地方交付税とは?メリットや問題点、交付金の推移について

地方交付税とは

 

地方交付税(ちほうこうふぜい)は日本国政府から国が集める税収の一部を使って、予算を実行するのに財源が乏しい状態の地方自治体に足りない額に応じて配分されるお金です。地方交付となっていますが、個人や企業から「地方交付税」という名前で徴収しているわけではありません。

国は様々な税金を徴収しています。その中に「所得税」、「消費税」、「法人税」、「酒税」といった税も含まれています。この四種類の税金のうち、所得税からは33.1%、消費税からは22.2%、法人税からは33.1%、酒税からは50%の割合のお金を地方交付税にまわしているのだそうです。

他に国が徴収するのですが、「地方法人税」という名前の税金が2014年から課せられるようになりました。地方法人税は徴収されたお金の100%、全てが地方交付税にまわされているそうです。

地方交付税は普通交付税と特別交付税に分けられます。地方交付税の大半(95~96%くらい)は普通交付税となります。財源の足りない自治体に配分されていきます。特別交付税は特別の事情などで特に財政状態が厳しい自治体に配分されることになるそうです。

 

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地方交付税のメリット

 

地方交付税のメリットは、この地方交付税という制度の目的と重複してきます。

日本国内には様々な地方自治体があります(47都道府県、2016年の10月の時点で1741の市区町村があるそうです)。人口が多い地域であるほどその傾向は強いと思われますが、たくさんの税収が入ってくる自治体もあります。その反対にあまり税収が入ってこない自治体もあります。それら様々な自治体を比べると入ってくる税収の額がバラバラです。そこで地方交付税を税収の乏しい自治体にまわすことによって自治体間の財源の格差を小さくすることが出来ます。

また、税収の乏しい自治体が自力の税収だけで行政サービスを行うとしたら、お金が少ない場合実施できるサービスも少なくなってしまいます。生活する上で必要不可欠なサービスも実施できなくなってしまうのは非常に不都合と言えます。税収の少ない自治体で生活する日本国民に対しても地方交付税を回すことによって一定水準の行政サービスを提供、維持することが出来るようになります。

 

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地方交付税の問題点

 

メリットを考えますと、税収の少ない地域に住んでいる国民にとっては重要な制度である地方交付税ですが、問題点も指摘されているようです。

実は年間に支払われる地方交付税の総額は上記のような所得税、消費税、法人税、酒税の一定割合から捻出(ねんしゅつ)される額に比べかなり多くなってしまっているのだそうです。そのため地方交付税に使うためのお金をひねり出すために国は借金をしている状態です。地方交付税にまわすための借金は膨らんできており、このままだと地方交付税という制度を続けていけなくなってしまうのではないかという指摘もあるそうです。

また地方交付税によって国から財源の乏しい地方にお金を回してくれるので、自治体が一年に使うお金の額(歳出額)を少なくする努力や地方交付税を除いた一年間に自治体に入ってくるお金の額(歳入額)を増やす努力をそんなにしていないのではないかという指摘もあるようです。

そして地方自治体で使う一年間のお金の額はそれ程変動しませんが、地方交付税にまわされる所得税、消費税、法人税、酒税の一部のお金はそれぞれの年によってどうしても変動してしまいます。景気がいい年は税収も増えますが、不景気だと税収が減ります。財源となる国税が毎年安定して徴収されるものではないことも問題点として指摘されているようです。

 

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地方交付税交付金の推移

 

総務省が提供している資料によりますと、地方交付税の総額が平成12年は約21兆4千億円でした。それから徐々に総額は減少し平成16年で約16兆9千億円となります。翌年平成17年は額がほとんど変化しませんでした。平成18年から再び総額が少しずつ減り、平成19年で総額は約15兆2千億円となりました。

しかしその後総額が増加傾向に転じます。徐々に増加し平成24年には総額約17兆5千億円になりました。

平成24年をピークにして大きな変化があるわけではありませんが若干の減少傾向が続いて現在に至っています。平成28年の総額は約16兆7千億円となっています。

 

今回は久しぶりに時事関連の記事としています。地方交付税を取りあげたのは地方自治体に関する話を先日耳にしたからです。自治体の貯金にあたる基金があるそうで、その基金の額が増加しているという理由で国が地方交付税交付金の額を削減したがっているといった動きがあり、それを地方側が知って反発しているといった話でした。

確かに国の台所事情は、「借金が増えている」というニュースが繰り返されているので厳しいということなのでしょう。地方にまわすお金を減らさないと借金は膨れ上がっていくばかりということであれば、国の借金を何とかしなければいけない立場の人たちは予算を削れるところが無いか、色々な分野で検証するでしょうね。

ただ基金のお金はいざという時の為に確保しているという性格のお金かもしれませんし、それを理由に自治体の使えるお金が減ってしまうと地方行政の当事者としては困ってしまうのでしょうね。

明らかに無駄なお金を使っているとしたらそのような点は改めなければならないでしょうが、通り一辺倒に地方交付税を削減したら地方での生活は一層不便なことになるかもしれません。そうなって国民が都市圏にばかり集中してしまうと国にとっても困ってしまうのではないでしょうか。そうならない為にも国に交付金の削減をされないよう地方の首長さんや議員さん達には無駄遣いが無いかしっかりチェックしてもらいたいですね。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載した写真に関係はございません。ご了承ください。

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