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• 2018.3.8
• 現在の社会にいたるまでの歴史に関する話題です, 第二次大戦終了後から平成前までの話題です
• アメリカ, 日本皇室・朝廷

一部で人間宣言と呼ばれる昭和天皇の詔書が出された理由は

人間宣言と一部で呼んでいる昭和天皇の詔書が出された理由

 

西暦１９４６年（昭和２１年）の元日に一部で人間宣言（にんげんせんげん）と呼ばれている昭和天皇の詔書（しょうしょ）が出されました。詔書というのは天皇がお出しになる公的な文書のことです。この詔書の正式な名称は「新年に当たり誓いを新たにして国運を開かんと欲す国民は朕と心を一にしてこの大業を成就せんことを庶幾う（こいねがう）」で、人間宣言などという文言が含まれるものではありません。「朕　ちん」というのは天皇のような君主の立場の方が御自分のことを指す時にお使いになる言葉です。この詔書の中で昭和天皇は御自分に関し現御神（あきつみかみと読むそうです）ではないとのお考えを示したようにも受け取れる箇所があり、その為に天皇は神ではなく人間であると述べられた、そのように一部言論機関は取りあげ、そのことを示す簡単な表現として「人間宣言」という言葉を作り出したわけです。現御神というのはこの世の中に人の姿で現れた神という意味の言葉です。

前置きが少し長くなりました、申し訳ありません。この、一部で人間宣言と言われている詔書が出された理由はＧＨＱ（連合国軍最高司令官総司令部）が昭和天皇に神としての地位を否定させる必要があると考え、日本側にそれを要求したからだと言われています。ＧＨＱの求めで詔書を出したということですね。第二次世界大戦の戦闘が終わる１９４５年まで、日本では一部の世代で天皇は神様なのですと教育されていたのだそうです。ＧＨＱは日本占領開始後、天皇は他の国家元首と比べて優れているとか日本人が他の国民に比べ優れた存在であるといった内容の教育をおこなってはならないという指示を日本政府に出し実施させています。もし天皇が人間の姿をした神様だという理解が国民の中に残れば他国に対する優越的な感情が残り第二次世界大戦以前のような他国への進出の要因になるのではないかという警戒心があったのでしょう。そのような今後の懸念材料を排除するために日本側に対しＧＨＱは天皇の神としての地位を否定することを求めたようです。また神としての地位を否定する意思表示を昭和天皇に出してもらうことよって連合国に属している一部の国から出ていた昭和天皇を戦争犯罪人として裁くべきだという意見を抑え、アメリカが日本の皇室制度を維持しようと考えたといった指摘もあるようです。アメリカは今後の日本統治のために昭和天皇の存在は欠かせないと考えていたそうです。

 

現御神であることを否定していると言われる内容

 

１９４６年の元日に出された詔書の中で現御神であることを否定したとされている内容というのはどのようなものなのでしょう。詔書の中の該当する部分と思われる内容を易しめに言い換えますと「私とあなた方国民との間の結びつきはこれまでもこれからもお互いに対する信頼と敬い（うやまい）愛しむ（いつくしむ）思いによるものであって、単なる神話や伝説によって結びついているわけではないのです。天皇を現御神として日本国民が他の民族に比べ優れており、日本が世界を支配するべき運命にあるといった架空の考えに基づいて私とあなた方国民が結びついているわけではないのです。」といった感じになるかと思います。現御神であること自体を否定しているという解釈が出来ないわけではありませんが、天皇を現御神として日本国民が他の民族に比べ優れており、日本が世界を支配するべき運命にあるといった、優越しているとか支配する運命といった部分を否定していると受け取ることが可能なようにも感じます。明確に私は現御神ではないといった直接的な表現を詔書の中でされているわけではありませんでした。詔書を通して述べられていたことは明治の時代に掲げられた理想を大切にして皆で協力して平和を求める気持ちを強く持って国民生活の向上を図り新しい日本を作っていきましょう。私はあなた方国民と共にあります、といった平和や国民の団結、復興を期待するような内容でした。

 

今回は一部で人間宣言と呼ばれている１９４６年の元日に出された詔書について取りあげました。人間宣言という表現はこれまでも聞いたことはありましたが、その内容については目にしたことも無く、昭和天皇が私は人間であり神様ではありませんといった主旨の発言をしたのだろうと思いこんでいました。今回は人間宣言と一部で呼ばれる詔書が何故出されたのか疑問に感じる声もあったようなので調べてみようと思った次第です。この詔書はＧＨＱからの要請によって出されたものであったこと、実際の詔書の内容は神であることを明確に否定したような内容とは違っているようにも読み取れる表現であったこと、詔書の主旨は日本国民のみんな、新しい日本の建設のために協力して頑張りましょう。私は国民と共にいます、といった内容だったことを知ることとなりました。１９４６年の元日に天皇は人間宣言をしました、といった表現の場合に受ける印象とだいぶ違った内容でしたので意外な感じがしています。そして「人間宣言」という表現の持つ印象操作の強さも感じました。実際の文書の内容を見ないでこういった単語を見聞きしてわかったような気になってしまうというのは物事を誤解してしまう原因になってしまうかもしれませんね。記事を作っていてそんなことを感じました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。　　<(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

昭和天皇の日本、日本国民への思いが示されている出来事についての話「終戦を決定付けた御前会議での昭和天皇の御発言の概要は」はこちらです。

戦闘に関する昭和天皇の姿勢に若干触れている記事「張鼓峰事件とは？発生した場所や昭和天皇の反応についても」はこちらです。