中央銀行の独立性はなぜ必要だとされているのでしょう

なぜ中央銀行に独立性が求められるのでしょう

日本社会や世界の政治、経済に関心を持たれて、あるいは中央銀行の役割について関心を持たれてこのページに来られた皆様、こんにちは!この記事では日本をはじめとしたさまざまな国々で経済政策をおこなう上で欠かすことのできない存在である中央銀行という機関にどうして独立性が必要、政府の意向に影響されない独立した立場である必要があるという意見があるのかについて私なりに書いてみたいと思います。日本の場合、中央銀行は日本銀行という名前になっています。アメリカではFRB、連邦準備制度理事会という民間機関が中央銀行の役割を担当しています。欧州連合の場合ですとECB、欧州中央銀行というそのままの名前の中央銀行です。中央銀行は経済政策の一つである金融政策(きんゆうせいさく)をおこないます。中央銀行が金利の高さを決めたり、国債のような債権を購入することによって世の中に出回るお金の量を調節するといったことは典型的な金融政策の例かと思います。こういった経済政策の一つ、金融政策をどうしておこなうかというと物価、モノの値段を安定させたいから、ということになります。世の中に出回るお金の量が多すぎて物価が急上昇するような(インフレーションが進行する)世の中も、世の中に出回るお金の量が少ないことで物価が下落していく(デフレーションが続く)世の中も世の中の多くの人々を困らせることになります。そういったことにならないよう、世の中に流通するお金の量を調節することで物価の変動による経済混乱を回避するのが中央銀行に託されている重要な役割です。しかしそういった仕事をしている中央銀行がどうして独立した立場である必要があるのでしょう。中央銀行が政府の指示に忠実に従う存在となった場合、中央銀行に任されている「物価を安定させる」という務めをきちんと果たせなくなる危険性が高くなる。そういった見方が主流となっているため中央銀行の独立性が必要だと言われているようです。

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政府の指示下にあると

もし中央銀行が政府の言いなり、政府の命令にそのまま従う存在であればどうなるのでしょう。中央銀行は独立していたほうがいいと考える人たちは時の政権が景気の悪化を嫌って世の中に出回るお金の量を増やす金融政策、金融緩和(きんゆうかんわ)政策を中央銀行にとらせてしまうことになると見ているようです。金融緩和政策が必要な時期に実行されるのならいいのでしょうが、必要ではないときに金融緩和政策をおこなえば物価の上昇傾向が強まりすぎて人々の暮らしに悪影響をもたらす恐れが強まります。世の中に出回るお金の量が増えすぎればそれまでに比べて景気が良くなるという利点もあるのかもしれませんが物価が上昇してしまいます。わずかな物価の上昇(数パーセント)であれば人々の暮らしに大きな影響はないでしょうが、物の値段が10%も20%も上昇したのなら「ちょっと待ってくれ」ということになるでしょうし、そんな上昇率では収まらず天文学的な割合の物価上昇ともなれば人々は安定して物資を入手できなくなり大変な危険にさらされることとなります。政府もバカではないからそんな物価上昇になる前に手をうつだろうと思うかもしれませんが、大変な割合の物価上昇が発生する事態というのはいくつかの国で実際に起きてしまっています。このサイトでもアフリカのジンバブエや南アメリカ大陸のベネズエラといった国々で発生した物価上昇について触れたことがありました。政治家に具体的な金融政策を任せると場合によってはひどいことになるので金融政策に詳しい専門家がその時々の政権の思惑とは距離をおいて物価の安定のために本当に必要な政策をとったほうがいい、現在の世の中ではそういった考え方が主流のようです。

