日本企業が中国進出したメリットとは何だったのでしょうか
日本企業が中国進出した際のメリット
近現代の日本の出来事や日本と中華人民共和国、二国間の出来事、日本の経済にまつわる話について関心を持たれてこのページに来られた皆様、こんにちは!この記事では日本国内で誕生した企業が中華人民共和国内に活動拠点を置いて経済活動をすることにどのようなメリット、利点があったのか、あるいはあるのかということについて私なりに書いてみたいと思います。帝国データバンクさんのホームページにある2019年5月31日付の記事、日本企業の中国進出動向(2019年)によりますと、2019年5月時点で日本の企業が確認できただけで約13000社中華人民共和国国内に進出しているそうです。また外務省の調査によれば中華人民共和国内の日系企業拠点数は約32000カ所にもなるのだそうです。これは米国や東南アジア地域の日系企業拠点数に比べ3倍以上なのだそうで大変な規模であることがわかります。中国に進出する日本企業の数が特に増加した時期としては平成十二年、西暦2000年以降、それ以前は西暦1990年代、それよりも前ということになりますと西暦1978年の末に中華人民共和国内で決定した経済政策である改革開放政策が実施されるようになってからということになるようです。改革開放政策というのは文化大革命で大変な痛手を受けた中華人民共和国経済を立て直すために経済特別区を設けたり国外資本が中国国内で経済活動をおこなうことを許可したりした政策です。共産主義の国であるにもかかわらず市場経済へ次第に変化していくきっかけとなりました。2000年以降に進出企業がさらに増加した理由としては中華人民共和国が国際機関であるWTO、世界貿易機関に加盟することとなったことを受けて中国が国外企業向けの規制を緩和したことが関係しているそうです(加盟が実現したのは2001年12月)。しかしこれまで多くの日本企業が中国に進出していったのにはどういったメリットがあったからなのでしょう。経費をなるべく安く済ませたいといった事情や生産した商品をたくさん買ってもらえるという期待があったから、そのような指摘が多いようです。
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生産にかかる経費を抑えられる
1980年代の日本では経済環境が変化し日本で製品を製造してもそれまでと同じように他国で購入してもらうことが難しくなりました。自国の通貨、円が先進国間の合意によって円高ドル安方向にどんどん変化していきました。円高になるということは他国で日本製の製品を売る場合割高になってしまいますので他国の製品と価格競争をすると不利になります。自社製品が今まで通り他国で購入してもらえるようにするためには製品価格を下げる努力をしなければなりません。そのため日本企業は生産拠点を日本から別の国に移すようになりました。生産拠点の移転先は新興工業経済地域とされていた韓国や台湾、香港、シンガポールが当初人気だったそうなのですが、そういった地域の人件費が次第に高くなっていったそうで、その後はそういった地域よりも人件費の安かった東南アジアに注目が集まりました。そのような状況の中、昭和六十三年、1988年初頭に中国は大陸沿岸地域の経済発展のための戦略を発表し国外からの投資を歓迎する姿勢を示します。中国政府が定める経済特区では国外からの投資を積極的に受け入れることとなりました。当時の中国の人件費は先ほど挙げた新興工業経済地域に比べれば安く、日本企業にとっては魅力的だったようです。どれくらいの安さだったかについては詳しい資料を見つけられませんでしたが、東洋証券が中国国家統計局の出しているデータから作成したグラフを見ると中国の年間平均賃金は1988年で2500元以下、当時の人民元は円に換算した場合34円ほどだったようですから8万5千円以下という数字になります。相当な安さであることがわかります。その安かった賃金は次第に上昇。2009年では3万元以上、当時は1人民元が13.69円ほどだったそうですから41万円以上となります。すごく上昇してはいるものの年間平均賃金と考えると日本企業から見れば安いということになるのでしょう。人件費を抑えることで商品製造のための経費を安くすることが出来る。円高で苦しんできた日本企業からすると魅力がありました。
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自社製品を消費してくれる大きな市場
