尼港事件(にこうじけん)とは?この事件への報復についても

尼港事件(にこうじけん)とは

 

尼港事件(にこうじけん)とは西暦1920年(大正9年)にロシアのニコラエフスクという場所で発生した出来事です。ニコラエフスクという場所はアジア大陸の東端に位置する都市で、樺太の北部に大変近い場所です。この都市は大きな川であるアムール川(黒竜江(こくりゅうこう)とも呼ばれます)の岸に存在しています。この事件でロシア国内の社会主義革命を支持する正規の軍隊ではない4000人以上の武装勢力に襲撃され、シベリアに出兵しニコラエフスクの現地に駐留していた日本軍の兵員やニコラエフスク市民が多数犠牲となりました。当時ニコラエフスクには兵員ではない日本人も多数居住していたのですがこの事件によって、そのニコラエフスクに滞在していた日本人の大半が殺害されたのだそうです。この時ニコラエフスクに駐留していた日本軍は陸海合わせて400人弱でした。軍隊同士の戦闘ではなく革命を支持する武装勢力が一般市民を多数殺害したという行為に関し様々な国が批難しました。

スポンサーリンク

ニコラエフスクは5月まで港が凍ってしまい船が入港することが出来ず、陸路は革命を支持する武装勢力が支配していた地域が広かったこともあって孤立した状態だったそうです。大勢の武装勢力にニコラエフスクが包囲されてしまい、日本軍やニコラエフスクの市民が武装勢力側と交渉し、反革命軍や一般市民に危害を加えないことを条件にニコラエフスクを武装勢力側に明け渡したのだそうです。しかし武装勢力はすぐに約束を破り大勢の市民を逮捕処刑しました。武装勢力側は日本軍に対しても武装解除を求めてきたそうで結果的に日本軍側は反発し圧倒的に劣勢な中抵抗することとなったそうです。これによって武装勢力側は軍と関係ない一般の日本人に対しても襲撃し大勢の方々が亡くなる結果となりました。

 

スポンサーリンク

尼港事件に対する報復

 

この日本人だけではなく一般市民や反革命側の軍関係者が大勢亡くなった出来事に対し日本政府はこの件で責任を追及すべき対象となるロシア側の政府がその時点で存在していないことを理由に、交渉が可能となって解決するまでしかるべき地域を占領する、と表明しました。その後日本側は樺太の北半分を占領することとなります。上記の通りニコラエフスクは樺太北部と大変近い位置にある都市です。革命勢力を倒すことやロシア国内から出ることの出来ない状態となっていた大勢のチェコスロバキアの人たちを救出するために複数の国によって行われたシベリアへの派兵は、他国の場合1920年には終了していましたが、日本は1922年まで継続されました。しかしこの樺太の北部に関しては1925年まで占領が続く結果となっています。日本がロシアに誕生したソビエト連邦という国を承認することとなり、日ソ基本条約が日本とソビエト社会主義共和国連邦との間で結ばれ、それにより樺太北部から日本軍は撤兵しました。

 

スポンサーリンク

今回は尼港事件を取りあげてみました。歴史の授業で必ずしも取り上げられるとは限らない出来事のようです。日本人だけではなく他の国籍の人たちも多数犠牲になったこの出来事はよく知っておいた方が良い話なのではないかと感じました。ある種の武装勢力は例え交渉で合意したとしても、その合意を破り、とんでもなくひどい行為を行う場合があるようです。到底容認できる話ではありませんね。こういった歴史的事実から見ても治安を守る軍や警察が機能しない場合、一般の市民が大変な目に遭うということは決して忘れてはならないと思います。交渉で合意した内容をすぐに破り多数の人たちを処刑するというのは一部の社会主義武装勢力に限った特徴なのかというとそれはよくわかりません。ユーゴスラビアの過去の内戦でも、中東でも民間人が大勢犠牲になる話は耳にしますし、近代の歴史上の出来事でもむごい出来事は他にもたくさんあります。ただ言えるのはこのようなひどい行為をおこなって、はばからない勢力に対し非武装で平和を主張しても効果は期待できないということです。日本国憲法に従って非武装中立に徹するべきだという意見を聞くことがありますが、その意見にはどうしても賛成できないな、と尼港事件を調べていて改めて感じました。公正、信義を尊重して平和を愛する人たちが大半であってほしいと望みますけれど、世の中は非常に残念なことにそういう人たちばかりではないようです。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

共産勢力関連記事「日本共産党の結成とは?コミンテルンや堺利彦さんについても」はこちらです。

革命防止関連記事「治安維持法とは?この法律が制定された理由や影響について」はこちらです。

関連記事

ページ上部へ戻る