平成六年に中選挙区制を廃止した理由は何だったのでしょう
中選挙区制が廃止された理由
平成の出来事に関心を持たれてこのページに来られた皆様、こんにちは!この記事では私なりにかつて日本の国会議員を選ぶときに使用されていた選挙制度である、いわゆる「中選挙区制 ちゅうせんきょくせい」が廃止された理由について書いてみたいと思います。現在の(この記事を作成しているのは平成三十一年、西暦2019年1月下旬~2月です)日本で国会の議院の一つ、衆議院の議員を選ぶときには小選挙区制や比例代表制が使われています。選挙民が生活している地域の小選挙区から立候補している人を一人、それとは別に異なる区分けとなっている比例代表の選挙区で候補を立てている政党の中から一つの政党を選択し小選挙区、比例代表それぞれ一票ずつ票を投じることになります。このような方法で票を投じるようになったのは平成八年、西暦1996年におこなわれた選挙からでした。衆議院の議員を選ぶ選挙方法については平成六年、西暦1994年の公職選挙法の改正という形で変更されています。それまでは中選挙区制と呼ばれる一つの選挙区からだいたい3人から5人選ばれる方法で議員さんたちを選んでいました。
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選挙民は衆議院議員を選ぶとき自分の住む地域の選挙区で立候補している候補者の名前を一人書いて票を投じ、比例代表の投票は無かったのです。どうして衆議院の議員さんたちを選ぶ方法を中選挙区制から変更するという政策判断を当時おこなったのでしょう。政党内の派閥の間の対立が激しくなり政党単位の政治をおこないづらくしてしまう、政権交代が起こりづらい、選挙など政治にかかるお金の額が多くなってしまいその結果お金がらみの政治の腐敗に繋がりやすくなってしまうなどといったことが選挙制度変更をするかどうか議論されていた時期によく主張されていたようです。
派閥の対立が強まる
中選挙区制の場合一つの選挙区から複数の候補者が当選することになります。中選挙区の場合、ある政党が政権を獲得しようと思えば一つの選挙区に一人だけ候補を立てるといった悠長なことはしていられません。衆議院で多数をとるために一つの選挙区で複数人の候補者が立候補します。こうなりますと同じ選挙区で同じ政党の候補者が当選を目指して争うことになりますので選挙民は政党単位で候補者を選ぶのではなく人で選ぶということになります。派閥の異なる候補者同士の争いということにもなりましたので派閥間の対立が激しくなりました。その結果大政党が政権を獲得できたとしてもその政党内での派閥の間で主導権争いが激しくなり安定した政権運営がやりづらくなるといった見方があるようです。
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政治にかかるお金が多くなってしまう
同じ選挙区内で同じ政党の候補と争うので政党単位での支持を選挙区内で得るのは必ずしも簡単ではなく、当選するために政党というよりは自分を応援してくれる集まり、団体などをたくさん確保する必要があったのだそうです。そうなりますと政党本位の選挙の場合に比べて自前の支持組織を作る必要が出てきて余計お金がかかってしまうと見られていました。また自分が選挙で当選したなら支持してくれる団体に便宜を提供するという政治的な権限の悪用についても問題視されていたようです。
政権交代が起こりづらい
一つの選挙区から複数の候補者が当選するため中選挙区制は少数政党の議員が誕生しやすい選挙制度です。一方小選挙区制は選挙区から一人しか候補者が当選しませんので大きな政党間での戦いになることが多いです。そうなりますと小選挙区制の場合、状況によって議院内の勢力図が大きく変化することに繋がりやすくなります。今の政治は駄目だから与党に入れず最大野党に票を入れようということになりますと一気に最大野党の議席が増加し、議員内で最大の勢力に躍り出る、つまり政権が交代する可能性も高くなります。そういった仕組みが中選挙区制には無いため政権をとっている政治勢力が権力の座から降りる可能性が低くなり、おのずと政治が腐敗しやすくなってしまう。そういった意見も多かったようです。
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今回は平成の初めころまで衆議院選挙で使用されていた中選挙区制について取り上げました。先日ある討論番組を見ていて、ある大政党の内情が小選挙区制の選挙を経てとても変わってしまったといった意見を耳にしました。小選挙区制の前は中選挙区制だったということは何となく承知していましたが、それならなぜ中選挙区制を廃止したのか、理由というか小選挙区制を導入すべきだという主張の根拠は何だったのだろうと感じ、今回のようなテーマの記事を作ってみようと思いました。お金がらみの政治の腐敗を改善させていこうという政治改革の議論の中で選挙のやり方に解決を見出そうとする意見が強まって中選挙区制が消えていったということのようです。現在でも政権を持っている政党の中には派閥がありますし中選挙区制の頃に比べて派閥間の対立は激しくはないということなのか、その点についてはよくわかりませんが政党単位の選挙になれば派閥間でのいがみ合いも減るというのはそういうものなのかもしれないなという気もします。ただ政党に所属している議員さんたちが党の中央の意向に逆らえなくなって自分たちが正しいと信じる政策に基いた政治行動を出来なくなってきているという意見も最近はあるようです。そういった点を解決するにはどうすると良いのでしょうね。大政党であればあるほど党議拘束をどんどん緩めるとか比例代表で選ばれる議員さんの数をもっと増やして少数政党もそれなりに議員を生み出せる仕組みにするとか何か方法が無いものなのでしょうか。
今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。 <(_ _)>
※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。
今回の記事ではakizouさんによる写真ACからの写真を使用させていただいております。
この記事でも名前の出る選挙制度、比例代表制について触れている話「衆議院総選挙の一つ、比例代表制とは?利点や欠点についても」はこちらです。
選挙制度の変更後、初めての政権交代について触れている話「政権交代が2009年に起きた理由は何だったのでしょう」はこちらです。
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