日本が掲げてきた専守防衛はどの様な意味の方針なのでしょう
日本政府のとってきた専守防衛という姿勢の意味
日本国内の政治や軍事政策に関係した話題、普段報道機関で使われことがあるような用語の意味などについて関心を持たれてこのページに来られた皆様、こんにちは!この記事では日本政府が、そして日本国の実力部隊である日本国自衛隊が長期間採用してきた方針である専守防衛(せんしゅぼうえい)という言葉の意味について私なりに書いてみたいと思います。漢字から見てもある程度の意味の推測は可能かもしれません。「守るを専ら(もっぱら)とする防衛」と読むことが出来ます。攻めるよりもむしろ守ることに専念する防衛戦略、軍事戦略ということになりますが、日本政府がどのような意味合いでこの用語を用いているのかより正確に知るためにも政府側の説明を確認してみたいと思います。国会議員さんからの質問に対し日本政府が答弁した内容を見つけることが出来たのですが、それによりますと敵側から武力攻撃をされたという事実が発生してから、こちら側、日本国側の軍事力を使って敵を攻撃するということを意味しているそうです。これは参議院議員の小西洋之という人が安倍政権に対し安倍政権がとる専守防衛の定義に関する質問を質問主意書の形でしたようなのですが、それに対する政府からの答弁書に記載されています。このページをご覧になられている方々も閲覧することは可能です。また敵から攻撃をされるという過程を経てようやく日本側が軍事力を行使する、攻撃するという姿勢の他にも、その場合の攻撃の仕方も必要と考えられる中でも最も弱い水準の攻撃に限定するとしていることや平時から備える日本の軍事力も日本国を守るために必要と考えられる中でも最も規模の小さな水準に限定するといったこともこの専守防衛という用語の意味の中に日本政府は含めているものなのだそうです。同じ政府内なので当たり前ですが、この質問主意書に対する答弁書と同じような内容が日本の国防を担当する官庁である防衛省のホームページにも掲載されています。防衛省の「防衛政策の基本」というページに「3.その他の基本政策」として専守防衛について触れています。触れていると言っても二行のみの説明ではありますが、攻撃を受けて初めて軍事力を使うことやその際の攻撃も自衛のための最小限度にとどめること、保持する軍事力も自衛に必要な最小限度のものに限るとしています。ということで、専守防衛とは単に攻撃を受けてから反撃しますという軍事戦略を意味するだけではなく反撃の仕方や普段から整備する軍事力についても最低限度、最小限度に抑制するといった意味も含む用語でした。
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専守防衛を方針としている理由
日本政府がとっているこの専守防衛という方針ですが、何を理由にそうしているのでしょう。日本の現在の憲法、日本国憲法の内容が大きく影響しているのだそうです。特に戦争、戦力に関して具体的に制約を設けている条文、第9条が関係しています。憲法の第9条の第1項には日本国民は平和を求め、そして国際紛争を解決する手段としては日本国の判断で行う国際法上の戦争をしたり軍事力で威嚇したり軍事力を使ったりすることは永久に放棄、やらないということを意味する文言が書かれていますし、第2項には第1項の目的を達成するために陸海空軍そのほかの戦力を持たないことや、普通であれば交戦国が国際法上当然認められている様々な権利を認めないということを意味する内容が書かれています。戦争しない、軍事力も使わない、それを実現するためにそもそも軍事力も持たないし戦争する国が普通は持っている権利も認めない、字面だけ見ればそんな内容に思えます。しかし日本政府のとる憲法9条の解釈はそうではありません。憲法第9条第2項に書かれている陸海空軍その他の戦力というものを日本政府は自国を守るために必要とされる最低の水準を超えた軍事力と解釈しています。これは昭和二十九年以降おこなっている解釈なのだそうです。この日本政府が第9条第2項の文言を受けておこなってきている解釈、自国を守るために必要とされる最低の水準を超えるような陸海空軍その他の軍事力は持たない。これが専守防衛の内容につながってきています。また日本政府は第9条の第1項、第2項共に国が保有する自衛する権利を否定しているものではないという解釈をおこなって現在に至っています。その解釈を前提に、自国を守るために必要とされる最低の水準で自国を守る権利は使われるべきだとしており、この軍事力行使について極めて消極的な解釈が専守防衛という用語の中の一部の意味、敵が攻撃してきて初めて自国側が反撃するという姿勢につながっているようです。このように繰り返しになりますが日本がとっている専守防衛という軍事戦略は連合軍の占領が終了する(連合軍の日本占領終了は昭和二十七年、1952年)五年も前に施行(しこう 法として効力を持つこと 日本国憲法の施行は昭和二十二年、1947年)された日本国憲法、特に第9条の内容が極めて強く影響していると言えます。
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他の国はどうなのでしょう
