中国の一帯一路構想で指摘されている問題点は何なのでしょう
一帯一路で中国が指摘される問題点
世界の国々の動きや国際的に影響力を強めている中国にかかわる話題、ニュースで取り上げられる用語に関係した話題について関心を持たれてこのページに来られた皆様、こんにちは!この記事では中華人民共和国が推進してきた巨大な経済圏構想である、一帯一路(いったいいちろ)構想に対して指摘されている問題点について私なりに書いてみたいと思います。この一帯一路構想は中国のトップ、国家主席が習近平という人になってから始められた構想です。「一帯一路」の正式名称は「シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード」というもので、平成二十五年、2013年に提唱されました。アジアと欧州、アフリカの間で陸路と海路をどんどん充実させて物流をもっと盛んにし関係諸国の経済を発展させていこうというもののようです。中国としては自国で生産した金属や機械などの工業製品を輸出することにつながったり、関係する国々で発電所や鉄道や道路、港湾設備といった、当事国の社会に大きく関わってくる公共的な設備の建設に中国企業が主要な役割を果たして利益を得ることにつながりますし、公共設備が関係国で建設されればその国の経済が発展することにつながるでしょうし、欧州に関して言えば自国で生産した食品やワインなどさまざまな欧州産の商品を、この経済圏構想で発達した陸路(鉄道、高速道路)を利用してどんどん中国に輸出し購入してもらうことにつながり経済的な利益を得ることが期待されます。それぞれの国が経済的にいいことがあるということでこの構想に参加する国は提唱されて以降増加し中国側の話では100カ国以上になるそうです(令和元年、2019年3月の中国外相の会見では123カ国という数字が出たそうです)。G7、いわゆる先進7か国の一国であるイタリアも中国と一帯一路構想に関する覚書に署名し本格的に関与する姿勢を2019年に示しました。次第に大変大きな規模になってきた経済圏構想、一帯一路。ただいいことばかりというわけでもないようでこの構想については問題も指摘されているようです。よく言われているのは中国が関係国に多額過ぎる債務を負わせてしまっているという点であり、これを利用して中国が関係地域で影響力を強めていると言われています。その他にも公共設備を建設する国で建設を理由に一部では環境破壊も起きているのだそうで、現地の人々の反発が出ている場合もあります。
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環境の破壊
様々な関係国の国内で中国企業が、あるいは中国企業と関係国の地元の企業が合弁して事業をおこなうことで鉄道を敷いたり、高速道路を建設したり、港湾施設を建設したり、ダムを含めた発電所を建設したり原油や天然ガスといった燃料を効率よく運ぶパイプラインを敷いたりということを意欲的におこなっているようです。そうした開発がおこなわれることで化石燃料がたくさん消費されるわけですから二酸化炭素も当然たくさん排出されることになります。温室効果ガスとして二酸化炭素の削減が叫ばれることもあります。本当に二酸化炭素が排出されていることで気候の変動が起きているのかどうかについて意見は様々で私が結論を出せるものではないのですが、もし二酸化炭素の増加が気候変動に関わっているのだとしたらこの一帯一路構想は地球規模で環境を変化させているとも言えます。温室効果ガスの排出量が増えてしまうという話を置いておいたとしても、一帯一路構想に関係した国で行われている開発によって地元の環境が破壊されている場合があるのは事実です。東南アジアの国、ミャンマーでは石油パイプラインの設置によって、パイプラインの起点となっている地域に面した海が汚染されています。中東などからタンカーによってミャンマーまで運ばれてきた石油がパイプラインによって中国国内にまで運ばれる仕組みとなっているそうなのですが、この運ばれてきた石油が海中に混入してしまうことで黒く濁るようになってしまったのだそうです。地元で漁業をして生計を立てている人も多いらしく、この海洋汚染によって漁業関係者は損害を被ってしまうこととなりました。また漁業関係者だけではなく、陸地のパイプラインの建設の仕方が丁寧にされていなかったようで、雨の多い時期に水はけが大変悪くなって農地に使用していた土地が使い物にならなくなってしまった事例もあるそうです。ただミャンマー政府はこの開発で利益を得るため地元の不満についてはなかなか対応してくれないのだそうです。同じく東南アジアの国、ラオスでは中国が関与するメコン河を利用した水力発電目的のダムが多く建設される計画なのですが、ダムが建設されていくことによりメコン河の水質が悪化したり、河の流量が変化することで魚の生活環境が変化し魚の数が減ってしまうことが心配されています。またメコン河の下流に位置する国、ベトナムなどで河を流れる水の量が減って河口地域では海水が入り込むようになってしまい塩害が起きています。開発によって経済的に潤う人たちは当然いるのですが、開発で被害に遭っている人たちも出てきており問題視されているようです。
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巨額の借り
