スパイ防止法と特定秘密保護法はどんな違いがあるのでしょう

特定秘密保護法とスパイ防止法の違い

国家安全保障分野の法律について関心を持たれてこのページに来られた皆様、こんにちは!この記事では私なりに既に日本に存在している法律である「特定秘密保護法」と、ちまたで呼ばれている「スパイ防止法」にどういった違いがあるのか書いてみたいと思います。とは言いましても、いわゆるスパイ防止法は現在の日本で成立して存在している法律というわけではありません。成立賛成派、反対派、共に、スパイを取り締まるための法規制として使用している呼び名です。そのため存在していない法律(スパイ防止法)と存在している法律(特定秘密保護法)の違いを考えると言っても無理があるように感じられるかもしれません。考えやすくするために、この記事ではスパイ防止法という名称を他国のためになり、かつ日本にとって不利益となる行為(情報奪取、工作活動など)を取り締まる法律といった意味で使用してみます。スパイ防止法と特定秘密保護法でどのような違いが出てくるのでしょう。スパイによって奪われる情報次第で法律があてはめられるかどうか違いが出てくると思われます。他にも他国が既に制定しているスパイを取り締まるための法律と比べ刑罰の重さが異なるといった違いも挙げられるかと思います。(この記事で「スパイ」という呼称を、先ほども触れましたが日本にとって不利益となる情報奪取も含めた行為を他国のためにおこなう人物という意味で使用します。)

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情報による違い

特定秘密保護法によれば、この法律がスパイなどによって奪われないように守る情報は担当大臣などが指定するものに限定されます。もう少し詳しく言いますと日本国の安全を確保することに関係していて軍事、外交、日本側にとって有害となる行為の防止、テロの防止の分野の中で特に秘密にしておく必要がある「特定秘密」という位置付けに指定された情報に限定されます。政府が特定秘密にしている情報を奪おうとする行為に対しては、罰の内容も特定秘密保護法の中に盛り込まれました。スパイ防止法という法律の場合は保護する情報の範囲が現在存在している特定秘密保護法よりもはるかに拡大されることになるかと思われます。政府が特定秘密保護法を説明している内容を閲覧するとわかりますが、政府が公表しない情報=政府の指定する「特定秘密」では全くありません。「特定秘密」は政府が公表していない情報の一部です。スパイ防止法が国家の公表していない情報、秘密にしている情報を対象とした場合、特定秘密に指定されていないけれど、国が公表していない情報をスパイが奪ったのであっても取り締まることが出来ることになります。しかしスパイ防止法が無く特定秘密保護法しかない状態であれば特定秘密に指定されていないが国が公表していない情報をスパイが奪っても特定秘密保護法をあてはめてスパイを取り締まることは出来ません。従来の他の法律をあてはめて逮捕できればいいですが。また産業スパイのような民間を標的にしたスパイ活動に関しても特定秘密保護法が適用される場面は少ないように思われます。

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刑罰の重さ

特定秘密保護法の場合は特定秘密を得ることにとどまらず、そのような秘密を得るために暴行を加えたり脅迫したり、こっそりと盗みをはたらいたりするようなことについても取り締まりの対象となっていますが、そういった行為で捕まって裁判にかけられても最も重い罪で最長10年の懲役(ちょうえき)刑となっています。懲役というのは刑務所での生活を送り、その期間決められた労働に従事しなければならないという罰です。10年というのは確かに長いですが、国家の機密を奪う重罪に対する刑罰としては軽いと見る意見もあります。他国におけるスパイ行為を取り締まる法律の場合は最高刑、最も重い刑罰は無期懲役であったり国によっては死刑となっている場合もあるようです。過去に日本国で国会に提出されたことのあるスパイ行為を取り締まるための法案の場合、定められていた最高刑は死刑か無期懲役となっていたそうです。この法案は昭和六十年、西暦1985年に国会に提出されましたが、法律として成立することはありませんでした。このように特定秘密保護法といわゆるスパイ防止法ではスパイ行為をおこなった人物に科す最高刑の重さがかなり違っていると言えます。

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今回は特定秘密保護法とスパイ防止法と呼ばれるようなスパイ行為を摘発するための法律の違いについて取り上げました。インターネットのサイトを見ている中でスパイ防止法を制定していないのは日本くらいなもの、といった論調の主張を目にしたので、以前世の中で法案を通すかどうか大変議論になっていた特定秘密保護法のことが頭に浮かび、ああいった法律(特定秘密保護法)があるから大丈夫なんじゃないのか?と思いました。しかし人によっては特定秘密保護法だけでは十分ではないと考えているようなので特定秘密保護法とスパイ防止法にどのような違いがあるのか知りたくなり、こういったテーマの記事を作ってみた次第です。特定秘密ではないものの政府などが外部に公表したくない情報というのも当然あるでしょうし、そういったものがスパイに盗まれても軽い罪にしか問えないということがあるのならスパイから国を守るといった点で不十分だということにはなるのでしょう。防諜体制に問題意識を持った国会議員がいたからこそ昭和六十年、西暦1985年に法案が国会に提出されることにもなりました。当時国会に提出された法案というのは政府側が必要と考えて提出された法案ではなく、一部の有志の議員が国会に提出した法案だったそうです(議員立法)。他国の大半にはスパイ防止法のような法律が依然としてあります。そういった事実から考えてみても防諜目的の法律は必要だと各国の立法機関(日本で言えば国会にあたる機関)の議員たちは感じているのでしょう。日本でも今後法案が政府か一部議員から提出されることになるのではないか、といった感想を個人的には持ちました。

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

今回の記事ではakizouさんによる写真ACからの写真を使用させていただいております。

今回の記事でも名前の出る特定秘密保護法について触れている記事「特定秘密保護法とは簡単に言うとどのような法律なのでしょう」はこちらです。

戦前に制定され、現在は存在しない有名な治安関係の法律について触れている話「治安維持法とは?この法律が制定された理由や影響について」はこちらです。

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