一国の貿易赤字はその国の経済にどう影響するのでしょう

貿易赤字が経済に及ぼす影響

日頃のニュースで当たり前のように使われる用語、あるいは日本や世界の経済について関心を持たれてこのページに来られた皆様、こんにちは!この記事では貿易赤字(ぼうえきあかじ)というものが、その国の経済にどのように影響するものなのかということについて自分なりに書いてみたいと思います。貿易赤字という表現はテレビなどのニュースでも出てきますが、どういう意味なのかということをまずは確認いたします。貿易収支(ぼうえきしゅうし)という用語があります。これはある国が他の国と貿易、物の輸出入をおこなって、どのような状態となったかを金額で表した、その国の経済的な特徴を数字で示す項目のうちの一つです。具体的に別の方法で表現しますと貿易収支は一定期間に輸出した物品の金額から一定期間に輸入した物品の金額を差し引いた値ということになります。そして輸出超過、輸出した物品の合計金額が輸入した物品の合計金額よりも多い場合を貿易黒字(ぼうえきくろじ)、その反対に、輸入超過、輸入総額が輸出総額よりも多くなった状態を貿易赤字といいます。この貿易収支が負の数字になれば貿易赤字ということになります。この輸入超過を意味する貿易赤字という状態。例えばアメリカ合衆国などは貿易赤字であることを持ち出して他国と交渉しこのアメリカの貿易赤字の金額(相手国にとってはアメリカとの間では貿易黒字)を少なくするような圧力を相手国にかけているように見受けられます。日本に対してはアメリカ産牛肉の輸出量を増やしたいために日本側の規制を緩和するよう日本政府に要求していました。中華人民共和国に対してもアメリカは多額の貿易赤字となっています。今となっては目新しいことではありませんが、米中間では貿易上の激しい対立が続いており、お互いが輸入品に関税をかけ合うようなこともおこなって貿易戦争などと報じられてもいます。対立が激しくなった理由にはアメリカ側の知的財産を中国側が侵害しているとか中国の経済的な発展がやがてはアメリカの安全保障上の脅威になるといった懸念もあるようですが、対中貿易での巨額な貿易赤字というのも理由の一つなどと言われているようです。普段のニュースを見ているとアメリカ政府が嫌がっているようにも見える貿易赤字。貿易赤字となっている国の経済にどう影響すると言われているのでしょう。一般的には自国の通貨が安いほうに変化すると考えられているようですし、その国の国内総生産を引き下げるという見方があります。ただ現実の経済では全くそのように動かないことも多く、あくまで一般的な、という前提の上での話になります。

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自国通貨の変動

他国からの一定期間の輸入額が輸出額に比べて多くなると、通貨にどう影響するのでしょう。例えば日本が他の国に品物を輸出したとします。実際には日本を拠点とする企業や個人が他国を拠点にしている企業や個人に品物を売るということです。日本の企業か個人は品物を購入してくれた他国のお客さんから品物の代金を受け取ることになります。他国の通貨で支払いを受けることになるか日本円に両替した状態で支払いを受けるかわかりませんが、結果的には日本側の企業、個人は受け取った代金を日本円にして使います。日本円にする、外貨を日本円に交換するということです。この場合、交換するということは外貨(大抵決済に使われるのはアメリカドルが多いのでしょう)を売って、日本円を買うということになります。反対に日本が他の国から品物を輸入したとします。これは他国の企業、個人から日本の企業、個人が品物を購入するということを意味するので日本の企業、個人は品物の代金を他国の企業、個人に支払います。支払う際日本円で支払い、日本円を受け取った他国の企業、個人がその後受け取った日本円を現地通貨やアメリカドルに交換するか、日本の企業、個人が支払いに使う日本円をアメリカドルなどの外貨に交換してから支払うのか現場を知らない私には何とも言えませんが現地で日本円が通用するわけではないのだとしたら当然別の通貨に両替されることになります。すると商品の代金で使われるお金は日本円を売って外貨を買うという過程を経ることになります。輸出や輸入をすると、日本円と外貨の間でこのような動きが起きますが、貿易赤字、輸入超過となりますと日本円が売られ外貨を購入する額が、外貨を売って日本円を買う額を上回ることになります。そのため売られる日本円の額が多くなるので円安、日本の通貨が安くなると一般的には考えられます。では日本がある時期貿易赤字になれば以前と比較し他国の通貨との間の為替交換比率が円安に動くかというと、必ずしもそうなるとは限らないようです。他国との間のお金の動きは貿易の他にもサービスや投資などに由来するものもあり、そういった他の項目の黒字額が大きければ貿易収支が赤字でも円安に動かないことがあるようです。ただ理屈の上では貿易赤字は自国通貨を安くする方向にはたらくということは言えます。

