石井・ランシング協定とは?確認した特殊権益や協定破棄についても

石井・ランシング協定とは

 

石井・ランシング協定とは西暦1917年(大正6年)に日本国とアメリカ合衆国との間で合意された条約のようなものです。石井・ランシングの石井というのは日本の大使、石井菊次郎(いしいきくじろう)さんのことであり、ランシングというのはアメリカの国務長官ロバート・ランシングさんのことです。この二人の人物の間で交わされた合意であるため協定名がこのようになりました。この協定の中でアメリカは日本が中国大陸に特殊な権益を持っていることを認める。特に日本の領土に接する地域についてはそれを認める。日本とアメリカは中華民国の独立と中華民国の領土の保全を侵すような考えが無いことを表明する。そして日本とアメリカは中華民国でいわゆる門戸開放、商工業に関与する国家間の機会を均等にする考えを支持する。このような内容が日米間で合意されました。ここで補足をいたします。門戸開放(もんこかいほう)というのはここでは中華民国の港を他国に対し開いて中華民国の国内市場(こくないしじょう)で他国の製品を売買することを許可し貿易や経済活動の制限を行わないことを意味します。この石井ランシング協定のような合意がされた理由ですが、第一次世界大戦中欧州で激しい戦いが行われているのに比べアジア地域での限定的な戦闘に参加していただけの日本が中国大陸で自国の権益を拡大させようとしていたことにアメリカやイギリスから反発が出ていたそうです。そのような強国の懸念を緩和するため日本側としてもアメリカやイギリスに一定の権益を認めてもらいつつ日本が中国大陸でアメリカやイギリスが心配しているような権益拡張には動かないですよという態度を示そうとしたということのようです。

 

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特殊権益について

 

この協定の中で語られている特殊な権益、特殊権益に関しては様々な指摘があるようです。清国と日本の間の取り決めで借款や使用権が認められていた南満州の利権を意味しているという指摘もあれば、南満州とその南満州に隣接する内蒙古地域の東部の利権も含まれた地域のことを意味しているという指摘もありますし、第一次世界大戦が始まってから日本は二十一カ条の要求を中華民国に行いましたが、その要求したものの中に含まれている山東省の権益も含まれているという指摘もあるようです。山東省(さんとうしょう)というのは南満州の遼東半島(りょうとうはんとう)と向かい合った位置に山東半島(さんとうはんとう)という大きな半島があるのですが、その山東半島がある地域一帯の行政区画が山東省となります。山東省の一部地域を清国の時代からドイツ帝国が租借していましたが日本と英国の連合軍がドイツとこの地域で対戦し日英側が勝利。占領していました。ただ協定内で特に日本の領土に隣接した地域を特殊な権益と認めるとわざわざ書いてあるようなので南満州地域のこと、せいぜいそれプラス内蒙古東部のことを指しているのかなと個人的には感じました。

 

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協定の破棄について

 

1917年に合意されたこの協定ですが後に破棄される(破棄というのは約束を一方的に破ること、取り消すことを意味します)結果となります。これは後に9カ国条約という条約が締結されたことが理由だったそうです。この9カ国条約が締結されたのは1922年ですから、たった5年後の話です。この9カ国条約によって中華民国の主権を尊重し中華民国における門戸開放や商工業に関与する他国の機会を均等にするという考えが条約参加国の間で確認される結果となり石井・ランシング協定の存在価値が無いということで破棄されたようです。日本にとっては石井・ランシング協定の内容が有効であるほうが都合が良いはずですので、アメリカ側の意向で破棄されたというのが妥当な見方であるように感じます。

 

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今回は石井・ランシング協定について取りあげてみました。日米間の合意が成立し日米関係が悪化するのを抑える役割を果たした取り決めなのかなと思い後に日米間で大戦争となる以前の日米関係を知っておく上でも重要な出来事なのではないかと感じ調べてみました。せっかく成立した協定ですが5年という期間で無かったことになってしまう取り決めだったんですね。この協定はアメリカが第一次世界大戦に参戦中手薄になってしまうであろう東アジアで日本が好き勝手に利権を拡大させないようにしよう、という思惑で日本と結んだ協定だったという指摘があるようです。つまりその指摘は第一次世界大戦が終わりアメリカが戦争していない状態になるまで日本に好き勝手させないというアメリカにとっての時間稼ぎのための協定だったということを言っているようです。人のことを言える振る舞いをしているかと言われる余地はあるでしょうが日本はアメリカの姿勢を見てこの国はあまり信用できないなと感じたかもしれませんね。協定の破棄によって特殊権益がどの地域のことを指しているか明確ではないように思いますが南満州にせよ、南満州と内蒙古東部にせよ、山東省にせよアメリカは日本の特殊権益を積極的に認める姿勢ではなくなった、ということになったと言えます。他国の地域を自分の国の支配に置くことが出来るかどうかという話なのでそもそも問題だという意見もあるでしょうが、それとは別に他国との合意、取り決めというものは場合によってはこれくらい流動的、不安定なものなのだということをこの出来事を今回調べることで強く感じました。あてにならないこともあるのですね。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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