江戸時代の仏教政策にはどのような特徴があるのでしょう

江戸時代の仏教政策の特徴

 

全国をというわけではないものの、広範囲にわたって武力を背景にして世の中を治めた勢力は仏教に帰依する人たちと対立して戦うようなこともありました。織田信長さんがかなり自分の勢力を拡大させていた頃、比叡山のお坊さんたちと対立してかなり過酷な対応をしたというのはテレビでやっている時代劇を見ていると目にすることもあるように思います。あまりに残酷なので側近の武将の方たちが互いに顔を見合わせて恐れおののくものの、信長さんの命令に背いたら自分がとんでもない目に遭うので断腸の思いで命令に従うような・・・。秀吉さんが国内を治めていた時代にも天台宗や真言宗のお寺の勢力と戦ったりすることもあったようです。信長さんや秀吉さんの場合は仏教の一部勢力と争うようなこともあったわけですが、家康さんが国内を治めるようになってから、江戸幕府が始まってからの仏教勢力に対する政策はどんな特徴があったのでしょう。江戸時代以降は国内の統一が盤石になったこともあったためか幕府が武力を用いて仏教勢力の一部を弾圧するような目立ったことは無かったようです。ただ仏教関係者が守らなければならない規則を幕府が出したり、各地のお寺に幕府の役所のような働きをさせて経済的な利益を提供するといった硬軟使い分ける対応をしていたようです。

 

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法度(はっと)が出されていました

 

仏教のお坊さんたちが守らなければならない規則、法度(はっと)が幕府から出されました。宗派内のお寺の序列に関するものや宗派のしきたりに関する内容に干渉するものや経済活動に関することや出家に関する規制、他にも様々な規制が仏教関係者に対してしかれることとなったようです。自由な布教活動が困難になったという指摘もあります。争いごとを起こさないとかお坊さんたちが集団で要求するような活動を戒めるような、政治関与を退ける内容にも取れる規制もあり戦国時代に比べ平和な世の中にはなったものの仏教勢力が政治権力に介入してくることにはそれなりに警戒していたということなのかもしれません。幕府の意向を宗派内の様々なお寺に連絡するような責任を持たされる中心的なお寺を指定して宗派内のお寺の関係をコントロールするような政策もあったようです。

 

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利益の提供

 

キリスト教勢力を国内から一掃するための政策とも言えますが、国内の民衆にどこかの仏教のお寺に所属させてキリスト教徒ではないことを証明させる仕組みを幕府は作りました。学校の歴史でもよくやると思われる檀家制度です。人々はキリスト教徒であると見なされれば幕府から罰則が科せられてしまうことになりますから、平穏に生きていくために身近なお寺に信徒として所属せざるを得なくなります。そのため各地のお寺に所属する人が増え、所属した信者さんからお布施という形でお寺は安定した経済的利益を受けることが出来るようになりました。幕府が上の項目で挙げたような様々な規制を設けただけでは仏教関係者の方々の不満が増大してしまうでしょうが、このような経済的な利益を得られる仕組みを幕府が提供することで不満の解消につながったと見ることも可能なのでしょう。定期的な法要が実質的に義務化されたようですし、転居、旅行、婚姻などによる家の移動などに関しては所属するお寺が書類(寺請証文てらうけしょうもん)を作らなければならないしきたりになっていたそうです。寺請制度などと言われるようですが、このように人々の動向を管理する幕府の出先機関、お役所的な役割をお寺が担当するようなことになりました。以前の時代には無い仕組みです。

 

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今回は江戸時代の仏教に対する政策について一部取りあげました。儒教について別の記事で取りあげたのですが、国内に信者さんの多い仏教について幕府はどういう姿勢だったのか確認したくこのようなテーマの記事にしています。学校の歴史の授業でおそらく学んだことなのだろうとは思いますが、私はよく覚えていませんでした。江戸時代の人々はお寺に所属する立場にならないと社会から仲間はずれ扱いされてしまいますから信者としてお寺に所属しますし、お寺側の言うことを聞かなければ必要な書類をお寺で発行してもらえなくなりますので、きちんとお布施という形でお寺にお金を払わなければなりません。実質的な税金のようにも感じます。政治をおこなう権力機構の他にも宗教施設に対して税金のようにお金を出さなければ普通に生きていけなかったということのようですからなかなか厳しいものです。仏教関係者に規則を受け入れさせる代わりに経済的な利益を与えて仏教勢力の反抗を抑える、コントロールするというのは世の中を治めるという視点では巧みな感じもします。キリスト教勢力の排除も兼ねていますのでこういった仕組みを考えた人はいいか悪いか別にして知恵のある人ですよね。経済的な利益ということで言えば有名なお寺の宗教施設を作ってあげたり、お寺建設のための土地を与えたりするようなことも幕府はしていたのだそうです。また浄土真宗の重要人物にお寺を与えて宗派内の対立関係を固定化するといった、内部の対立をあおり、宗派の勢力が弱まることにつながるようなことも幕府はしたのだそうです。いろいろやっているのですね。

 

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

江戸幕府の儒教に対する姿勢について触れている話「江戸時代に儒教が尊重されたのはなぜなのでしょう」はこちらです。

キリスト教勢力拡大抑止と関連する他の話「江戸時代のポルトガルとの貿易はどうなっていたのでしょう」はこちらです。

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