江戸時代の農業ではどんな道具が登場したのでしょう

江戸時代に登場した農業道具

 

江戸時代に入り農業分野では技術が進んで収穫量の増加につながったと言われていますが、農業で使われていた道具が従来のものに比べ進歩したことで農業における作業の効率がとても向上したそうです。江戸時代になってから使われるようになった道具としては歴史の教科書でもよく扱われる有名なものが複数ありますが、備中鍬(びっちゅうぐわ)、千歯こき(せんばこき)、唐箕(とうみ)、千石通し(せんごくどおし)、踏み車(ふみぐるま)といったものがよく挙げられるようです。備中鍬は田畑を耕すための道具で、千歯こきは脱穀、稲から籾(殻のついた玄米)を取り出すための道具、唐箕や千石通しは籾や玄米を選別するための道具、踏み車は水をくみ出すための設備です。

 

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備中鍬

 

鍬は土木作業でも使われる道具だそうですが、農作業でも土を掘り起こすために使われていました。土を掘り起こす、耕すと土の中に空気が入り込みます。空気が入ると土の中の細菌の活動が盛んになり、細菌によって分解される土の中の有機物(炭素化合物)の量が増加します。有機物が細菌によって分解されると植物にとって栄養となる成分が土の中で増えます。植物の発育に効果があるわけです。また土を掘り返す作業によって土壌を軟らかくして植物の根が伸びやすくなるという効果も期待できるそうです。耕すという行為は農作業で重要なわけですが、それまでに使われていた鍬は一枚板の歯で土もかなり付着してしまい重くなってしまって使いづらかったようです。3~4本に歯が分かれている備中鍬は付着する土の量も少なくなり耕す人にとっての負担が軽くなりました。水分を多く含んでいる土壌を耕す時に特に重宝したようです。

 

千歯こき

 

稲穂からお米の入った籾(もみ)を取る(脱穀「だっこく」と言われる作業です)というのは実は手間のかかる作業で、人々は二本の竹(「こきはし」と言うそうです)などを使って稲穂を挟み、稲穂を竹の間で滑らせて稲穂についている籾を採取していました。一度に脱穀できる稲穂の本数は限られているため収穫した稲穂を全部脱穀するのは非常に大変。ということで考えられた道具が「千歯こき」です。たくさんの歯がくしのように並んでおりそこに稲穂の束を差し込んで手前に稲穂の束を引っ張ることでたくさんの稲穂の籾を一挙に脱穀してしまうという、とても効率の上がる道具でした。明治時代に入っても使用されたそうです。

 

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唐箕

 

唐箕は実の入った籾と籾の殻や付着しているゴミを選別するのに使われた道具です。中国大陸から伝わったものだそうで、他の道具とはその点で異なっています。農家の人が取っ手をまわすことで備え付けられている複数の羽が回り、風が起きます。この風が起きている中、籾や籾の殻が混在した内容を風の前に流し落とします。お米の入った籾は重いので飛ばされず、籾の殻や小さなゴミは軽いため風の力で飛ばされます。こうして必要な籾と不要な殻を選別しました。

 

千石通し

 

千石通しは籾の殻を取った玄米の一塊の中に混在する小さな砂や玄米の破片を選別するのに使われた道具です。網目の大きさの異なるふるいを複数、目の粗い網から網目の小さなふるいの順番に上から下に斜めの状態に設置し粒を選り分けていきます。

 

踏み車

 

用水路から自分の水田などに水をくみ出す道具です。この設備が普及する以前は桶を使って水をくみ出すしかありませんでした。踏み車は箱のついた羽が10枚以上でグルッと軸を取り囲むように作られており、人が羽の上に立って歩くような動作をすることで用水路から羽につけている箱が農地に水をくみだす仕組みになっています。水の汲みだしがしやすくなって水の確保が難しかった土地でも農業生産をおこないやすくなりました。

 

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今回は江戸時代に登場する農業で使用された道具について一部取りあげました。歴史の授業の中でも江戸時代に普及した農業関係の道具の話はよく取り上げられていたような記憶があります。備中鍬とか千歯こきなどの言葉は聞いたことがあるのですが、どういった理由で便利なのかについてはよくわかっていなかったため確認したくこのようなテーマで記事を作ってみました。当時の日本の人口の大多数は農業従事者だったそうですからたくさんの人が農業をしているとその中で工夫をして効率向上を図ろうと考える人も出てくることになるのでしょうね。コロンブスの卵のようなものでしょうか。言われれば「あぁなるほど、そういえばそうだな。」ということで片づけてしまいがちですが、最初に考え出すのは大変なことです。面倒だなと感じる作業の中に効率を改善させるヒントが眠っているということなのでしょうし便利な道具を考え付くきっかけにもなるかもしれません。面倒な仕事を前にして効率よくやる方法は無いかなぁといろいろ考えてみることは無駄ではないのでしょうね。ひらめく人たちのおかげで多くの農家の方々の仕事がはかどることになりました。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

江戸時代の農業に関する他の話題に触れている記事「江戸時代の農業ではどんな肥料を使っていたのでしょう」はこちらです。

江戸時代を生きた有名人について触れている話「道徳で名前が出る二宮金次郎さんとは?名言についても」はこちらです。

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