日本銀行の場合

我が国の中央銀行である日本銀行の場合はどれくらい日本政府の影響を受けるのでしょう。日本銀行のトップ、日本銀行総裁に誰が就任するのかについては日本政府が大きく関わります。日銀総裁を任命する権限は日本政府が持っているからです。ただし国会で政府の提案する総裁職の人事案を承認してもらう必要が出てきますが、国会両院で与党が多数を占めている場合は日本政府の人事案がスンナリ承認されることでしょう。ただ国会がねじれ状態、衆議院の多数派である与党が参議院で少数派となっているような場合は人事案が否決されてなかなか決まらないこともあり得ます。いずれにせよ誰を総裁にするか日本政府は国会の承認する範囲内で決定することが出来ます。そして総裁に就任した人物が担当する期間、任期は5年間となっています。結構長いです。政府や国会が気に入った人物を総裁に就かせたとして、政府や国会の考え通りに日銀総裁が金融政策をおこなってくれるなら摩擦は生じないでしょうが、問題は政府や国会が希望する金融政策と日銀総裁がやりたいと思う金融政策に違いが出てくる場合です。日本政府が希望する金融政策をやってくれなければ政府や国会側としては当然不満が出ますので「あんな総裁辞めさせようや」と思うようになるでしょう。しかし現在の法制度では日本政府や国会が日銀総裁を解任させたくても解任できないようになっているのです。この解任できないという点は確かに中央政府や国会の意向に振り回されないということになるので独立性を象徴していると言えます。こういった制度は平成九年(1997年)に日本銀行法という法律の内容が変更されたことで作られました。それ以前の日本銀行法、旧日銀法では総裁を解任する権限が政府に与えられていましたし、日本銀行の業務について日本政府が日銀総裁に対し命令する権限も与えられていましたので大違いです。平成九年のいわゆる日銀法改正というのは大変重大な出来事だったと言えるでしょう(当時の私はそんなこと全然わかりませんでした)。

今回は中央銀行の独立性が必要だという意見があるのはどうしてなのかについて一部取り上げました。ラジオ番組やインターネット番組で経済評論を聞いていて日本銀行総裁の金融政策が適切ではないといった主張を耳にすることが以前あって、それを聞いた時には日本政府が日本銀行に指示したらいいのにねとも思いました。しかしどうやら中央銀行の独立性とかいうものを理由に政府が介入しづらくなっているということを知り、なぜ介入しづらくなっているのか知りたく今回のようなテーマの記事を作ってみた次第です。政治家の都合で金融政策が左右されると世の中の物価安定がないがしろにされてしまう恐れがあるという、政治家に対する不信が独立性を必要とする大きな理由の一つであるようです。2019年頃は比較的米国経済が堅調、景気がそれなりにいい状態にあったにもかかわらずトランプ大統領が米国の中央銀行のような役割を担当するFRBの金融政策に不満を示してもっと金利を下げろという圧力をかけているという話もあったようなので、中央銀行の独立性が必要と考える人たちは自分たちの意見にさらに自信を持つようになったのかもしれません。トランプ大統領がもっと金利を下げたがった理由についてはさらに景気を良くした状態で2020年の大統領選挙に臨みたかったから、という利己的な理由だと説明されることもあったようですが、これについては的を得ているのか一面的な説明なのかよくわかりません。米中経済対立が激化して景気が悪化し国民生活に悪影響が出るのを最小限に食い止めたくて利下げしろと主張していたのかもしれませんし。また独立性を保たれた状態の中央銀行総裁が本当に適切な金融政策をとっているのかについて疑問を投げかける経済専門家も結構いるみたいです。日本に関して言えばデフレ脱却が長年出来なかったのは日本銀行総裁がきちんとした金融緩和、インフレ方向に動くような適切な金融政策をとらなかったからだといった意見も見受けられます。中央銀行に独立性が与えられて単純によかったねということでもどうやらないようです。金融政策に失敗したらその失敗の責任を日本銀行総裁にきちんと取らせましょうという提言もあるようで、必要であればそのような制度修正を早急にしてほしいものです。

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

今回の記事ではshikemaさんによる写真ACからの写真を使用させていただいております。

過去にジンバブエでインフレーションがすごく進行したことについて触れている話「ジンバブエではなぜインフレが進行してしまったのでしょう」はこちらです。

日本の中央銀行がバブル崩壊前におこなっていた政策について触れている話「バブル崩壊の前、日銀の公定歩合はどうなっていたのでしょう」はこちらです。

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