1930年の金解禁とは?その目的や解禁後の影響についても
日本で1930年に行われた金解禁とは
西暦1930年(昭和5年)に日本国で金解禁(きんかいきん)が行われました。金解禁とは国の通貨制度を金本位制(きんほんいせい)にして外国の通貨との交換や貿易などの支払いを理由に日本国外へ金が自由に流出することを認める政策です。金解禁は「金輸出解禁」とも呼ばれます。金本位制というのは日本の中央銀行である日本銀行が発行する紙幣やその代りとなる貨幣を一定量の金と交換することが出来るようにする仕組みのことで、具体的には日本の通貨1円を0.75gの金と交換するというものです。日本は1917年の9月以降金の国外流出を防ぐため金の自由な輸出を禁止していました。これは1914年から始まった第一次世界大戦の影響で戦争している国が貿易赤字となって国外へどんどん金が流出していくのを防ぐことを理由に金輸出禁止をおこない、日本もその動きに合わせたからというのが理由なようです。このような状態(金輸出禁止)を金輸出解禁に政策変更したのが1930年だったということです。
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金解禁(金輸出解禁)の目的は
金(ゴールド)とおかねを交換できる仕組みに戻し金が国外へ自由に流出しうる方針を当時の日本政府がとった目的には他国の通貨と日本の通貨の交換比率を安定させること、交換比率を安定させて日本国内から他国へ輸出する量を増やすこと、金本位制に戻していこうという国際世論や一部国内世論に応じること、以上のような目的で金解禁をおこなったそうです。日本の通貨を金と交換できる状態にすると他の金本位制を採用している国の通貨との交換比率が一定になります。当時の場合は日本が金解禁し金本位制になることでアメリカドルとの交換比率が「1円=0.49875ドル=金0.75g」に固定されることになりました。交換比率がたびたび変化する状態に比べ輸出入業者にとっては交換比率の変化に振り回されることが無くなり対応しやすくなるし、そのことによって日本の輸出産業は交換比率が変動していた頃に比べ企業努力もしやすくなり日本からの輸出も増えていくだろうという期待があったようです。また1930年の時点では金本位制にしていない国は主要な国々の中で圧倒的に少なく、国際会議でも各国は金本位制を採用するようにしましょうという意見が主流だったようで日本はそのような他国からの圧力も受けていたようです。また先ほどの目的と重複しますが国内の貿易業者や金融業者からは為替交換比率が安定したほうが対応しやすいこともあって金本位制にしてくれという要望が出ていたようです。
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金解禁による影響
金解禁によって先ほど書きましたように通貨の交換比率が「1円=0.49875ドル」となりました。実は金解禁直前の交換比率は「1円=0.46ドル」くらいだったのだそうです。0.46ドルと0.49875ドルの違いは大きかったらしく金本位制導入による円高への変化は輸出業者にとって痛手となりました。1円=0.46ドルの比率で固定する方法もあったそうなのですが当時の日本政府は議会での承認を避けるため、他には円通貨の価値を落としたくないとか、貿易であまり利益を得ていない一部の企業を淘汰(とうた 潰すことですね)させ(これってすごく恐ろしい考えのような気もします)、整理し日本企業の体質を強化することを理由にそのような対応(1円=0.46ドル)を選択しなかったようです。日本のその後の貿易は世界中が不況となっていたこともあって輸出が伸びず輸入が多くなり、国内から金が流出する傾向が続いてしまいました。金本位制としたわけですから国内にある金の量に応じて日本銀行はお金を発行することが出来ます。国内に存在する金の量が減れば発行できるお金の量は減ります。金(ゴールド)の量を考えずにおかねをいっぱい発行したら、おかねを金に交換できなくなって大混乱になってしまいますから。そういった理由で輸入超過の当時の日本は発行できるおかねの量が減ってしまい、デフレーションになってしまいました。デフレーションとはおかねの価値が上がりモノの値段が下がることですね。こうなると企業の売り上げ、農産物の売り上げが伸びなくなりますから各世帯の収入は減ります。そうするとそれぞれの家庭で使うことの出来るお金の額は減りますから世の中は更に不景気になります。こういった流れで金解禁を行った1930年以降日本の世の中は景気が悪くなっていきました。
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今回は1930年に日本でおこなわれた金解禁を取りあげてみました。こういう経済政策の話は難しい感じがしてあまり得意ではないのですが、昭和恐慌という状態を今後記事にしようと思っていたため世界恐慌と同様調べてみることにしました。現在の世の中は変動為替相場制ですから刻々と通貨の交換比率、為替レートは変更していますよね。そのような状態が当たり前になっているので交換比率が固定している状態というのはあまりピンとこなかったんですが、為替レートが大きく変動することで日本の企業が大きな影響を受けるニュースというのは確かによく目にしますから交換比率を固定された状態のほうが嬉しいと考える企業は多いのかもしれませんね。一方交換比率が固定されてしまうといわゆるFX、変動為替相場の変動幅を利益にするような投機行為が出来なくなってしまいますからそのような経済行為で利益を得ている人たちは困ってしまいますね。世界経済の情勢によっては通貨の価値が信頼されなくなって金本位制に移行なんていう時代がまた来たりするのでしょうか。そうなったら国内に金(ゴールド)のあまり存在しない国はデフレになるので経済運営が大変になってしまいそうですよね。結果的に見れば1930年という時点で金解禁に踏み切った判断は大変日本国民を苦しめたという指摘が多いようです。良かれと思って行う経済政策が逆の現象を招いてしまうなんて、経済分野に詳しい人の判断でも大間違いという場合があるものなのですね。正しい見極めってどうしたら出来るようになるのでしょう。いずれにせよ経済政策には十分な慎重さが望まれるように感じました。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
正反対な経済政策の話「金輸出再禁止とは?円安の経過や蔵相の他の政策についても」はこちらです。
金解禁を実施した首相のその後の話「浜口雄幸首相が狙撃された事件とは?事件後の容体についても」はこちらです。
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