江戸時代の農業ではどんな肥料を使っていたのでしょう

江戸時代の農業で使われた肥料

 

江戸時代になると、それ以前に比べて農作物の収穫量が増加したと言われています。稲作、畑作に使用する土地を増やすために積極的に土地開発がおこなわれたことが大きく関係しているそうですが、その他に農業技術が進んだことも理由となっていたという指摘があります。肥料はそういった農業技術に分類される話かと思いますが、江戸時代の農業ではどのような肥料が使われていたのでしょう。江戸時代以前から使われていた肥料としては緑肥、草木の灰、下肥といったものがあったようです。江戸時代以降に盛んに使われるようになった肥料としては金肥(「きんぴ」とか「かねごえ」と読むそうです)などと呼ばれるものがありました。また以前から使用されている下肥に分類される人々の排せつ物ですが、江戸時代以降大量に使用されることになったという特徴があるそうです。

 

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江戸時代以前から使われていた肥料

 

上で挙げた緑肥、草木の灰、下肥ですが、緑肥というのは「りょくひ」と読みます。下肥は「しもごえ」と読むそうです。緑肥は植物をそのまま肥料とするもので畑などの土壌と一緒にして耕すことで土に窒素やリン、カリウムといった成分を補充する役割を果たします。畑でわざわざ栽培してそれを肥料にする苗肥(なえごえ)や自生した植物を使う草肥(くさごえ)といったものに分類されるそうです。草木の灰はそのままですね。植物が燃えた後に残る灰です。カリウムや石灰を含んでいて、カリウムは植物にとって栄養になりますし、石灰は土壌の酸性度をアルカリ方向に変化させるのに役立つそうです。下肥は人の排泄物ですが、この中には植物が栄養にするリンやカリウム、窒素や他の元素が含まれているので使用することによって植物の生育を助けることが期待できます。下肥が使われるようになったのは鎌倉時代からだったそうです。上でも書きましたように江戸時代に下肥は大量に使われることなり、都市圏に住む方々の排泄物は農家の人たちにとって重要な農業資産であったため、栽培した収穫物と交換に都市圏の方々の排泄物を譲ってもらっていたという話もあります。

 

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江戸時代以降の使用が顕著だった肥料

 

上の項目で挙げた金肥には魚から出来ているものもあれば、植物の実から出来ているものもありました。有名なものは干鰯(ほしか)と油粕(あぶらかす)で歴史の教科書にもよく登場しています。こういった肥料は農業従事者が自前で作ることが出来ないので業者から買う事になります。そのためお金を出して買う肥料ということで「金肥」と呼ばれていたようです。干鰯は獲れた鰯(いわし)をそのまま干したもので特に西日本で盛んに使用されたのだそうです。綿花栽培の肥料として大変効果があったと言われています。鰯の他にも蝦夷地(今の北海道)で獲れる鰊(にしん)も肥料として使用される場合がありました。鰯や鰊の油(魚油 ぎょゆ)が江戸時代には明かりのための燃料として使用されており、その加工の過程で出る魚の身の残りを乾燥させ肥料に使っていたのだそうです。この肥料は〆粕(しめかす)と言われていました。油粕はアブラナなどの実から油を搾り取った後に残ったもののことで、植物の栄養になる窒素もカリウムもリンも含まれています。特に窒素成分が多く含まれることで植物の生育に効果があるのだそうです。油粕は現在でも肥料として流通しています。

 

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今回は江戸時代の農業で使われていた肥料について取りあげました。江戸時代の農業について何か記事に出来たらと思ったのですが、一般的に肥料への関心が強いようなのでこのようなテーマで記事を作ってみました。農業について全然詳しくない私は今まで雑草として扱われる植物が土壌の肥料に使われるという話を全然聞いたことがなく、緑肥という存在をこの記事を作っていて初めて知りました。農業関係者の方にとっては常識なのでしょうね。ヒマワリは緑肥として使用される植物の中でも有名なものなのだそうです。農業とあまり関係が無さそうな魚を肥料に使うとか廃棄物になってもおかしくないアブラナの残りかすを肥料に使って効果があるということは農業従事者の誰かが試してみないと効果などわかるはずもありません。作物の生育を更によくする方法は無いかといろいろ考え実践してみる農家の方がいらっしゃったのでしょうね。ほんとうに研究熱心だと思います。油粕が今の時代でも肥料として使われているという話も今回の記事を作っていて初めて知りました。技術の発達した現代でも使われているということは相当効果があるのでしょう。この方法を考え出した方々の功績というのは大変なものですね。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

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