ安が続いていたこと自体全く知りませんでした。そんな私でも普通のニュースの中で急激にトルコの通貨が安くなって世界経済に影響が出ているという話を目にすることとなり、何が理由でトルコの通貨が急激に下がったのか確認してみたくなりこのような記事を作っております。8月の急激なリラ安についてはアメリカとトルコの関係悪化がかなり関係しているような印象を持ちましたが、人によってはトルコの中央銀行の独立性が脅かされている(トルコの中央銀行が本来影響を受けるべきではないトルコ政府の意向に影響されてしまっている)ことが理由と見ている人もいるようです。また8月以前にリラが安くなってきた原因としてはアメリカで金利の引き上げがおこなわれたことでアメリカドルに交換して資金運用しようと考える人が増えてトルコリラなどを含め、新興国の通貨を売ってドルを買う動きが強まったことも関係しているという見方はあるようです。複数の要因がありそうではありますが、この一国の急激な通貨の価値の変動が様々な国の経済に影響を及ぼすことが懸念されています。世界経済が悪化して日本の景気が悪化しても困りますし、リラ安の理由の一つと見られていますのでアメリカ、トルコの政府には相手に妥協する姿勢を見せてもらいたいところです。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

トルコ共和国の他の出来事について触れている話「トルコでクーデター未遂事件がなぜ起こったのでしょう」はこちらです。

中東地域の国の出来事について触れている話「カタールが国交断絶されてしまった原因は何なのでしょう」はこちらです。

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