日本女性の参政権はいつから認められたのでしょう

日本女性の参政権はいつから

女性参政権(じょせいさんせいけん)は女性が政治に参加する権利ということになりますが、西暦1945年(昭和20年)に女性のこの分野の権利が日本で大幅に変化しています。1945年の11月に治安警察法という法律が廃止されました。この法律の中に女性は政事上の結社に加入することを得ずという内容が含まれていました。女性は政治団体に入れませんよという意味ですね。(この法律の中で政治団体に加入できないとされていたのは女性だけではなく現役の軍人さん、召集されている予備役の軍人さんや警官、神主さん、お坊さん、学校の先生などなど他にもいたことは付け加えておきます。)この法律が廃止されたことにより政治結社、政治団体に女性が加入しても罰せられることがなくなったわけです。また同年の12月に衆議院議員選挙法という既に存在していた法律の内容が国会(帝国議会)で改められました。選挙法の改正法律案が国会で成立、通過したわけです。12月15日のことでした。この法律改正によって20歳以上の日本国民には男女共に選挙権が認められ、25歳以上の日本国民には男女共に被選挙権(選挙で候補となる権利です)が認められることとなりました。このように1945年には女性の政治に関与する権利が大幅に認められるようになっています。

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戦前も女性が政治に参加する権利を求める活動がおこなわれていました。平塚らいてう(らいちょうと読みます)さんや市川房枝(いちかわふさえ)さんといった方々はそのような分野で活動した方々の中では大変有名な人たちです。このような方々が関わっていた婦人団体の努力により、政治集会に女性が参加する権利を獲得したという実績が戦前の時代に既にありました。しかし政治団体に加入する権利、選挙権、被選挙権といった権利はそのような婦人団体の努力も及ばず、戦前は認められていませんでした。国会でそのような権利を認める法律案を議員さんたち(衆議院や貴族院の議員さんたちのことです)の多くが賛成してくれなかったのです。

この時期に女性参政権が認められるようになった理由

治安警察法が廃止されたのは勅令によってだったのだそうです。天皇の名前で出される法的拘束力のある命令が勅令(ちょくれい)ですが、実質的には政府が天皇のお名前を借りて出す法令ですので時の政権、幣原喜重郎内閣の意向によって出された法令で治安警察法が廃止されたということになります。また衆議院議員選挙法の改正案も、まず1945年の10月に幣原内閣の大臣たちによる会議で女性に参政権を認める内容を含んだ選挙法の改正法案を政府から議会に提出するということで結論を出しています。そして国会でも賛成多数で改正法律案が通過しましたので、当時の幣原内閣も国会を構成する議員たちも女性参政権を認める考えだったからこそ、このような動きになったということになります。

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ただ理由としてはGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のはっきりとした方針があったことがやはり大きかったと思われます。1945年の10月11日にマッカーサー最高司令官は幣原首相に五つの分野での改革を指示しましたが、その中に選挙権を認めることによる日本婦人の解放といった内容も含まれていました。占領軍側からのそのような指示は時の政権、選挙法改正案に対する国会の議員の振る舞いに強く影響したと考えるのがやはり自然だと思われます。反対などしようものならどのような制裁をされるかわかりませんから。反対した議員は議会から追放とか・・・。ただ一部に指摘があるように、女性参政権を認めることを幣原内閣の会議で決定したのはGHQから具体的に女性解放の改革指示が出される前ではあったようです。

今回は日本で女性参政権が認められた出来事を取りあげました。戦後の変革の中でも大きなものの一つだと思いますしGHQがこの分野に関して日本政府に命令をしたのは何故なのだろうという点を知りたかったこともあって調べてみることにしました。ただ調べてみた範囲ではGHQが女性参政権を認めるよう指示した意図というのはよくわかりませんでした。

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日本社会での女性の立場を変化させることでかつてのような軍人を送り出していた日本の家庭、日本の母親を変えてしまおうという狙いがあったといった感じの憶測のような意見を目にすることはありましたが、それが実際にGHQの本音をついているかどうかなど私にはわかりません。ただそういった影響がたとえあるとしても女性参政権を認めないという意見には個人的にやはり賛成出来ません。男性と同じように税金を払い、社会に貢献している国民の半分の女性の方々に基本的な権利である選挙権、被選挙権が認められないというのは不公平のそしりを免れることが出来るはずもありませんので。選挙法の改正によって翌年1946年におこなわれた国政選挙で見事に当選し実際に女性の国会議員も誕生しました。多くの小作人さんや労働者の方々の立場が改善する出来事もそうでしたが、この女性参政権の獲得も明るい出来事のように感じます。歴史上の出来事を扱っていると悲惨な話も多いですが、こういう話は本当にホッとします。

今回の記事は以上となります。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。  <(_ _)>

※記事内容と掲載している写真に関係はございません。ご了承ください。

今回の記事ではakebitenshokuさんによる写真ACからの写真を使用させていただいております。

参政権の拡大について触れている話「1925年成立の普通選挙法とは?一部内容や女性の選挙権も」はこちらです。

女性の政治的権利獲得の動きについて触れている話「新婦人協会とは?治安警察法との関連や平塚さんについても」はこちらです。

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