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国内総生産

先程の項目に関してですが、サービスや投資の黒字というのは何かということについて補足いたします。物品のやり取りではなくサービスをする対象の企業や個人が別の国である場合、サービス料金の支払いが国をまたいで行われます。この支払に関しても貿易の時と同じようにサービス料金として国内に入ってくるお金の額がサービス料金として国外に出ていくお金の額より大きければ黒字ということになります。投資についても、居住している国とは異なる他の国の株や債券を購入した場合、他国の株の配当、債券の利子を得ることになりますが、そういった他国で投資したことによる配当や利子についても国内に入って来るお金の額が、国外に出ていくお金の額よりも大きければ黒字ということになります。補足でした。話を戻します。貿易赤字は国内総生産、GDPの値に影響するという見方があります。どう影響するかというと、貿易赤字になるとGDPを減らすことになるのだとか。どうしてそうなるのでしょう。GDPは一つの国の中で生産された物品やサービスの付加価値(企業などが生産によって生み出した価値)の合計額を表します。ただこのGDPという値は別の要素で表現されることもあります。GDPは国内需要(内需)と国外需要(外需)を足し合わせたものと定義することも出来るのだそうです。GDP=内需+外需。今回のテーマとかかわってくるのは外需の部分です。この外需というのはどういう数字なのかというと輸出額から輸入額を差し引いた数字なのだそうです。GDP=内需+輸出-輸入。ここで貿易赤字との関係が見えてきます。貿易赤字の状態は輸出-輸入が負の数字、輸出-輸入<0、赤字なわけですから先ほどの式を見ればGDPの値が減ってしまうことがわかります。ということで内需が増加するような変動がないという条件で貿易赤字ということになればGDPは減ってしまう、押し下げてしまう。その様な効果があるという見方があります。ただこれについても現実の経済で貿易赤字ならGDPを下げるのかというとそういうわけでもないようです。アメリカはずっと貿易赤字が続いていますがGDPの額が減少した、GDPがマイナス成長となった年は2000年以降で言えば2008年や2009年くらいなもので大抵の年はプラス成長となっています。貿易赤字と言っても国内景気がよく国内消費が盛んなことを理由に輸入が増えている場合は輸入超過になって外需がマイナスにはなるものの、内需、国内需要も増加するのでGDPを押し下げるわけではないという指摘もあるようです。ということは、景気が悪い中で輸入超過という場合であれば、内需も増加しませんし貿易赤字がGDPを減らすということは言えそうです。

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今回は貿易赤字が経済にどう影響するものなのかということについて取り上げました。時々日本の貿易収支がニュースで話題になったり、アメリカの貿易赤字がアメリカとの貿易交渉のニュースの中で紹介されることもあります。貿易赤字を含め、貿易収支というものがどうなったら経済にどう影響するのかということが今一つわからないので、ニュースを見ていても「・・・、だから何なんだ?貿易赤字はなんか悪影響があるということなのかな?」といったしっくり来ない感じがありました。ネット内でも貿易赤字が国の経済にどう影響するのか関心を持たれている方々がおられるようなので今回のようなテーマの記事にしてみた次第です。ただ他の要素が絡まって来るので、そのまま通貨安やGDP減少に直結するわけではないものの、代金の両替やGDPの式を考えれば確かにそういった方向に動くという見方があるのも道理だなぁとは記事を作っていて感じました。アメリカは様々な国との貿易で赤字となっていてその赤字額を削減しようとしていますが、通貨安やGDP減少を嫌がっているから貿易赤字を削減しようとしているということなのでしょうか。先ほどの項目でも触れましたが貿易赤字でもアメリカの場合はGDPがリーマンショックのような特別なことが無ければ増加してきているわけなので、GDP減少を嫌がって貿易赤字削減ということではなさそうです。となるとドル安が嫌だということなのでしょうか。しかしアメリカには世界中から投資目的でお金が集まって来るとも聞きます。アメリカで投資する場合は当然通貨をドルに両替しなければなりませんからドルが買われることになります。貿易赤字という一要素によってそれほどドル安圧力が強まることにもならないような気がしますが。アメリカの場合、経常収支の中に占める貿易赤字の額は2018年ですと経常収支が4909億アメリカドルの赤字、貿易収支が9463億アメリカドルの赤字となっております。うーん、他の収支で黒字になっているだけ経常収支での赤字幅は小さくなっていますが、経常収支の赤字に貿易赤字は相当影響しているようです。ものすごい赤字ですね。かといってアメリカ国民の旺盛な消費が沈静化しない限りアメリカ国外からの輸入は減らないでしょうし、アメリカ国外からの輸入が減らなければ貿易赤字は解消されないでしょう。旺盛な消費が沈静化するということはアメリカの不況ということになります。景気が悪くならないような経済政策をとっている限りアメリカの貿易赤字は延々と続いてしまうようにも見えます。ドルの価値は徐々に下がっていくのでしょうか。

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

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日本の消費税に関係する話題「消費税制度で大企業にメリットはあるのでしょうか」はこちらです。

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