日本の大戦景気とは?成金や当時の日本の輸出品についても

日本の大戦景気とは

 

大戦景気(たいせんけいき)とは西暦1914年に始まった第一次世界大戦によって日本国内で生産される製品がそれまでと比べて国外で多く消費されるようになった結果生じた好景気、景気が良くなったことを意味する言葉です。上記の通り世界大戦が始まったのは1914年ですが、景気がはっきりと良くなりだしたのは1915年の後半以降だったそうです。この好景気は1920年の初めまで続くこととなりました。第一次世界大戦に関する代表的な講和条約、ヴェルサイユ条約が締結されたのは1919年の6月、条約が発効したのは1920年の1月だったそうですから大戦景気が終わるころの時期と大体重なるようです。

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大規模な戦争になると、物資が大量に使われることになり、ヨーロッパで生産された物資は戦争の舞台となっているヨーロッパで当然使用されます。しかしヨーロッパで生産される物資の量では足りないということで、戦争をしている欧州各国は欧州以外で生産された製品も手に入れようとします。その結果日本産の製品も注目されましたし、米国にも欧州から大量の注文が入りました。また戦争をしているヨーロッパで大量の物資が使用されるため、本来戦争が無ければヨーロッパから物資が輸出されたであろう地域、アジア地域やアフリカ地域にヨーロッパ産の製品がまわらなくなっていきました。そのためアジアやアフリカ地域からも欧州以外の地域で生産された製品に対する需要が高まっていきました。日本もそのアジア、アフリカ地域の需要に応じ生産品を輸出することとなります。こうして日本から輸出される品物の額は世界大戦以前に比べ飛躍的に増加しました。輸出量が増えたことでこれまで輸入品の額が輸出品の額を上回る輸入超過状態だったのが輸出超過の状態に逆転し、他国から多額のお金を儲けることが出来たことによって他国に借金のある「債務国さいむこく」の状態から、他国にお金の支払いを求める立場である「債権国さいけんこく」に変化しました。またこの大量に生産することが求められた出来事をきっかけに日本の工業が大変発展したのだそうです。特に重工業、化学工業の分野の発展は著しかったようです。

 

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当時の日本の輸出品

 

ヨーロッパ向けには戦争が行われていることもあり兵器や軍需品の輸出が伸びたそうです。また食料品の輸出も増えました。ヨーロッパからの輸出が減ったアジアやアフリカ地域には雑貨や綿関連の商品(綿の糸、綿の布、綿の織物)の輸出が増えたようです。上でも書きましたが世界大戦によってアメリカでも大変景気が良くなり全体的に物に対する需要が増加しました。これまでも米国向けに輸出される品物として生糸は代表的でしたがこの大戦景気で生糸への需要がさらに増加したようです。蒸気船のような大変高額な商品や銅や亜鉛といった金属、黄銅のような合金から様々な種類の織物、糸、米や豆類といった食料まで様々なものが輸出されていったようです。

 

成金について

 

成金(なりきん)は急に大金持ちになった人のことを意味する言葉ですが、この大戦景気によって成金と呼ばれる人たちがたくさん出たそうです。大戦景気による成金で有名な例では船成金(ふねなりきん)という人たちがいました。世界大戦が始まってから戦争のために船がたくさん使われるようになります。そのため民間用の船が減ってしまい民間向けの需要に応えきれない状態となりました。船の値段や海上輸送のための費用が高くなったことで船を持っている人たちは大変な利益を手にする結果となります。成金の人たちによる派手なお金の使い方が当時人々の間で話題となりました。料亭のような場所で明かりが無く困った時にお札に火をつけて明かりの代わりとした話は教科書でも取り上げられるくらい有名な話ですね。他には大戦によって銅の需要が高まり銅を生産していた事業者が多額の利益を手にしたことで「鉱山成金」と呼ばれる人も出たそうです。

 

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今回は大戦景気について取りあげてみました。この好景気によって日本の社会が大きく発展、変化したという事実がありますし、戦争の別の側面を知るという点でも重要な現象のように感じたからです。戦争にもさまざまな規模があるでしょうが第一次世界大戦のような非常に規模の大きい戦争、しかも長期間続く戦争の場合、戦争をしていない地域では非常に経済が活発になるものなのですね。戦争では大量の物資を必要とするという話は何となく聞いたことがあったように思いますが、大戦景気はそれを示す典型例だなと調べていて強く感じました。確か米国の作家だったと思いますが別のテーマのドキュメンタリーを見ていた時に「戦争は儲かる。これは間違いない事実だ」とコメントしていたように記憶しています。その発言は確かに第一次世界大戦での日本の状態を見ると当てはまる気がしました。お金を儲けるために一部の有力な人たちが戦争を起こしていると主張する人たちもいますけれど、その主張がまことしやかに聞こえるのも戦争で大変儲かる人たちが実際に出てくるからなんでしょうね。戦争と経済の関係は過去の話だけに当てはまるというわけではなく、今後も同様の構図が成り立つのかもしれません。しかしこれは自国が戦争をしないか戦争をしていたとしても自国の領土が主戦場と離れている場合というような条件が付くんでしょうか。これについてはよくわかりませんでした。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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