お金という形ばかりではないようなのですが、中国は構想に参加した国に巨額の融資をしてそれで開発計画を進めることもあります(お金という形以外に中国で生産されて開発する国に供給される物資も融資額の中に含まれることもあるのだそうです)。その開発、例えば空港などの建設が無事終了したとします。建設した公共物が中国から受けた融資の返済に充てられるだけの収益を継続して獲得できるのならいいのですが、作ったものの、予想したほど利益が出ないということになって開発国が予定していた以上に中国に債務、借りていた融資を返済することが大変。そんな事例も出てきています。開発国の国内総生産から見て、中国から融資されたお金を返済するのは到底無理ということになりますと、開発国は予定していた債務返済とは別の形で中国の要望に応じることもあります。例えばスリランカ。この国の事例は国際的にとても有名になっているようですが、スリランカ政府は99年間もの長期間に渡り、自国の一部の港湾の運営権を中国に売却する契約を結んでいます。この契約の理由は中国から融資された債務を返済するのが大変だから、港湾の運営権を売るから、それで勘弁してということです。この契約によって中国はインド洋に重要な海洋拠点を持つに至りました。スリランカの存在する島はセイロン島と呼ばれていますが、その南部にハンバントタ県という行政区域があります。その県に存在する港湾、ハンバントタ港の運営権が2017年、11億ドル程のお金で中国の国有企業に売却されました。中国の国有企業との契約ではありますが、中国政府の意向が強く反映することでしょう。念のため付け加えてはおきますけれど、この港の運営権が売却される際の契約では港を軍事利用することは無いとされたようです。ただ、それについては懐疑的に見る意見も多く、スリランカに隣接する国、インドはハンバントタ港の軍事利用によって中国の軍事的な影響力の拡大が進まないか大変警戒しています。スリランカと同じくインド洋の島国モルディブでも中国からの融資は15億ドル以上になっているそうですが、モルディブ政府の返済する能力は限られており、足りない分はスリランカのように国土の一部を実質中国側に譲り渡すという結末に追い込まれるのではないかと、かつてモルディブの大統領を担当した人物が危機感を強め、各国の報道機関からの取材に応じて警鐘を鳴らしてきました。
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今回は中国の経済圏構想、一帯一路の問題点について一部取り上げました。2013年に提唱された構想ですので、もうかなり期間が経過していますが、期間が経過したからこそ問題が明るみになるということもあるでしょうし、私のような記事を作る側からすると情報が手に入れやすくなるといった利点もあります。今回は中国が率先して推進しているあの一帯一路は現在どのような状況なのか一面だけでも確認してみたく、このようなテーマにしてみた次第です。一帯一路構想については日本に対しても中国側から参加歓迎の誘いがあったように思いますが日本政府は距離を置いている立場で、保守的な論調で評論する有名な方々も参加はしないほうがいいといったことを主張していたように思います。アメリカもこの構想については参加していません。今回問題点について見てみましたが、かなり中国の利益に傾いた構想のようにも感じますので先進諸国があまり乗り気ではなかったことも頷(うなず)けるような気がしました。開発をおこなう現地で環境破壊が発生してしまうという出来事は別に中国主導の開発ではなくても起きてしまうことがありそうにも思いますが、開発をおこなっている現地の国の土地の一部について99年間運営する権利を債務返済不能という理由で現地国に売却させてしまうというのはなかなか乱暴な振舞いのように感じてしまいます。イギリスが今は存在しない国、清国と契約し長期間香港の一部(新界)を借りていたのを、清国でもないのに以前は香港をよこせとイギリスに圧力をかけていた中国ですので、長期間国の一部を他国に明け渡す無念さは簡単に想像できそうなものです。しかしそんな中国がかつての列国のようなことをやっているわけですので、いくら中国政府が別の国を帝国主義などと批判したとしても、正直「君たちがよくそんなこと言えるよね」くらいにしか思えません。今回取り上げたスリランカのような債務返済不能という理由とは異なるようですが、中国が他国の港湾を利用できるようになった事例はインドの隣国パキスタンにもありますし、なぜかオセアニアの国、オーストラリアにも存在するそうです。インド洋や太平洋の国々に中国の使える港湾があれば、無い場合と比べて中国の海軍が活動しやすくなるのは明らかです。スリランカのハンバントタ港は軍事利用しないとスリランカ、中国双方が契約しているわけですが、それを本当に両国が守ることになるのか気になるところです。他国と領有権を争っている南シナ海の南沙諸島で中国が問題となっている島々に滑走路など軍事転用できるような開発をどんどんしている事実を思い返すと、スリランカの件も信用するのはいかがなものかという気がしてしまいます。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
今回の記事では写真ACの画像を使用させていただいております。
現在中華人民共和国の支配下にある香港の統治について触れている話「香港地域で一国二制度が適用される期限はいつなのでしょう」はこちらです。
中華人民共和国内で弾圧されているという指摘が絶えない少数民族に関する話題「中国でウイグル民族が差別されている理由は何なのでしょう」はこちらです。
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