日本や人件費の高い他国で企業が生産をするよりもあまり経費をかけないで済むということの他にも、中国国内で製造した自社製品を消費してくれる大きな市場が中国国内にあるということも日本企業にとっては都合の良い点でした。確かにかつての中国、1980年代の中国の人件費は大変安い状態だったので、そのような時代には中国の人々が商品をたくさん購入する経済力は無かったかもしれません。しかし1980年代以降中国の経済は大変な勢いで成長していきます。1982年以降は8.9%が年間経済成長率の中で低い値となっており10%以上の成長率が当たり前のように続きました。確かに天安門事件が発生した時期は成長率が5%を下回ることもありましたが1991年以降は低くても7.7%、高い時には14%もの成長率になった時期もあります。2014年以降はその値も7%を下回るようになってきましたが日本の成長率を考えますと比較にならないほどの高さを維持しています。我が国の2011年以降の年間経済成長率を見ても、良くて2%、大災害があってマイナス成長になった2011年は別としてパッとしない年は成長率が0.38%(2014年)なんていう時期もありました。中国の悪くても6パーセント以上の成長率というのは大変な数字だということがわかります。それくらいの勢いで経済が成長したら中国の人々、一人一人の商品を購入する経済力も当然増大するでしょうし、中国国内で一定以上の経済力を持った人々の割合も増加することでしょう。そうなれば日本企業が生産する商品を購入してくれる人は当然増えることになりますし、企業側としてはぜひこの中国国内の大きな市場でいっぱい商品を買ってもらい、たくさんお金儲けをして利益を確保したいと考えることでしょう。中国は世界の中でも特に人口の多い国ですし、いわゆる中産階級のかたの割合が中国国民全体の中でそれほど多くなかったとしても数で言えば相当な規模になります。意見は分かれるかもしれませんが人民日報では中国の中産階級に分類される国民が世界の国々の中でも最大となった(4億人以上に達していると見なしているのだそうです)と報じています。日本の人口の三倍を余裕で超える人数です。一方日本の国内市場は高齢化、少子化などを理由に縮小していくといった指摘も多く、日本国内の市場を当てにすることもなかなか難しいといった日本企業の苦しい事情も中国進出に拍車をかけているのでしょう。
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今回は日本企業が中国進出するメリットについて一部取り上げてみました。新型コロナウィルスが中国湖北省の大都市、武漢で流行しそれが中国全体に、そして世界に拡大していったわけですが、当初、武漢には現地で経済活動をする日本企業が多数あって、それに伴い武漢に滞在している日本国民もたくさんおられました。武漢での流行がひどくなり日本政府が準備したチャーター機で日本の人々がたくさん帰国しました。そういった光景を見ていて中国に滞在する日本人の方々がたくさんおられるのを改めて感じましたし、中国に進出している日本企業が多いということも感じました。ただどうしてこぞって日本企業が中国に行くのかということについてメリット、利点がパッと思い浮かばなかったこともあって今回のようなテーマの記事を作成してみた次第です。本文で触れた人件費の安さや中国の巨大な市場といったことの他にも中国の政府がとっている優遇政策に魅かれてといったことや非常に重要な取引先である日本の大企業が中国に進出しており、その大企業から中国進出の要請を受けてといった、重要な取引先との関係を維持できるといったメリットで中国に進出する日本の中小企業もあるのだそうです。しかしこの記事を作っていると日本の経済成長率が低い状態で推移しているのを改めて確認する結果となりましたし、今後の日本の市場が縮小するだろうと見ている人々が多いことを知る結果ともなりましたので、日本国民の私としては寂しく感じました。日本企業が他国に進出することでやはり日本国内の雇用も減ることにつながったでしょうし、日本国内の産業の空洞化というのは行き過ぎないよう何とかしてもらいたいものです。そういった点では円高の進行というのは恐ろしいですよね。金融や他国との商売にかかわっている仕事ではない私は円とドルの交換比率にそれほど注目もしてきませんでしたが、たかだか為替の比率などと軽視できるものではありませんし今後の日本の政治を運営する人たちには円高となりすぎて日本の企業関係者が苦しむようなことの無いよう期待します。確か日本が民主党政権の時はすごく円高方向に進んだことがありました。それに比べれば自民党安倍政権以降になって1ドル=90円以下となるようなことはなくなっていきました。日銀による金融緩和の影響だという話があるそうですが、政治は誰がやっても同じ、などということは断じてないと言える根拠の一つだと思います。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
アメリカの対中貿易政策について触れている話「アメリカが中国産の製品に高い関税をかけてきた理由は」はこちらです。
中国支配下にある香港の本来の制度について触れている話「香港地域で一国二制度が適用される期限はいつなのでしょう」はこちらです。
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