衆議院を解散した理由を野田首相はどう説明したのでしょう

野田首相が衆議院解散した理由

 

西暦2012年(平成24年)の11月16日に当時の首相であった民主党の代表、野田佳彦(のだよしひこ)という人が衆議院を解散しました。その後の総選挙で当時野党だった自由民主党が勝利し政権が交代することになります。民主党が中心となる政権が始まったのは2009年の8月におこなわれた衆議院議員総選挙で民主党が勝利してからです。衆議院議員の任期は基本的に4年間ですから、この時の衆議院議員の任期満了は2013年の夏です。2012年10月下旬の野田政権の支持率は20%くらいでとても低く、そのような状態で総選挙をおこなえば、普通に考えると与党側の民主党や国民新党は選挙に負けてしまう可能性が高いと判断するところでしょう。まだ任期が残された状態で支持率がかなり低迷している状態なのに、わざわざ与党が不利となる解散総選挙を当時の野田首相はどうして実施したのでしょう。野田(当時)首相は衆議院解散の後、解散した理由として消費税の増税が関わってくる社会保障と税の一体改革を推進するにあたって野党である自由民主党や公明党と交わした約束を果たすためだ、といった内容を述べています。

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具体的には(ここからは首相官邸のサイトにある総理大臣記者会見の内容から引用しています。)「この解散の理由は、私が政治生命をかけた社会保障と税の一体改革を実現する際に、実現をした暁には、近いうちに国民に信を問うと申し上げました。その約束を果たすためであります。」(ここまで引用しています)と発言しています。その他にも平成24年度予算が底をついてしまうことを回避するための法律を通したり、国会議員の定数是正や国会議員数の削減を実現するために野党側の協力を得る必要があり、そのような政策を進めるためにも野党側が求めている衆議院解散をする必要があったという考えを述べています。野田首相がやりたいと考えていた政策を実現するには野党の協力が必要な状況で、野党から協力を得るには野党側の要求を飲まなければならず、当時の野党は衆議院を解散するよう首相に要求していたので、それに従い首相は自分の党に不利なのを承知で衆議院を解散した、ということのようです。

 

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なぜ野党の一部の協力が必要だったのでしょう

 

当時の民主党と国民新党という政党による連立政権は衆議院では過半数以上の議席を確保していましたが、参議院では過半数の議席を持っていませんでした。2010年の参議院選挙で民主党が議席を伸ばせなかったことが大きく関係しています。当時の政権が通したい法案であっても参議院で野党に否決されて通らない、法律にすることが出来ない、そういった場面が増えてしまうような状況でした。そのためどうしても法律にしたい内容は野党側の賛成も得なければなりません。参議院で過半数の議席を取っていないことで政権は野党に対し妥協しなければなりませんでした。

 

野党の要求は衆議院の解散総選挙でした

 

社会保障と税の一体改革という消費税増税を中心とした政策に自由民主党や公明党といった野党が賛成する条件として、こういった野党は野田政権に対し衆議院の解散総選挙を求めました。野田首相は社会保障と税の一体改革に関連する法案が成立した後、近いうちに国民に信を問うと野党側との会談の席で伝えたのだそうです。これを受けて自民党も公明党も法案に賛成し2012年8月に法案が成立しました。しかし法案成立後もしばらく首相が解散する様子を見せないことに対し自民党も公明党も首相が嘘をついたと批判を強めます。首相が解散をしたのは法案成立から3カ月後のことでした。結果的には約束を守ったことになります。

 

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今回は2012年の衆議院解散について取りあげました。当時の民主党が政権を手放すきっかけになった出来事ですし、選挙をしたら相当不利だと言われていた時に何故選挙をしたのか、個人的によくわからなかったこともあって調べてみることにしました。消費税増税が強く関わってくる出来事だったようです。野田という人は最悪、政権を奪い取られたとしても消費税増税を成し遂げなければならないと考えていたことになりますね。政治生命をかけるなどという表現も使っていたようですから相当な思い入れのある事がうかがえます。自分の勢力にとって不利となるにもかかわらず自分が正しいと信じる政策を実現しようという姿勢は評価できる点もありますが、私は消費税増税反対の立場なので、よりによってそういう政策で政治生命をかけられるのは正直困ってしまいます。消費税率が8%になったきっかけというのはまさしく今回取りあげた民主党と自民党と公明党が賛成して通した社会保障と税の一体改革関連法案という消費税率を上げる内容が含まれた法案でした。8%に消費税率を上げていなければ2014年以降の国の税収はもっと多かったんじゃないだろうか、本当に政治生命をかけるに値する法案だったのかなぁと私などは思ってしまいますが、これは人によって意見が分かれるのでしょうね。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

2009年の総選挙について触れている話「政権交代が2009年に起きた理由は何だったのでしょう」はこちらです。

当時の参議院がねじれていたことと関連している話「菅直人首相は消費税の件で参院選の頃どう主張したのでしょう」はこちらです。

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