閣外協力とは?協力のメリットや連立政権との差についても

閣外協力とは

 

閣外協力(かくがいきょうりょく)とは議会内の政党や議員が内閣に閣僚として参加せずに政権を担当する与党に協力することを意味します。内閣(ないかく)というのは日本で言えば、内閣総理大臣や~大臣と言われる省庁のトップによって構成される機関のことです。閣外協力の例をあげてみます。ある内閣制度の存在する国で議会の選挙が行われたとします。選挙の結果第一党が「国民連合」という政党で議会全体の議席の48%を獲得しました。その次に大きな勢力が「自由戦線」という政党だとします。自由戦線は議会全体の議席の39%を獲得しました。三番目に勢力が大きい政党は「左派民主党」という政党だとします。議会全体の議席の5%を獲得しました。四番目の勢力を「自由国民党」とし、議会全体の議席の3%を獲得したとします。5番目の勢力を「グローバル平和環境」とし、全体の2%の議席を獲得したとします。6番目、7番目の勢力を「民主同盟」と「国粋の砦(とりで)」とし全体の1%の議席を獲得したとします。第一党の国民連合は政権を担当したいのですが議会内で過半数の勢力を持っていません。国民連合が議会で予算案や法律案を通過させようと思っても過半数の反対があれば通過しないこととなります。国民連合にとっては都合が悪いです。そこで別の勢力と協力して議会全体の議席の50%を超える状態にできた場合、予算案や法律案を協力する勢力が賛成してくれれば議会を通過させることも可能となるので国民連合の妥協できない重要な政策と大きな違いの無い勢力、自由国民党に協力を求めました。自由国民党側は「内閣に自由国民党の議員を出す考えは無いけれども、国民連合と協議し我々自由国民党の重要政策を受け入れてくれるなら協力しましょう。」と回答しました。こうして議会全体の51%を占める勢力、国民連合+自由国民党が成立しました。このように自由国民党からは~大臣、~長官のような省庁のトップとなる閣僚を出さずに国民連合の代表が首相を担当する政権に対し自由国民党が基本的に賛成の態度で協力するような形式の政権協力、これが「閣外協力」となります。

 

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閣外協力のメリット

 

閣外協力を他の勢力から得られることによって第一党は、第一党だけの議会の過半数を満たさない単独政権の場合に比べ、自分たちが通したい予算案、法律案を議会で通過させる可能性が高くなります。自分たちが行いたい政治をやりやすくなります。また閣外協力を行う勢力にとっても自分たちの掲げる重要な政策のいくつかを政権を担当する第一党の勢力が受け入れる範囲内で実現出来る可能性が出てきます。また、閣外協力という協力関係の場合、内閣に閣僚を出していないことで仮に第一党と閣外協力している勢力が何らかの理由で協力関係を解消するとしても第一党との関係を解消しやすいと言えます。一旦閣僚を担当した後、協力関係を解消することを理由に「~大臣」を政権運営途中に辞任するような行為は世論や第一党から「無責任な勢力だ」と批判される危険性があります。また閣外協力することによってその政権が、より多くの民意を反映する可能性が出てきます。民主政治が望ましいと考える立場であれば、出来るだけ多くの民意に応える政権であるほど選挙民にとっては好ましいと言えます。

 

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連立政権との差について

 

連立政権(れんりつせいけん)という言葉は複数の意味で使われているように思います。連立政権については、議会で単独過半数の勢力が存在しない状況で複数の政党が協力し、それぞれの勢力から閣僚となる議員を出し合って複数の勢力によって内閣を構成する政権のこととして扱う場合もあります。一方最大政党の議員が全ての閣僚を引き受けて閣外協力する少数側の政治勢力と協力しながら政権を運営する体制の政権についても連立政権と扱うことがあるようです。前のほうの場合ですと連立政権は協力関係にあるどの政治勢力からも大臣を出すような体制の政権ですから閣外協力とは明らかに異なります。このような連立政権という言葉に関する曖昧な点をわかりやすくするためなのか、閣外協力がある場合の政権については連合政権(れんごうせいけん)という言葉を使って連立政権という言葉と使い分けている場合もあるようです。

 

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今回は「閣外協力」という言葉について取りあげてみました。この言葉を取りあげたのは先日イギリスの政権が少数政党と協議して少数政党側が閣外協力し政権を支えるという話を耳にしたことがきっかけです。閣外協力という協力の仕方が今一つよくわからなかったため調べてみようと思いました。閣僚に少数政党からは人を出す程の協力はしないけれども基本的に政権担当政党の政策には賛成し、その代り少数政党側の要求する政策をいくつか実現することを政権担当政党が認めるような協力関係のようですね。イギリスではこのような少数政党として北アイルランドを地盤とする政党が議会第一党の政党に協力することとなったようです。EU離脱交渉前にEU離脱を掲げる与党がしっかり議会内で議席を確保した状態にしようと目論んで行った選挙でしたが第一党の立場は守ったものの与党が望んだほどの議席を獲得できず、結果的に単独で議会の過半数を超える議席を獲得できませんでした。与党にとってはなかなか思い通りにいかないものですね。閣外協力で少数政党は自分たちの望む政策の一部を実現することが出来るというメリットがありますが、与党に協力するという立場を明確にした以上、与党の人気がとても下がってしまった時はその影響を少数与党側も受けることになってしまいますね。次の国政選挙の時に「あの政党も政権に協力したけど全然ダメじゃないか」ということで有権者から判断され議席を減らしてしまう危険性も出てくるかもしれません。少数政党が議会内で議席を確保することを最重要課題とする場合、第一党に協力するということは必ずしも得だとは言えないような気もしました。いつも政権から距離を置きその政党が正論と考える主張を続けている方が投票する有権者からは見放されないで済むのかもしれないなとも思います。でもそれはそれで「無責任だ」という批判を一部からされることになるのかもしれません。政権に対する一つのスタンスの取り方がいつも正しいというわけではない、ということになるのでしょうか。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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