他の国は自国を守るためにどのように対応しているのでしょう。ここでは具体的に領空侵犯、許可も無く自国の領空に航空機が侵入してきたという状況で発生している事例を見ていきます。その前に、日本の場合ですが専守防衛戦略をとっており、たとえ日本の領空に他国の航空機が許可なく侵入してきたとしても警告を様々な形式で実施はしますが、侵入してきた航空機が警告をしている自衛隊機に攻撃をしたり、といった明確な攻撃をおこなってこない限り自衛隊機は侵入した航空機を攻撃しないというのが基本方針なのだそうです。日本の法律、自衛隊法の第84条の第1項には他国の航空機が領空侵犯した時は自衛隊機を使って着陸させるか日本の領空から退去させるために必要な措置をとらせることが出来るといった趣旨の内容が書かれています。着陸させるか領空から退去させるか、ですので攻撃できるという表現の場合とは意味合いがかなり異なってきます。ただ自衛隊機が攻撃されていなくても警告射撃を侵入機に対し行い退去させるということは過去に自衛隊もしているそうです。基本方針としては攻撃されない限り自衛隊機は攻撃しないということとしていますが、度重なる自衛隊からの警告に対しても指示に従わず侵入機からの攻撃が迫っていると判断される場合には侵入機からの攻撃が無くても自衛隊機側から攻撃できるという考え方も日本政府は示しています。ただ余程の場合ということなのでしょう。そして他の国はどうかということですが、最近起きた話としては、イラン・イスラム共和国が領空侵犯を理由にアメリカの無人偵察機を撃墜するという事例がありました。偵察機ということですからイラン側から撃墜されるまでの間、無人偵察機はイラン側に対し攻撃をしていたわけではありません。また機種などからも偵察機とイラン側が判断することは可能だったのでしょう。攻撃を受ける恐れがあるいう状況ではないもののイラン側は攻撃をおこなっており、アメリカはもちろん領空侵犯していないと反発はしているものの、イランによる撃墜行為が国際法違反ということで国際社会からイランが糾弾される事態にはなっていないようです。それよりも以前の出来事としてはトルコ軍がロシアの爆撃機を領空侵犯という理由で撃墜したという出来事がありました。平成二十七年、2015年の出来事です。この事例ではトルコ空軍戦闘機による度重なる警告を加えたものの領空から退去しないため侵入機を攻撃、撃墜したというものです。この時は警告をしていたトルコ空軍機に対しロシアの爆撃機は特に攻撃をしていない中でトルコ側が攻撃、撃墜しています。トルコ側は領空侵犯に対してはあらゆる措置をとる権利があるとして、この時の自国軍の対応を正当と主張しました。このように他国では攻撃を受けていなくても領空侵犯を理由に実際に先制攻撃をする事例があります。
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今回は専守防衛の意味について取り上げました。最近ということではありませんが、以前専守防衛という方針をとっていると先に攻撃を受けてしまうので防衛している自衛隊の危険性がより高まってしまうといった意見を目にすることがありました。専守防衛は戦争を徹底して回避するという決意の表れからくる軍事戦略なのでしょうけれど、そもそも専守防衛というのは自国側の攻撃行為をどのように位置づけているのか意味がよくわからなかったので、確認を目的に今回のようなテーマの記事にしてみた次第です。基本的には相手側が攻撃してこない限り自衛隊から攻撃は仕掛けない、相手が攻撃してきたら初めてこちらも反撃といった方針であることが確認できました。ただし本文中にも書きましたように、そうとは言っていられない状況も存在するので、その際は攻撃を受けていなくても攻撃することは可能という見解を日本政府はとっています。確かに極短時間で敵を攻撃することの出来る仕組みというのは現在の世界で大変発達してしまっているので政府も悠長に常に相手の攻撃待ちというわけにいかないのでしょう。常に攻撃待ちなどしていては、自衛官の方々をはじめ日本国民の生命を危険にさらしてしまいます。政府の見解(場合によっては攻撃されていなくても差し迫った危険があれば攻撃は可能という見解)は妥当な判断のように感じます。また必要最低限度の攻撃、必要最低水準の軍事力という点についても周辺諸国の情勢によってどの程度を必要最低、必要最小の水準とするかは変化してくるものなのかなという気がしました。ある内閣が誕生して領土、領空、領海内であれば先制攻撃も必要最低限の攻撃の範疇を逸脱しないと表明し国民の多くが支持したら専守防衛戦略はあっさり消失、そんなことが日本の近未来に起こるかどうかはわかりません。しかし周辺諸国が(例えば中華人民共和国が台湾を軍事制圧してしまう、北朝鮮が朝鮮半島で韓国を先制攻撃し南下してくるといったような)軍事的に大変過激な行為を繰り広げたのだとしたら日本国民の多くは日本政府の専守防衛戦略放棄もやむなしと受け止めるのではないでしょうか。日本周辺がそのような恐ろしい状況にならないのが一番いいに決まっているのですが、絶対にそのようなことは起こらないなどと言える話でもないように思います。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
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今回の記事では写真ACで提供されている画像を使用させていただいております。
防衛分野の法令に関する話題「安保法制が合憲だと主張される理由は何なのでしょう」はこちらです。
同じく安保法制に関する話題「安保法制が違憲だと批判される理由は何なのでしょう」はこちらです。
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